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医療と介護の総合展に行ってきました

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今回は、台風15号シリーズをお休みして、昨日(2019年10月24日)に行ってきた、「医療と介護の総合展」のお話を。 あまり時間がなくてゆっくり見られなかったのですが、いくつか印象に残った子をと書いておきます。 部品メーカーの出店が多かった 医療機関向けのイベントというと、他に「モダンホスピタルショウ」や「HOSPEX」などがありますが、それらと比べると、ベンダーさん同士の情報交換の要素が強かったように思います。 我々、医療機関が導入を考える製品ではなく、最終製品をリリースしている会社や、建物や設備を構築するような会社向けのブースが多く、体感で1/4くらいはそういうブースだったと思います。 働き方改革にIT活用 私の実務に関係する分野では、労務関係の出展に興味深いものが多くありました。 勤怠管理や、社会保険関係のオンライン手続きは、働き方改革が叫ばれる今、格好の商材と言えるでしょう。 恥ずかしながら、私は今回の展示会で初めて「 e-Gov 」というものが世にあることを知った次第です。 介護もIT化 もう一つ印象的だったのが、介護関係のIT化を促す出展が多かったこと。 医療と同じく労務管理などの出展も多かったのですが、その他に介護分野用の電子カルテや、職員の動態管理など、左心のIT技術を採用した出展が多くて、少し驚きました。 介護というと、医療に比べ経済規模が小さく、経営層がIT投資しにくく、またビジネス的にも今ひとつ盛り上がっていない印象だったのですが、これからは認識を変える必要があると思いました。 Japan IT Week じつは、当日、隣の会場で開催されていたのが、「Japan IT Week」です。 こちらの対象は医療だけではなく、広く最新のITを紹介するもので、どちらかというと今回の本命はこちらでした。 AI OCR + RPA とにかくこの「AI OCR + RPA」の出展が多く、私が目指していたモノもこれでした。 いくつかのベンダーさんには、後日あらためてサービスの説明を申し込みました。 私は臨床の人間ではないので、直接、医療にAIを持ち込むのはイメージが湧かないのですが、このAI OCRはかなり現実的だと考えています。

台風15号備忘録:グループ病院からの物資支援

台風19号が東日本に甚大な被害をもたらしました。 当院の地域も台風19号が通過したのですが、メディアで報道されているような大きな被害はなく、10/12(土)の診療を一部制限したのと、職員の避難者を受け入れたくらいで済みました。 今回、メディアで報道されている、「河川の氾濫」や、「冠水」は、本当にたいへんな被害だと思います。 台風15号の際、当院では「停電」と「断水」に見舞われたのですが、それは、復旧すればほぼ「元通り」になります。 しかし、冠水で汚水、汚泥にまみれた建物や設備は、そう簡単に戻らないでしょう。 当院の土地は、歴史的にも洪水などの「水害」に見舞われたことはなく、その点はあまり心配していなかったのですが、今後は少し考えた方が良いかもしれないと思いました。 グループ病院からの支援 さて、そんな中ですが、今回も台風15号の時の話を書きたいと思います。 当院は、同じ法人で二つの都道府県にまたがりそれぞれ1つの病院と複数のクリニックが存在しています。 台風15号では、当院が被災しましたが、隣の県にあるもう一つの病院は無事だったのです。 これまでも書いたとおり、被災時は、食料などの物資が近隣の店舗から消え去り、調達に苦労しました。 そこで、グループ病院が地元で買い出しをしてくれて、当院まで届けてくれたのです。 食料だけではありません。 当時は、まだ9月半ばでとにかく厚く、一部の病棟では停電により空調が効かなくなっていました。そこで、扇風機を大量に購入して届けてくれました。 他にも、LEDランタンや、送迎者用のガソリンなど、本当に助かりました。 離れたところにグループ病院があると、例えば毎月の業務報告や、理事会等の役員会議、お互いのイベントに行ったり来たりと、普段は長時間の移動が面倒だと感じていますが、今回ばかりは、本当に心強く思いました。

台風15号備忘録:スマホの通信ができない時間帯も

台風19号が迫ってきました。 当院では、明日12日(土)の外来診療を一部休診にすることを決定し、すでに予約が入っている患者さんには、昨日から電話をかけて休診の旨と、次回受診の調整をしております。 外来の看護師が電話をかけているのですが、とてつもない件数だけに本当に気の毒です。 当院の周辺では、2日前頃から、店頭から食品がなくなり、ガソリンスタンドには渋滞ができています。地域住民に、台風15号のことがどれだけインパクトが強かったかうかがい知れます。 相手は自然なのでなんとも言えませんが、本当に困ったものです。 スマートフォンが通信できない さて、今日も台風15号のことを書きたいと思います。 意外だったのが、スマホの通信ができなくなったことです。 災害時の連絡手段で有効なのは? なぜ携帯電話が通じなくなったのが「意外」だったのか、理由を書きます。 何度か書いていますが、電子カルテベンダーさんの「ユーザー会」が年に1回あり、そこで毎年のようにどこかの病院さんが、地震や洪水などの「災害」に見舞われたことを報告します。 それは、体験した者が語る、生々しくもあり、本当に貴重な情報です。 その中で、災害に見まわれた直後の「連絡手段」が話題になります。 皆さんの報告を総合すると、通じる順はこんな感じです。 LINE メール 携帯電話(スマホ)の音声通話 固定電話 固定電話が繋がらなくても携帯電話が通じるというのは、ネットワークの構成が異なるのか、正直そのへんはわかりません。 一方で、データ通信が音声通話よりも強いのは、おそらく「タイミング」なのだと思います。 音声通話の場合は、呼び出した相手が「着信」できる状態にないと通話が成立しません。 その点、LINEやメールなどの「データ通信」の場合は、相手の状態にかかわらずとりあえず「送る」ことができて、受信者は通信できるタイミングで受け取ることができます。 ですから、非常時はLINEやメールの方が情報を伝える手段として信頼できる、と思っていたのです。 時間差でやってきた 携帯電話が通じなくなったのは、若干のタイムラグがありました。 聞くところによると、地域一帯が停電になった後、携帯電話の基地局も非常

大風15号備忘録:取材対応

ここのところ、台風15号の被害について書いておりますが、現在、台風19号が迫っているということで、病院の中はまた慌ただしくなってきています。 今日の記事でご案内するのは、当時の取材対応についてです。 台風被害初日の9月9日(月)からTV局、新聞社から取材の電話が入りました。 当院では、上層部が、「取材は一切お断り」という方針でした。 まあ、院内が混乱しているのに、取材に対応しているひまなどない、ということなのですが、私は考えは少し違いました。 こういった機会でも、病院の名前が世に出ることは、認知度の向上に寄与するので、積極的に対応するべきだと思っています。 それは、ただ「有名になりたい」という単純なものではなく、いくつか理由があります。 中小病院もたいへんです ブログのタイトルにあるとおり、当院はいわゆる「大病院」ではありません。 国は、地域の大病院を「災害拠点病院」として、補助金を出し「備え」を促しています。DMATやEMISの仕組みは、言ってみれば「備え」のある医療機関を効率的に利用できる仕組みなのだと思います。 たしかに、中小病院や診療所にまで災害対策の投資をしていたら、キリがないし非効率です。 しかし、患者さんを移すことは簡単ではありません。 特に当院では、入院患者さんに加え、多くお透析患者さんを抱えています。 一日おきの透析が必要な患者さんにとっては、透析はまさにライフラインであり、「他に行ってください」と簡単に言えるものではありません。 平時でも「旅行透析」など、普段は他院で透析している患者さんが、一時的に別の施設で透析することはあります。その時は、あらかじめわかっていて、しっかりと準備をするから良いのですが、突然受け入れるとなるとそうはいきません。 何よりたいへんなのは患者さん本人です。 別の施設で行うとなれば不安にもなるでしょうし、施設までの交通手段だって確保しなければなりません。 だからこそ、苦しい中でもできる限りの対応をさせていただきます。 職員もたいへんです そんな思いがあるからこそ、被災した職員がなんとか病院に出てきて、患者さんの対応にあたっているわけですが、そんなことがメディアを通して少しでも伝われば良い

台風15号備忘録:本部立ち上げのタイミングを逸した

引き続き、台風15号の被害で感じたことを。 医療機関には、定期的な防災訓練が義務づけられています。 火災や地震を想定して、避難訓練を行います。 病院に限らず、どこも同じだと思いますが、会議室など、多めの人数が収容できる場所に「本部」を設置し、各部署から報告を受ける態勢を整えます。 今回の台風15号では、この「本部」が機能しませんでした。 明日復旧するかもしれない まず直面したのが「停電」です。当院では60時間以上停電が続いたのですが、正気なところ、ここまで長くなると思っていませんでした。 最初は情報が全くなく混沌としていました。初日の電力会社の会見は、「明日復旧」とのことでしたが、その後、「思ったよりも被害が深刻で…」と変更になったり。 ようやく停電が復旧したと思ったら今度は断水。 こうして、情報が不足、また錯綜する中、どこかで「間もなく復旧するだろう」と楽観的に見ていたところ、気がつけば1週間、10日と日が経っていったのです。 本部は必要 EMISの記事で、「情報を一元管理することの大切さ」に気づいたことを書きましたが、院内もこれと全く同じだと思いました。 本部がないことによって、情報が分散しました。 実際に、自治体への同じ内容の問い合わせが、数カ所から発信されていたことがわかりました。 逆に、自治体からの回答が、病院の中でたらい回しになることがありました。 こういった状況の中で「情報を整理すること」は重要だと実感しました。 落ち着いて考えれば気がつきそうなものですが、皆苛立っているので、正常な判断ができなかった部分もあります。 たかが台風ではすまされない 余談ですが、「台風」という、年に複数回経験する気象現象を、「これは災害」と判断することはなかなか難しいのではないかと思いました。 もしかしたら、今回一番の教訓はこれかもしれません。 気象のことわかりませんが、これが温暖化によるものなのか、だとすれば今後も台風が大型化していくのでしょうか。 今まで当院の地域では、大きな気象災害に見まわれることはなかったのですが、「台風」が自然の凶器になるとわかった以上、一定の備えが必要であると切り替えていきたいと思います。