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台風15号備忘録:EMISって、知ってますか?

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みなさん、「EMIS」って、知っていますか? 医療に携わる方なら、その名前くらいはご存知でしょうか。 「いーみす」と読みます。 詳細は下のバナーのリンク先をご覧ください。 ザックリいうと、被災した医療機関がWebサイトから随時情報を入力して、その情報を元に中央からサポートを手配するというものです。 初めて使った 恥ずかしながら、私もその存在は知っていたのですが、使ってみたのは初めてでした。 というのも、EMISの担当は、院内の災害対策委員会の担当になっており、その災害対策委員会は、事務部門は主に総務部門から人員を割いています。つまり、私はまったく関係なかったのです。 定期的に行われる避難訓練と同じように、EMISの入力訓練なんかも時折やっているのですが、総務部門の職員が少ない日に「あっそうか、EMISの練習だ」なんて思うくらいで、私には縁のない話でした。 ところが、いざ被災してみて入力が必要になると、情報を収集して外部に発信するなら「広報」に長けた者の方が良いだろう、ということになりました。 まあ、総務部門の職員が「人力給油」で忙しくて、私のようなフリーの人間に声がかかったというのもありますが。 そんなわけだから、わからないことばかりです。 そもそも項目の定義がわからない。 どの程度正確に入力しなければならないのか。 アップデートの頻度はどの程度なのか。 大事な取り組みだと思う なんとか、使っているうちにわかってきたのですが、確かにこれは大事な仕組みだと思いました。 当時、院内でもそうだったのですが、情報が錯綜すると、本当にムダが出ます。 発生した一つの問題に対し、「誰かが対応している」あるいは「誰も対応していない」がわからないと、別の場所で同じようなことをしていたり、逆に「抜け」てしまったりしました。 例えば、当院が市町村や都道府県、近隣の医療機関や消防など、それぞれに連絡していたら、連絡する「手間」も相当なものですが、もしサポートがダブってしまったら、他の被災者にとって「もったいない」話です。 だからこそ、情報を一元的に管理し、中央から適切な指示を出すことはとても大事なことです。 な

台風15号の被害:自家発電装置のこと

台風が去り、地域一帯が停電になり、当院は自家発電設備に頼ることになりました。 当院で使用している自家発電機は、私が当院に入職する前、2011年に導入したモノとのことです。 2011年と言えば、誰もが記憶している「東日本大震災」です。 この時、当院の地域でも「計画停電」が行われ、その前に導入したのか、その後に導入したのか、私は知らないのですが、いずれにせよそれがきっかけで導入したとのことです。 じつは、当院では2017年に病院の近くに、別の施設を建設しているのですが、その施設にも自家発電装置が入っています。 施設の検討段階では、高額な自家発電装置の導入に反対の意見もあったのですが、今回、「入れておいて良かった…」と、院長がしみじみ語っていたのが印象に残っています。 さて、当院の自家発電機、いくつか問題があります。 うるさい とにかく動作音がけたたましく鳴り響きます。 9/17の記事 にも書きましたが、数百メートル離れた職員駐車場で、動作していることがすぐにわかるほどの騒音です。 ご近所の民家の皆さん、停電でイライラしているところ、本当に申し訳ない思いでした。 いくつかある、発電機の一つは病室のすぐ外にありました。 エアコンが効かない中、病室によっては、その「轟音」ゆえに窓を開けられない部屋も。 人力で給油 当院の自家発電機は「重油」を使用しています。 被災直後は、この重油そのものの供給が危ぶまれましたが、以前の記事で書いたとおり、周辺地域は問題ないので、そこは心配したほどではありませんでした。 問題は、自家発電機そのもののタンクが小さいこと。 大量の重油を購入しても、それは別の場所にある貯蔵タンクに入っているのです。 ですから、職員が人力で、貯蔵タンクから運ばなければなりません。 9/17の記事 で書いた、真っ先に「給油ポンプを買いに行った」というのは、そのためです。 ポンプと言っても特別なものではありません。昔ながらの、ストーブやヒーターに灯油を入れるようなポンプ。 このポンプを使って、これまた昔ながらのポリタンクに重油を移し、台車に乗せて数百メートル運び、またポンプを使って、ポリタンクから自家発電に移すのです。 この重労働を、総務課の職員が夜通

台風15号の被害:食料調達

薬品や診療材料などのサプライは、さほど困りませんでした。 被災地域は限定的で、そのすぐ周辺の地域は被害が大きくなかったので、「外から入ってくるモノ」が滞ることは、ほとんどありませんでした。 ただし、食料だけは別です。 患者食 患者食が提供できなくなるような最悪の事態は避けることができましたが、しばらく患者さんには緊急時のメニューで我慢していただくことになりました。 患者食も、それから職員食も、停電で使える調理器具が限定されるので、食材の調達に問題がなかったとしても、メニューを変更せざるを得ないのです。 そして、一旦変更したメニューは、「それ用」に食材を調達しているため、停電が復旧しても、すぐには戻すことができないとのこと。 結果的に、患者食が通常のメニューに戻ったのは、9日目の9/17(火)です。 職員食 当然ですが、患者食優先なので、職員の食事は二の次です。 大量のカップラーメンを調達し職員食堂に準備、お湯だけ沸かして職員の空腹を満たしました。 この数日は、お昼時になると院内の至る所でカップラーメンの香りがしていました。 9/12(木)から昼食だけ復旧(ただしメニューは通常とは異なる)し、完全に元通りになったのは、患者食から1日遅れて昨日からです。 街のお店が開いていない 病院の中はこんな具合でしたが、とにかく困ったのが、スーパーもコンビニも町中のお店が開いていないこと。 これは、私の推測なのですが、停電により「システムが動かない」ことが問題なのだろうと。 前述の通り、周辺の地域からさまざまな「商品」を受け入れることは、「流通」としては十分可能だったはずです。 しかし、各店舗のPOSレジや、在庫管理システム、受発注システム、そして「通信」ができないことで、様々な処理ができなかったのでしょう。 今の時代、なんでも「ピッ」ですからね。 なので、前述のカップラーメンも、遠く離れた場所まで、事務職員が車を飛ばして買い出しに出かけたりしました。 ホームセンターに行ったときのこと ちなみに、台風が去った9/9(月)の朝、真っ先にホームセンターに給油ポンプを買いに行きました。 自家発電機に給油するためのポンプが必要だったのです。 案の

台風15号にやられました

すでに復旧しつつあるのですが、9/9(月)未明の台風15号の影響で、当院と地域はかなりの被害が発生し、1週間経った現在、やっと復旧してきました。 前回 の記事で、8月の電子カルテのユーザー会について何回かに分けて書くとしましたが、予定を変更し、今回の台風被害で思ったことを下記残しておきたいと思います。 一応、このブログは匿名でやっております。当然、医療機関も伏せてやってきたのですが、今後の記事の内容でわかってしまうかもしれません。 ですが、大変貴重な経験だったので、ブログ読者の皆さんにぜひ共有したいと思います。 もしわかっても、そっとしておいていただければ助かります。 さっそくですが、今日の記事では当院が陥ったライフラインの被害を書いておきます。 停電 9/8(日)の夜に自宅で就寝、寝苦しい夜でした。 日付が変わったくらいから、断続的に停電が発生していました。すぐに復旧するのですが、そのたびにエアコンの電源を入れ直しました。 9/9(月)の2:30頃だったでしょうか、そこから全く電気が復旧しなくなりました。 後に、電子カルテベンダーさんから、丁度その時間に電子カルテサーバーが一度ダウンしたことを教えていただいたので、病院もその時間に停電したのだと思います。 9/9(月)朝、出勤して職員駐車場から病院に向かって歩いて行くと、自家発電機の盛大な稼働音を聞いて「病院もか…」と落胆したのをハッキリと覚えています。 それから、9/11(水)の16:00過ぎま約60時間、停電が続いたのです。 ちなみに私の自宅はその翌日、9/12(木)の17:30まで停電が続きました。 断水 電気が使えないのもキツかったのですが、時間差でやってきたの「断水」です。 前述の通り、9/11(水)の夕方に電気が復旧し、「明日からやっと…」ということで、体制を整えていたのですが、翌日9/12(木)の朝、「これから断水する」との情報が。 市役所から、医療機関ということで、一般より一足先に連絡がきました。 聞くところによると、当院の地区を管轄する「配水場」の設備が一部故障して、溜まっていた水を放出しきったのが、9/12(水)の朝だったということらしいです。 そしてこの断水は今日、9/17(月)