投稿

8月, 2018の投稿を表示しています

透析室で電子ペーパーの活用

電子カルテベンダーさんのユーザー会でお見かけした、電子ペーパーの活用事例のことを書きます。 透析室の運用の中枢を担うのが、「透析支援システム」です。 「透析支援システム」はその名の通り、透析室の各ベッドで行われる血液透析を管理するもので、本来はコンソール(と呼ばれるベッドサイドにある血液を循環する装置)とは別物なのですが、切り離して考えるのはなかなか難しいのです。 透析支援システムのベンダーロックインと当院の事情 というのも、支援システムとコンソールの間はベンダーごとのプロトコルで通信されるからです。 一応、業界には「標準」のプロトコルもあるのですが、各ベンダーはこれを拡張し、寄り細かな管理ができるようにしているので、透析室の運用方法にもよりますが、少なくても当院では「標準プロトコル」は使い物にならないのです。 つまり、「コンソールがA社なら、支援システムもA社」というように、いわゆる「ベンダーロックイン」が形成されてしまいます。 当院では、透析室が複数あるのですが、〇〇透析室はA社、✕✕透析室はB社と、複数のベンダーが入っており、電子カルテと接続がややこしくなっています。 また、透析室によって操作方法が異なることで、看護師が「異動」ができなくなっています。 そんなわけで、透析支援システムのベンダー統合は重要な課題であり、次のシステム更新では、ぜひとも成し遂げたい課題の一つです。 電子ペーパー活用でベンダーロックインを回避 話はユーザー会に戻ります。 演題発表された病院を仮にK病院とします。 K病院さんでは、それまで使用してきた透析機器ベンダー製純正の支援システムを改め、電子カルテベンダーの支援システムに移行したとのこと。 なぜ、透析機器ベンダー製をやめてカルテベンダー製にしたのか、その点は語られていなかったのですが、思い当たるところはいくつかあります。 コスト削減効果もありますが、電子カルテシステムとの親和性の問題化と推測しています。 さて、透析機器ベンダー純正の支援システムではなくなることにより、コンソールとの間でやりとりできる情報が「標準プロトコル」に限定されます。 これによって使い勝手が損なわれる要素はいくつかあるのですが、そ

カルテベンダーさんのユーザー会に行ってきました

この週末は、大阪で開かれた、カルテベンダーさんのユーザー会に出席してきました。 今回から数回にわたりユーザー会に出席して感じたことを書いてみたいと思います。 毎年ユーザー会に出席して、当院のITに対する理解度の低さを実感し、また、他の病院はどうなのだろう、という疑問を持ちます。 数々の演台発表を聞くと、その発想と技術力には感心するばかりです。 しかし、それと同じことが当院でできるか、と考えると、サッパリ想像がつきません。 例えば、ある病院さんが、手術の予定と進捗をリアルタイムに電子カルテのPCで共有する取り組みを発表されていました。 私は、たいへん良い取り組みだと思います。 当院では、手術に入る医師は、所持するPHSを事務に預ける仕組みになっています。 病棟からPHSに呼び出しがあると、事務が応答して「〇〇先生は手術に入っています」と返します。 病棟:「何時頃終わりますか」 事務:「もう少しだと思います」 なんてやりとりをしているのをよく見かけます。 これって、前述の取り組みで全て解決するのでは、と思います。 手術の予定は必ず入力されているわけだし、手術記録はリアルタイムに生成されるわけだし、このために誰かが新しいことをしなくて良いのです。 というか、今回の演台発表を見るまでもなく、何年も前からそうすれば良いと思っていました。私自身、先生の予定を確認するとき、手術予定の画面を見ますし。 しかし、当院でこれをやろうとすると、「電話で聞いた方が早い」という意見が出てくるのは容易に想像がつきます。 手術予定の画面を開くのが面倒なら、サイネージにしてステーションの中に表示しておけば、と思いますが、費用がもったいない、となるでしょう。 電話を受ける側にも人件費が発生しているし、返答できる情報も不正確。病院全体でみたら生産性が上がらないと思うのですが…。 それを議論することもなく、私も含めこれを立証しようとすることもなく、また今日も、医師から預かったPHSが鳴ります。 まあ、これは長い時間をかけて定着している病院の「風土」といってもいいもので、私太りの働きかけてそう簡単に変わるものではありません。 多くの演台に興味深く聞き入る一方、ふと我に返るとこのもどかしさ。 今回は、その落差が特に強いユーザ

なぜか混同される仮想サーバーとクラウド

明日、電子カルテベンダーさんのユーザー会に出席するため、大阪に行きます。 これを書いてしまうと、もう当院が使っている電子カルテのベンダーさんがわかってしまいますね…。 それはそうと、今日はかるい話題。 現在、私は2019年に控えた、院内の各システムの更新の計画立案に取りかかっています。 いや、「取りかかろうとしている」と言った方が正しいか。 じつは、来年、電子カルテシステムのサーバーが保守切れになり、更新、つまり買い換えなければなりません。 で、いよいよ我々のような中小病院規模でもサーバーの「仮想化」が現実的になってきたと見込んでおり、その調整をしようというわけです。 サーバーを仮想化するなら、各部門システムもできるだけ多く仮想環境に移行したいものです。 で、「サーバの仮想化とは」という話を、各部署に説明して回っているところでして、具体的な計画立案はその先。冒頭に「取りかかろうとしている」と変な表現になったのは、そんなわけなのです。 ところで、サーバー仮想化の話をしていると、なぜか多くの人が「クラウド」と混同されます。 仮想化の説明をしていると、どうも話がかみ合わないので、よくよく聞いてみると「仮想化=クラウド」と勘違いしていることがわかったり。 先日、ある部署から、検査機器メーカーさんとの打ち合わせに呼ばれた時のこと。 「ほら、この間。次のサーバーはクラウドにするって言ってじゃん…、メーカーさんにそのことを話してもらおうと思って…」と。 一言も「クラウド」とは言ってませんが…。 まだ、サーバーの仮想化は決定事項ではありません。検討の結果、従来通りの物理サーバーになる可能性も残っていますが、それにしても…不安だ。

勤怠管理システムのプレゼンに参加しました

先日、人事課より、「ベンダーさんから勤怠管理システムのプレゼンがあるので参加してほしい」と要請を受け参加してきました。 なにせ、プレゼンの当日に声がかかったもので、なにも予備知識なしに参加したのですが、興味深く聞かせてもらいました。 その中で、「やっぱり…」と思ったのが、医師の勤務時間の確認方法です。 医師はタイムカードを使わない 当院では「医師以外」の全職員がタイムカードで勤務時間を記録しています。 では、「医師」はどうしているか...、事務員がチェックしています。 医師が事務員に「出勤したよ」と声をかけるのではなく、事務員が目を配り、気がついたらチェックします。 といっても、事務員が全ての医師が見える場所、あるいは通る場所に配置されているわけではないので、リアルタイムのチェックではありません。 そんなやり方なので、「その日出勤していたかどうか」は、ほぼ合っていると思いますが、「何時に出勤して何時に退勤したのか」は、最初から諦めています。 だからでしょうか、「就業時間になってもあらわれない」、「まだ就業時間が終わっていないのに帰ってしまう」医師もチラホラ。 世間ではこれを「遅刻」「早退」と言いますが、当院では通常どおり勤務した「こと」にして記録しています。 「時間になっても医師が来ない」と、現場から事務に問い合わせが入ることも、月に1~2回見かける「朝の光景」です。 (ただし、そういう医師は少数派です。念のため。) なぜ医師にタイムカードの利用を強制できないのか たかだかタイムカードを打刻する「だけ」のことですが、先生方はそれをしません。 「できない」のか、できるのに「しない」のか、あるいは、先生方に抵抗はないのに事務方が「忖度」しているのか。 私は今の病院で働き始めて6年なので、その前がどうだったのか知らないのですが、おそらく、他の職員がタイムカードを導入した時期、医師は除外されたのだと思います。 「医師はタイムカードに打刻するなんて、面倒なことはしない」 と、最初から諦めて、それが今に至るのでしょう。(あくまで私の推測です) 他の業種の方に言っても理解いただけないかもしれませんが、少なくとも当院ではこれが実状です。 当院のような地方の中小病院にとって、「医師」とはひときわ「稀少」な