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データ活用のヒアリングで思ったこと…人力集計をいとわない風土

以前、院内でデータ活用のアイディを募るため、各部署にヒアリングをしたときのことです。 データ活用のアイディア、部署により温度差(2016/3/8) このときの記事では、人によって、仕事に対するモチベーションが様々であることを書きました。 このヒアリングを通して、いろいろな気づきがあったわけですが、一方で、当院はまだまだ「データ活用」について声を上げる人が出てきただけで、前途多難であることを思い知らされました。 今回から、「データ活用のヒアリングで思ったこと」をシリーズで書いてみます。 驚愕の人力集計 データ活用と聞いて、どんなアイディアがあるかいろいろな人に聞いて回りました。 中には、思わずうなってしまう、「なるほど!」と言えるものがありました。ユニークな発想で、かつ効果も大きいであろうもの。 それに対し、違う意味で驚いたのが、「いま手作業で作成している資料を自動化したい」というもの。 何に驚いたって、「まさか、それ、手作業でやってるの?」という…。 例えば、血液検査のある項目の数値で、ある疾患の「予備軍」が判定できるとします。 「このままではいずれ…」という段階ですね。 こういった人たちが、深刻な状態になるのをなんとかして防ぎたい…、いわゆる「予防医療」。 とっても良い取り組みだと思うのですが、問題はそのやり方。 データを集計する機能がないので、検査科が臨床検査システムから一定期間の検査結果リストを「紙で」出して、これを看護師が目視でチェックしているのだと。 やらされている看護師もたいへんだけど、やらせている方はどう考えているのか? 貴重な看護師の人件費をこんなことに使えるとは、ある意味平和というか…。 医療機関が、もともと「トップダウン」の文化であることも影響しているのかも…。 その資料を作るのにどれだけの人件費がかかっているのか、資料を手にしている人はおそらくそれを知らない。

電子カルテのデータ活用、DWH、BIツール、グループウェア…何を使えば良いのか

久しぶりにデータ活用の話題です。 データ活用のために何らかのプラットフォームを導入して…、と考えているわけですが、難航しています。 どうやって院長の決済を得るか…、ということももちろん重要なのですが、最近困っているのは、どんなプラットフォームを選べば良いか、つまりベンダー選定です。 当初から検討していたDWHベンダー以外に、いくつかのベンダに声をかけたました。 理由は、2つあります。 一つは、交渉相手が1社だけでは、フェアに価格交渉できないこと。 もう一つは、検討しているベンダーさんの製品が、今ひとつ機能が物足りないことです。 DWH、BIツール、グループウェア…何を使えば良いのか 検討していたベンダーさんと具体的な話を詰めていくと、DWHを使って様々なデータの分析ができることはわかりました。 問題は、アウトプットをどのようにエンドユーザーの手に届けるか、その方法です。 ベンダーさんのお話を聞いていると、多くの導入事例では、システム部門や経営企画部門に導入し、そこでアウトプットしたリストや、それを加工したグラフなどを交えた資料を経営サイドに提出する、という仕組みをとっているそうです。 これは、少し思い描いていたイメージと違いました。 私は、多くのユーザーがデータに触れられるような仕組みを想定していました。 いわゆる「ダッシュボード」的な…。 ポータルサイトに、必要な情報があって、それが常に更新される…みたいな。 もちろん、月次の統計資料も必要なのですが…、これは困った。 それからいろいろ調べていくと、製品のジャンルとして「BIツール」というものに行き着きました。 調べてみると、DWHとBIツールのカテゴリは非常に曖昧です。 ザックリ言うと、DWHが様々なデータを一定の形式に整え高速に処理できるようにしたもの、BIツールはデータを処理し気の利いたレポートを作成し共有するためのもの、といった感じでしょうか。 つまりDWHが入力に、BIツールが出力に重点を置いているように思えます。 ところが、DWHと名乗っていてもしっかりしたアウトプットができる製品もあるし、BIツールと名乗っていても高速に複雑な処理ができる製品もあります。 これまでDWHということで市場調査をしていたのですが、B

HIS系システムの中長期計画を立てることになりました

当院は、2012年の12月に電子カルテシステムが稼働しました。 来年、2017年には、めでたく「電子カルテ導入5周年」を迎えます。 「5年」はシステムのリプレース一つの目安です。 当院では、2012年の電子カルテ導入と同時に、ほとんど部門システムも導入、あるいは何らかのリプレースが行われました。 つまり、来年には、多くのシステムが一斉にリプレースのタイミングを迎えるわけです。 多くのシステムのリプレースを無駄なく効率的に行うには、様々な情報を収集し、計画的に進める必要があります。 そして、このたび、「システムリプレースの中長期計画を策定する」という仕事を拝命したのです。 なんで足を洗ったはずの私が? 以前から、このブログを読んでいただいている方は不思議に感じているかと。 私は、以前は病院のシステム管理部門に在籍していましたが、今は経営企画部門。 システム関係の案件は、私の担当ではないはず。 じつは、システム部門を抜けた私ですが、経営企画の立場として、たびたび、「病院全体で計画的にシステムのリプレースを行う必要がある」と提案していました。 ところが、私が抜けた後のシステム部門は、私に代わって企画業務を担当する人材が入らず、この手の仕事がずっと後回しになっていたのです。 というわけで、「必要なことだったら、おまえがやれ」と。 もちろん、経営企画室の仕事をこなしながら。 まあ、中小規模の病院の人事なんてこんなもんです。 それまで使っていた「中規模病院のシステム管理者のブログ」の名前を、2015年11月から「中規模病院の経営企画室のブログ」に変更したわけですが、はやくもシステム関係の記事を書くことになりました。 ぶれまくりのブログですが、今後ともよろしくお願いします。

広報における「目的」設定の重要性と、伝えるための工夫

今日は、広報関係の話を。 連休明けということもあり、久しぶりにデスクの整理をしています。 溜め込んだ紙の資料を、かたっぱじからドキュメントスキャナーに読み込ませて処分しているのですが、その中で目に留まった資料。 この資料が配付された講演は、とても得るものが多く、大きかったので記事にしておきます。 東北大学病院広報誌「hesso」 資料は、3月25日に行われた、 公益社団法人日本広報協会 主催の「 第12回医療機関広報フォーラム 」で配布されたもの。 当日、4題の講演が行われたのですが、その中で、とても印象に残ったのが、この演題。 「大学病院と地域をつなぐ広報戦略~広報誌・Webマガジン『hesso』を中心に」 東北大学病院 東北大学病院さんの広報誌「hesso」の紹介と、制作のポイントや、そこから生まれた取り組みなど、じつに興味深い内容でした。 文書で表現するのは難しいのですが、なんとも凝った作りで、写真一つとっても、医療機関の広報誌とは思えない、クオリティの高さ。 患者さん目線で校正された文章、内容をイメージしやすい図、誌面を柔らかくするイラスト、とても参考になります。 東北大学病院さんのWebサイトにPDFが掲載されていますので、ぜひご覧ください。 東北大学病院Webサイト 東北大学病院Webマガジン「hesso」 いかがでしょうか、このクオリティ。 待ちの印刷屋さんのレベルをはるかに超えて、もう、このまま書店で並んでいてもいいレベル。 明確な目的 このクオリティの紙面を製作するため、同院では広報に7人の職員を採用しているとのことです。(と講演でお話しされていたような気が…) さすが大学病院、というところでしょうか。地方の中央病院では、そこまでの人数はかけられません。 とはいえ、人数が多ければクオリティの高いものができるわけではないと思います。 講演の中で、「刺さった」のが、病院長の指示。 大学病院の 敷居が高い という印象を払拭してほしい (配付資料より引用) 広報誌やWebサイトを制作しているものの、担当者がネタ探し&執筆依頼に奔走する医療機関は多いのではないでしょうか。 当院もまさしくこの通りで、たまに事務長が全体会議で、各部署にページの更新を