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電子カルテの導入期間を振り返って-これから導入される方へ

このブログでは、管理者用の画面があり、そこではどの記事に、どれくらいのアクセスがあったかが、分かる仕組みになっています。 コンスタントにアクセスを集めている記事の一つに「 電子カルテの導入期間はわずか5ヶ月 」という記事があります。 このブログを始めたばかりの頃に、カルテメーカーさんから「5ヶ月で導入します」というプレゼンテーションを受け、その短さに驚いた…、というだけの記事なのです。この記事がアクセスを集めているということは、たぶん導入期間に関心のある方の検索に引っかかるのでしょう。 そんな方の参考になればと考え、この5ヶ月間を振り返っておきたいと思います。 【導入期間開始前】 私が当院に着任したのは、5ヶ月の導入期間が始まる2ヶ月半前でした。「IT化」という意味では、同規模の病院に比べむしろ遅れている感がありました。それが一気に「電子カルテ導入」というのは、今思えば院長の「英断」なのですが、当時は本当に不安でした。 その私よりも、不安だったのが現場の職員です。私の印象では、特に看護師の不安はたいへんなものでした。 導入プロジェクトが正式に始まる前後はその不安から、「とにかく説明会を開いてくれ」と言われたものです。私自身もなるべく対応するようにしましたが、電子カルテの一般的な話はできても、機能や操作方法など具体的な話になると、メーカーさんに頼らざるを得ません。頼みのメーカーさんはというと、「(プロジェクトが)始まれば、おいおい説明しますから」という対応ばかりで、現場との板挟みになりました。メーカーさんの気持ちもよくわかります。たぶん、現実に触れてもいないものをいくら丁寧に説明しても、理解度が上がらず、結果、非効率なのでしょう。 当時の記事にも同じ事を書いたのですが、「初産」で何もかもが手探りの我々と、「この子で3人め!」くらい(?)のメーカーさんのギャップに悩んだ時期です。 【導入期間開始直後~4ヶ月前】 この期間のことで思い出すのは、部門システムの選定についてです。 電子カルテ本体もさることながら、当院では多くの部門システムがこの機会にリプレースになりました。部門システムを選定する現場にしてみれば、仕事の仕方に直結するので、簡単には決められないのですが、カルテメーカーさんは、「早く決めてくれないと接続の時間がなくなりますよ…」と。

導入直前の混乱で、信じられないミス

電子カルテが稼働して10日以上経過しましたが、導入前の混乱を少しだけ記事にしておきたいと思います。 導入直前は、各ベンダーさんの納品が殺到しました。納品といっても、ただ物を置くだけでなく、設定はもちろん、電子カルテとの接続、稼働試験、実際に機器を使用して説明・リハーサルなど、ベンダーさんもたいへんですが、当院の職員もいろいろと対応することがあって、忙しい限りでした。 そんな誰もが、浮き足立っている時こそ、信じられないようなミスが起きます。 リハーサルが始まっても、生体情報モニタから、電子カルテに情報が送られこない、と大騒ぎしてみたものの、ハブの電源が入っていなかった。 オーダーを監視するプログラムを、夜間のメンテナンスで停止し、その後起動するのを忘れていた。 なんて、本当に「ウソでしょ!」と言いたくなるようなイージーミス。 その他にも、たまたま同時期に行われた漏電検査で、ある部門システムのサーバーがダウンしていたのですが、それに気づかず、調査に何時間もかかったなど。 UPSコントロールの設定が、数ミリ秒の停電を感知しただけでシャットダウンを発動する設定になっていたそうで、その後、停電の許容時間を数分に延長することにしました。 一瞬、「そもそも、こんな時期に漏電検査をする方が…」とも思いましたが、本番前に気づいてよかったとも言えます。 普段の仕事でもそうですが、焦っていると良い仕事はできませんね。

電子カルテ可動から10日経過しました

電子カルテの可動から、今日で10日が経ちます。 【ハードウェア的には問題なし】 ハードウェアやインフラとしては特に問題なく稼働しております。 当院では、本番と全く同じ環境を使って、システム構築や、説明会・リハーサルなど実施していました。本番が近づくにつれて、徐々に稼働率が上がり、本番直前と、本番ではほとんど変わらない稼働率で、システムに係る負担が急に増えることがありませんでした。 もう15年ほど前になりますが、当時在籍していた病院では、稼働初日にシステムダウンして大混乱になりました。当時、私はシステム部門のではなかったのですが、大変な騒ぎになったのを覚えています。おそらく、当時は開発環境と本番環境が完全にセパレートされ、規模も全く違ったのでしょう。15年も経てばサーバーのパワーも圧倒的に違うでしょうし…。 とにかく、ハードウェア的なトラブルがないのは、システム部門としては本当に良かったです。 【システムの接続に難あり】 ハード的には問題ないのですが、ソフト的には大小様々な問題が出ています。 ひとつは、各部門システムとの接続です。カルテメーカーさんが提供するシステムの中で完結している分には何の問題もありません。電子カルテと、他のベンダーさんにお任せしている「部門システム」との接続でトラブルが多発しています。 当たり前といえばそうなのですが、身内のことはいかようにもできるのでしょうが、相手がいるとなると先方の事情もふまえながらやっていかねばなりません。 臨床検査システムや、透析支援システムなど、電文のやり取りがおぼつかないケースや、スキャナで取り込んだファイルを部門システム仕分けて保存するはずがうまくいかないなど、「システムの問題」は「接続の問題」と置き換えてもいいくらいです。 【やはり運用】 もう一つの問題は、「運用」の周知徹底です。「こういうときは、この場所に記録する」、「記録する時は、この順番で」など、職員同士で示し合わせて置かなければならないことが徹底されていないがゆえに、指示を出す側と受ける側で食い違ってしまいます。 幸い、明らかに「これは入力者が段取りを理解していない」というのが明らかなケースばかりなので大事に至っていませんが、稼働後に起きている問題を、ハード、システム、運用で仕分けるとすれば、

電子カルテが稼働しました

報告します。2012年12月1日より、電子カルテが稼働しました。 【壮絶な機器設置】 すっかりブログの更新が滞っていましたが、最後の1週間は本当に忙しかったです。11月22日にクライアントPCの最終の大量納品があり、23日(金・祝)~25(日)の3日間で、設置・設定専門の業者さんが一気に配置。やりきれないものや、現場がどうしても置けないものは、最後の週にカルテメーカーさんと当院のスタッフ(私以外に2名)で設置しました。 私が、文字通り「司令塔」になって、設置場所とアポを取り、PCの設定を、業者さんやスタッフに指示して設置していきました。 「クライントPCの設置なんて、しっかり計画を立てれば、あとはその通りやれば…」とツッコミが入るのは承知しております。 ところが、導入スケジュールが終盤に差し掛かってくると、どうしても計画通りにいかなくなるのです。 急な変更 稼働前のリハーサルをこなして初めて気づく問題点があります。「ここにPCがなかったら、受付がパンクする」とか、「請求書と領収書には別の用紙を使うことになったので、プリンタが2台必要になった」とか。バーコードプリンタやスキャナなどは、なかなか運用のイメージが湧かないので、なおさらです。 貸出のやりくり 稼働が近づくにつれて、各部署で「運用の打ち合わせのために実機を使いたい」、「マスタの作成・確認作業のため」、「シミュレーションのため」など、いろいろな理由で、貸出機の要望が出てきます。その都度設置する場合や、一定期間貸し出すなど、いろいろなオーダーが入ってきます。 設置場所の確保 「旧システムを稼働前日まで使うので、設置するスペースがない」とか、「テーブルを注文してあるので、それが入るまで待って」とか。 と、様々な事情で、計画の変更が求められます。「今さら計画は変更できません」と突っぱねれば良いのですが、どうしてもそれができない性格なもので…。 で、いろいろやりくりをしていると、そのうち、どこにどのPCが設置されているのか、管理が煩雑になってきます。ある程度、デスクトップPC、ノートPCそれぞれ機種は統一しているのですが、コンピュータ名、有線・無線LANの設定、プリンタの設定、その他周辺機器のセットとドライバの構築など、個別の設定があり、それらを間違えると機能しません。 「I

システムに気を取られ、運用の周知がおろそかに

電子カルテの稼働に向けて、各部署でリハーサルが本格化しています。 私自身は、リハーサルの直接的な当事者ではないので、遠巻きに状況を見ながら、その後の反省会でいろいろ述べさせてもらっています。 とはいえ、ハードウェアの準備(と片付け)やら、リハーサル中の司会(?)などで、結構忙しいのです。 リハーサルに参加していると気がつくのが、運用が周知徹底されていないことです。 先日の外来でリハーサルの一コマ…。 診察室で尿検査、血液検査、点滴をオーダーし、看護師は患者役に「では、尿検査から」と。 尿検査をを終えたら検査技師が、「では点滴室でお待ちください」。 しかし、点滴室の前で待っていても、一向に患者役は呼ばれません。 不審に思って調べてみると、点滴の場合は、患者(役)が一度カウンターに受付票を提出する運用になっているのです。ただ点滴室で待っていても、看護師が患者(役)の到着に気づかないのです。でも、確かに検査技師は「お待ちください」としか言っていないので、患者役に非はありません。 これは、システムの仕組みや、操作方法というよりも、単純に「運用の問題」です。 他にも、前回リハーサルで浮き彫りになった課題を、今回までに修正したのですが、修正されたことが伝わっておらず、参加者一同「あれ、なんか前と変わった?」なんてことも。 私は、立場上ほとんどの部署のリハーサルに参加しているのですが、全てのリハーサルで、問題は操作方法よりもむしろ運用の周知がなされていないことにあります。 電子カルテの操作方法については、カルテメーカーさんの主導でスケジュールが決められ、強制的に説明会が行われていくのですが、運用については自主的にやらなけれいけないのです。 「操作説明で運用もイメージできるはず」というツッコミが入りそうですが、ただでさえ操作方法の習得で疲れている中、運用まで考えている余裕がないのでしょう。 とはいえ、毎晩現場のスタッフが遅くまで残って、操作習得や打ち合わせで頑張っているのに、決まった運用が周知されてないがために結果が出せないのは、なんとも歯がゆい思いです。 最近は各部署に「運用のアナウンスも大事ですよ…」と言って回っています。さらに、リハーサルの前日に、修正点が伝わっているか再確認する機会を設けることにしました。

PACSビュワーのグラフィックボード、安いものを試してみました

PACSのグラフィックボートを節約したお話です。 【電子カルテは新規、PACSはリプレース】 このたびの電子カルテ導入と、良くも悪くも、PACSのリプレースの時期が重なってしまいました。 「良くも悪くも…」と書きましたが、「良い」のは、OSの世代の問題や、ちょっとした相性などで、既存のPACSに縛られずに、電子カルテを導入できる点です。「悪い」のは、その分一気にとりかからなければいけないので、プランニングが大変なこと…です。 【相乗り】 電子カルテとPACSは同じPCで動かします。今回のPACSリプレースでは複数のメーカーにプレゼンテーションしてもらいましたが、今や殆どのビューワーがInternetExplorerで動くので、あまり電子カルテの動きに干渉しません。 そんなわけで、ひとつのPCで両方のシステムを動かすわけですが、2つディスプレイを用意し、片方に電子カルテ、もう片方を立てにしてPACSで使用します。 【グラフィックボード】 当院が採用したスタンダートのPCには、ディスプレイのポートが1つしかありません(しかもアナログ)。2つのディスプレイを接続するためには、グラフィックボードが必要になります。 で、このグラフィックボード、PACSのメーカーに見積をお願いしたら、1枚が3万円代後半。あまりPCパーツには詳しくない方ですが、この金額のレンジは結構高級品ではないかと。 自分の感覚では、グラフィックボードの競争のフィールドは主に「3D性能」であって、PACSにはあまり関係ない世界の話なのではないかと考えています。 しかも、調べてみるとこのグラフィックボード、あるメーカーのOEMで、医療用として特別にチューニングされているとは思えません。そのOEM元の製品は市場で2万円程度で出回っていました。 完全に火がついた私は、全く別のメーカーの安価な(6,000円)グラフィックボードを用意し、放射線科の読影医に判断してもらうことにしたのです。 【結論】 第一のコース、PACSメーカー純正品、3万円代後半 第二のコース、OEM元の製品、2万円弱 第三のコース、システム部門の担当者が見つけてきた製品、6,000円 と、3種類の製品が届き、同じPC、同じモニタを3セット並べてみました。 いろいろな人に評価をお願いすると、結構評

参加者多すぎで、初リハーサルは大失敗に

電子カルテ稼働を控え、先日ついにリハーサルを行いました。 当院では、大きく、「外来」、「病棟(入院)」、「透析」の3カテゴリーに分けて企画しています。 それぞれ段階的に、会議室の中で行う「シミュレーション」、現場に出て実際に持ち場についておこなう「リハーサル」、リハーサルの中でも、数をこなすことを目的にしたり、部門間の連携を中心に行ったり、この先びっしりスケジュールが組まれています。 さて、数あるリハーサルの中で、1つ目である「外来」の「会議室シミュレーション」を行いました。 大きな会議室の中で、「受付」、「診察室」、「検査室」…など、各現場を想定したブースを作って行うのですが、さながら文化祭の模擬店のよう。 会議室の中で一同に介して行うのには、「互いの顔が見える」ところに意味があります。 自分の部署のことだけでなく、「自分の部署の操作が、他部署に対してどのように影響するか」、逆に「他部署の操作が自分の部署にはどのように影響するのか」を確認します。 「診察室でオーダーを入力したら、検査室にはどのように見えるのか」、「検査結果を入力したら、診察室ではどのように見えるのか」、「その時、看護師は検査が終わったことをどのように知るのか」など、自分の部署にいるだけではわからないことを学んでいきます。 たぶん…、想定外のケースが発生した時に、仕組みがわかっていれば、ある程度対応できると思うのです。ところが、自分の部署の段取りしか教えられていないと、他部署でどう影響するのかわからないので、行動が止まってしまうと思うのです。 そして、前日から会議室を入念にセッティングして望んだのですが、想定外の大失敗に。 各部門のキーマンだけを集めて行うつもりが、看護部が大勢参加して、診察室のブースがあふれることに。 他の部署のスタッフが全く近づけない状態になってしまったのです。 せっかく時間を割いて(もちろん夜です)集まってくれたのだから、「帰ってください」とも言えず、とりあえず始めてみたのですが…。 そこらかしこで「操作説明会」になってしまい、想定していたケースがまったく消化できず。 後でで聞いたのですが、看護部内では「都合のつく人は見学を」というアナウンスが回っていたそうで。 段取り一つで、こういったイベントの成否が大きく変わるという

他施設からのCD-ROMは事務でPACSに取り込みます

以前に、「 他施設からのCD-ROMをPACSに取り込むか 」という記事を書きました。 当院ではこれまで、他施設で撮影したDICOMのCD-ROMを開くときは、診察室のPCで直接開いていました。 今後も、この方法でいくのか、あるいはPACSに取り込むのかという内容の記事でした。 これについては、かなり早い段階で「PACSに取り込む」ということに決まっていました。 複数の先生に聞いてみたところ、PACS取り込みがいまや一般的で、使い慣れたインターフェースで操作できる方が良いとのことでした。 問題は、「どこの部署で取り込むか」という部分で、放射線科や地域連携室などが候補に上がったのですが、それなりの負担になるのでどこの部署も敬遠し、結局医事課が受付窓口で対応することになりました。 PACSに取り込む際に、モダリティの指定などができるかどうか(例えば、どちらも断層画像である、MRIとCTが、事務の職員に区別がつくか)など、若干の不安が残りますが、まずはこれでスタートすることになりました。 さて、先生から念を押されたことがあります。「いくら呼びかけても、診察室でCD-ROMを取り出す患者さんはいるよ」と。 これについては、対応策が用意してあります。他の病院を見学に行った時に「なるほど」と思った、「スタンドアロンのノートPCを用意しておく」というアイディアです。 これなら、持ち運びできるし、万が一CD-ROMがウィルス感染していても、ネットワークに拡散することはありません。 外来だけでなく、救急もこれで対応することにしました。 で、ひとつ困ったことが。「どうせスタンドアロンなら」と思い、スペックが低くても構わないと考え、院内でどこか余っているノートPCがないのか探したのですが、なかなか見つからず。 さらに、よくよく考えたら、急にCD-ROMを差し出された時に、「すぐ使える」ことが重要なので、使いふるしのPCで、「起動まで◯分かかる」というわけにはいかないのです。 最近はやりの「Ultrabook」なんかを買ってみようかと考えています。

大画面のモニターがほしい

稼働日が迫ってきて、今では毎日朝晩問わずどこかの部署の操作説明会が開催されています。 インストラクター用の画面を見ながら、手元のクライアントPCを操作してもらうという、「パソコン教室」さながらです。多い時は20台くらい並べて操作説明をしています。 当院には、会議室がいくつかあるのですが、そのうちもっとも大きい会議室(当院では大会議室と呼んでいます)を使わせてもらっています。というのも、電子カルテの画面はある程度の解像度が必要で、最低でもWXGA++(1600✕900)ないと、まともに操作することができず、その仕様のプロジェクターが大会議室に備え付けた天吊りのものしかないからなのです。 ですから、大会議室は毎日奪い合いです。 そこで思い出すのが、他の病院さんに見学に行った際に使用していた、大型の液晶テレビ。たぶん50型くらいだったと思います。テレビなら、部屋を暗くしなくていいし、スクリーンを用意する必要もないし、ピント合わせも必要ないし、なにより最近は価格が下がっています。 今後も、説明会が続くのでぜひとも購入を…、と総務課にかけあったのですが却下されました。 「今時、SVGAのプロジェクターって…」 と、グチりながら、日々会議室の調整と会場設営に追われています。

ラウンド用のノートPCをどこで充電するか

入院病棟には、病棟をラウンドするナース分のノートパソコンが配置されます。 当院では、病棟によっても違うのですが、病棟あたり6~8台を配ります。 (ちなみに、ステーション用は別にあります) 「ラウンド用」というくらいだから、これを持って病棟を回ります。 他に荷物もあるし、なにより落としたら大変なので、専用のカートにのせます。 さて、いよいよ用のカートが入荷してくることになり、看護部に準備をしておくようにお願いしたら、「ところで、ノートPCって、どこで充電するんですか?」と。 確かに8台ものカートが一同に集結したら、それだけでも結構場所を取られます。 じつは、以前に他の病院さんに見学に行った時に、いろいろなことを教わったのですが、今ひとつ、「?」と思っていたことがあります。 それは、「ノートPCはカートで使うことになると思うけど、セキュリティチェーンはかけない方がいいよ。充電の時に困るから。」というアドバイスでした。 その時は、なんのことやらわからなかったのですが、たぶんそちらの病院さんでは、ノートPCをカートから外して、充電しているのだと思います。 なるほど、そのほうがACアダプタが散らかることがなく、一箇所に集中させることができます。 セキュリティをとるか、スペースをとるか、看護部で充電の仕方について、検討してもらうことになり、セキュリティチェーンの注文を直前で止めたところです。

プロジェクトの進捗管理は小刻みに

電子カルテのプロジェクトが大詰めで…と、何度このブログで書いたことか。 勤怠を集計してみると、毎月のように休日出勤と残業時間が増えていく、きれいな右肩上がりの日々です。 さて、やはりというか、プロジェクトに遅れが出てきました。 全体が遅れているわけではないのですが、一部の部署で遅れが出ています。ある程度足並みが揃わないと次の行程に入れないところがあり、バランスが崩れてきています。 最も遅れている工程は、「マスタ作成」です。 これを書いてしまうとどこのメーカーを採用したのかわかってしまいそうですが、少し当院で採用した電子カルテについて書かせていただきます。 当院で採用した電子カルテは、マスタの作成にかなり時間と労力が掛かる仕組みになっています。 ここでいう「マスタ」とは医師が入力するオーダーマスタのことです。まず、各診療現場のスタッフは、医師がオーダー入力しやすいように、オーダーを選択する画面を整えていきます。オーダーが階層的になっており、例えばCTの予約では、[CT検査]→[部位(上腹部単純ど)]→[コメント(OPE前、読影ありなど)]と、気の利いた選択画面を作りこんでいきます。 ここが一つ目の課題です。今までは、医師が走り書きすれば、経験を積んだスタッフがそれを理解していたのですが、コンピュータが相手となると曖昧にはできません。また、医師ごとのクセや言い回しも通用せず、すべての医師に同じ操作体系でオーダーをしてもらうことになり、その調整がたいへんです。 2つ目の課題は、保険点数の体系に合わせることです。各現場でオーダーのしやすさだけを優先して作ったマスタの構造が、必ずしも保険点数の体系とマッチしているわけではないのです。仮に、その時はなんとか医事課が合わせたとしても、いずれ来る保険改正の時に、修正するのが面倒になったりします。 ですから、マスタの作成は、各現場と医事課の間で何度も行ったり来たりを繰り返すのです。 そんなわけで、マスタ作成が遅れているのですが、マスタは電子カルテの基本なので、これができないと前に進めないわけです。 例えば、よくあるオーダーをセットにしておくこともできるのですが、仕組みとしてはマスタの組み合わせなので、セットを組むという仕事ができません。 あるいは、リハーサルをしようにも、医師のオーダーができな

内視鏡画像の管理方法が決まりました

5月31日の記事、「 内視鏡画像の取り込み方法 」として、どうやって内視鏡の画像を管理していくのか検討中であることを書いたのですが、ようやく決まりました。 結局、PACSで管理することは見送り、独自にサーバーを立てることになりました。 電子カルテメーカーやPACSメーカーはもちろん、専用サーバーのメーカー4社5商品を提案していただきました。 内視鏡医師とメーカーの間に立って、いろいろ情報をやり取りさせてもらったので、いい勉強になりました。 電子カルテ+PACSで構築することが最も安価で済むので、最初はこの選択肢から検討しました。 この時点で、医師はレポートの作成の簡便性、作成したレポートのクオリティにかなりこだわっていました。となると、汎用である電子カルテやPACSのレポート機能は、やはり内視鏡専門に作られているシステムとは、決定的な差があり、早々にこの電子カルテ+PACSは選択肢から外れました。 そこから、毎週のように各メーカーのデモを見学し、デモ中に質問し、デモが終わってメールで質問し、他メーカーのデモを受けると、新たな疑問が湧いてきてまた質問…、2ヶ月ほど繰り返しました。 【洗浄管理】 ここではメーカー名は伏せますが、結局、大手メーカーに決まりました。 中小メーカーで安いところはあったのですが、「洗浄管理」のオプションがなく、選択肢から外れました。 内視鏡医師いわく、「今後、内視鏡は洗浄管理が必須になるだろう」とのことです。 洗浄管理システムを加えると、どの検査(患者様)に、どのスコープを使って、それがいつ洗浄されたのか、を記録として残すことができます。 もちろん、現在でも洗浄はやっていますが、これをより正確なデータベースとして蓄積できるようになります。 今回は洗浄管理システムを導入するには至りませんが、いずれ医療機関の義務として求められた場合、このオプションを購入すればそれが達成できます。 【先生、お疲れさまでした】 当院の内視鏡室は、専属の技師がいません。ですから、内視鏡室は医師と、外来の看護師のみで構成されます。 私見ですが、医師が細かい使い勝手にこだわるのは、必然だったのかもしれません。専属の技師がいれば、ある程度のことは医師が直接操作しなくても済むし、あるいはあまり機械が得意でな看護師のことを心配しなくて

ペンタブレットの検討

当院で電子カルテの導入が決まった後、比較的早い段階で話題になったのが、シェーマを「どのように描くか」です。 【医療業界以外に方に】 シェーマというのは、図のことです。例えばお腹の痛い患者様がいて、カルテに「どのへん(部位)か」を示すのに、文書では限界があり、いっそ絵にしてしまったほうが早いのです。 このシェーマが簡単に、また意図したとおりにかけるかどうかが、医師にとってはとても重要なのです。 当初、カルテメーカーに相談し、タッチペンタイプのディスプレイを試してみました。デモ機を借りることができたのですが、結果としてあまり医師の反応はよくありませんでした。 見ていると、タッチペンの性能よりも、ディスプレイの性能が問題であるように思えました。借りられた機種が少し古いこともあってか、解像度が低く、その割に筺体が大きく、スマートな印象がありません。隣にフルHD(1920×1080)が並んでいるのだからなおさらです。 また、「ペン入力を必要とするのはピンポイント」という点も考えなければなりません。 ディスプレイに直接ペン入力する場合は、ディスプレイを手元に、また、できるだけ水平に近い状態で置きたいものです。シェーマを書くときだけペンが使えれば良いわけなので、そのために常にディスプレイが”近すぎる”というのは、全体的に見たら作業効率を落としかねません。 ちなみに、今時フルHDのディスプレイが2万円前後で買えるのに、同じサイズのタッチペンのディスプレイだと20万円前後、文字通り一桁違います。これを各診察室にといったら、とんでもない金額になります。 で、結局、タブレットを試してみることになりました。手元においてマウスの代わりに使うタイプのものです。 結果はまた報告します。

デジカメの画像を電子カルテに取り込むには-デバイス管理

電子カルテの運用検討が本格化していく中で、「デジタルカメラの画像を電子カルテに貼り付けたい」という要望が出てきました。 どこの医療機関でも同様だと思いますが、デジカメは手軽に記録を残す手段として、医療現場では一般的に使用されています。 病棟では褥瘡の写真をとって記録したり、外来でもプリントしたものを紙カルテに貼ったりしています。 さて、電子カルテに画像を貼り付けることは、特に問題がありません。むしろ、紙運用していた時代よりも、デジタル同士、親和性が高く取り扱いも簡単です。 問題は、「デジカメの画像をいかにしてPCに取り込むか」ということです。 ポイントは、デバイス管理です。 基本的に電子カルテで使用するPCは、CD-ROMドライブやUSB端子を止めた状態で設置します。 USB端子は、物理的に止めるわけではなく、接続するデバイスによって許可することも可能です。 (でないと、キーボードやマウスが…) ただし、病院の各部署に散らばっている、それぞれメーカーや型式の違うデジカメを、どのようにコントロールてきるかは、今後調査が必要です。 【端末管理ソフトの導入】 ここのところ、毎日のようにネットワークに接続する機器が増えています。サーバーやクライアントPCはもちろん、プリンタなどの周辺機器、医療機器もデータやオーダーをやりとりするものは、軒並みLAN接続し、あたりまえですが、IPアドレスを割り当てなければなりません。 これまでは、なんとかExcelでやってきたのですが、いよいよ限界を感じていたところ、世には「資産管理ソフト」なるものがあるといいいます。各PCにソフトを常駐させ、TCP/IPの情報だけでなく、ウィルスソフトのバージョンや、デバイスの管理ができるというではありませんか。 こういったソフトで、効率的にUSBデバイスを管理することで、デジカメの接続も管理できないかと模索中です。 【無線LAN接続】 もう一つ、デジカメに特化した話ですが、ネットで色々調べている中で、 長野市民病院様 で興味深い取り組みをされていることがわかりました。 キモは「デジカメを無線LANで接続する」というものです。確かに、無線LANで接続すれば一定のセキュリティが保てます。USBデバイスとして細かく制御する必要もありません。 写真を撮影する前に、患

修理と買い替えの判断をするための取り組み

前回の記事、 部門システムの周辺機器を揃える で、ご質問をいただきました。 前回記事は、「ハードウェアトラブルが発生した時、まず予備機と交換し、引き上げたものについては修理の妥当性をゆっくり判断する」という仕組みを紹介しました。 いただいた質問は、「では、修理の妥当性をどう判断していくか」というものでした。 特別なノウハウがあるわけではないのですが、最近取り組んでいるのが、トラブルの情報をデータベース化するというものです。 「修理不能なので新しく買うしかない」という場合はわかりやすいというか、そもそも選択肢がありません。 面倒(と言ってはいけませんが)なのは、「修理すれば使える」というものです。たいていはこちらです。 単純に、「壊れたから買ってくれ」を「贅沢な行為」として取り締まる(?)のではなく、修理を繰り返すことのほうが「振り返ってみれば高い買い物をしていた」ということにならないよう、修理依頼を買い換えに促すことも必要です。 修理か買い替えか悩む機器の代表が「プリンタ」ではないでしょうか。 完全に動かなくなるまでではないけど、「最近紙詰まりが頻繁に起こる」とか。紙詰まりをリカバリーするために、まだ十分残っているとなカートリッジを無駄にしたとか。 私が当院に着任したときは、システム部門は現場から呼び出され、特に能動的な関わりはせず、淡々と修理対応し、必要に応じてメーカーに依頼するという仕組みでした。私は、電子カルテの導入で、保守業務は免除されているのですが、横目に見ながら、「我々はITのプロなのだから、もっと積極的に関わっても良いのでは」と、「トラブル情報のデータベース化」を提案しました。 トラブルの部署・場所 トラブル発生の日時 トラブルの内容・原因 トラブルの影響 どのような対応をしたか どれくらいの時間、費用がかかったか を、Googleドキュメントのスプレッドシートに書き溜めるようにしました。 ポイントの一つは、具体的な費用がかからずに済んだものも記載するということです。これまでは、修理費用が発生するものに関しては、院内で相応の書類が必要になりますが、システム部門の職員だけで解決したものは記録として残っていませんでした。 もう一つは、トラブルが現場に与えた影響を記録することです。 医

部門システムの周辺機器を揃える

今回の電子カルテの導入に合わせ、各部門のシステムが新しくなることは、何度もこのブログでお伝えしています。 で、いよいよその「部門システム」の購入が具体的になってたのですが、メーカーと契約をする前に、我々電算部門が一仕事します。 各部門システムの見積を精査すると、プリンタなどの汎用的な周辺機器があります。これらの機種を病院の標準に合わせられると、その後に大きなメリットがあります。 【消耗品の管理・調達コストが下げられる】 電子カルテの機器構成として、大量のプリンタを導入します。プリンタ本体もそうなのですが、その消耗品についても、特価を出してもらっています。当院ではCanonのプリンタに統一するのですが、メーカーが違ったり、あるいは機種が違っても、特価は出しにくいでしょう。 また、購買部門でも多くの種類の消耗品を管理しなくて良くなり、また在庫コストの圧縮も可能になります。 【保守をまとめる】 保守契約をまとめてコストダウンすることも可能ですが、当院では電子カルテで導入するプリンタは保守を組みません。 当院では、予備機を用意しておいて、「トラブったらすぐ交換→修理はその妥当性を見極めて」という形を取ります。このような仕組みができるのも「スケールメリット」ということでしょう。部門システムでも、機種が同じで、メーカーが設定方法などの情報を公開してくれるなら、同じ対応が可能になります。 レーザープリンタ以外にも、ラベルプリンタやドキュメントスキャナ、ともするとPCも対象になるかもしれません。

ハードウェアはいつ現場に設置するか

ハードウェアの手配は、かなり綿密な計画を立てる必要があります。 カルテメーカー:早く設置してモチベーションを高めたい、操作に慣れてほしい。 現場:そんなこと言ったって、置く場所がない。 と、こんな構図なのですが、どうやって折り合いをつけるか。 また、数百台の規模になると、ハードウェアメーカーもそれなりの納期になります。 特に、当院ではクライアントPCはDELL社のものを採用することもあって、注文してから納品まで3週間~1ヶ月がかかります。 なので、「スペース空けたよ」と声をかけられても、そう簡単に配置できるわけではないのです。 もちろん、そうならないようにある程度の台数を在庫するのですが、あまりスペースがないので、まさに「ヤリクリがたいへん」なのです。 本番に向けての設置はどうなるかというと、事前に置けるものはできるだけ配置しておきます。現場の職員に無理をお願いして置いていきますが、ざっと考えても事前配置できるのは全台数の3分の1程度だと思われます。 残りの3分の2は、病棟は前日の夜に、外来は朝までに配置するのです。考えただけでもゾッとします。 さて、そんな打ち合わせの中、「なんかホントに”綱渡り”って感じですね」と言ったら、カルテメーカーから「何を言っているんですか、そんなの大したことないですよ」と。 カルテメーカーによると、本当に綱渡りなのは、当院のような新規導入ではなくリプレイス案件なのだそうです。なるほど、新規導入なら”ない”ところに置くのですが、現状運用している電子カルテを置き換えるのであれば、まさにピンポイントでPCを入れ替えていくので、少しでも事前に配っておくことが難しいのだそうです。 先日、このブログにリプレイス案件を抱えている方からコメントをいただきましたが、その気苦労をお察しします。

検体検査のラベルをどちらで発行するか

電子カルテの導入にともない、さまざまな医療機器が買い替えになります。 当院では検体検査の管理システムもその一つです。 じつはこの検体検査管理システムに限らず、サーバーの構築が必要な機器は少なくありません。 サーバーを組むとなると、その構築にそれなりの期間がかかるので、早い時期に発注する必要があります。 この検体検査管理システムも多分に漏れず、「1日でも早く契約を」とメーカーから言われている案件です。 で、この案件は数日前に「ほぼ決定、あとは契約手続きをするだけ」ということで安心していたのですが、今日ちょっとしたきっかけがあって、契約が保留になっていることがわかりました。 その原因は、電子カルテシステムと、検体検査管理システムの「どちらで検体ラベルを発行するかが決まっていない」というものでした。 医師が検体検査のオーダーを入力するのは、もちろん電子カルテ側です。一方、その結果は検体検査管理システムで一括管理し、また電子カルテに返します。 検体ラベルは、検査に必要なスピッツ(容器)に応じて出力します。どの検査にはどのスピッツが何本必要なのかマスタに登録する必要があります。 電子カルテ側からラベルを発行するとなると、このマスタ管理を電子カルテシステムと検体検査管理システムの両方で行う必要がありますが、検体検査管理システムから出力するならば、少なくとも電子カルテ側ではマスタ管理の必要がなくなります。 一方、電子カルテシステムの端末は院内全体に配備され、検体検査管理システムは主に検査室のみに配置されます。例えばラベルに血液が付着してしまった場合に、電子カルテならどこからでも操作できますが、検体検査管理システムは検査室でないと操作できません。 つまり、どちらのシステムからラベルを出力するかは、マスタのメンテナンスをシンプルにするならば検体検査管理システムから、日常の運用を考えるならば電子カルテシステムから、ということになります。 検査科の判断ではマスタのメンテナンス性を優先し、検体検査管理システムからラベルを出力するようですが、早くこの問題を決定しシステム構築を急ぎたいと思います。

病理検査は鬼門

先日、「 スキャナ取り込みは魔法の杖ではない 」という記事を書きました。 安易にスキャナ取り込みを多用するのはどうかと思う…、という内容だったのですが、もちろん、避けられないものもあります。 その中で致命的なのが病理検査です。 検査委託会社にお願いするときに、データ化しやすい検体検査と違って、病理検査は紙の伝票で依頼することが多いと思います。 電子カルテの中では、医師は自分でオーダーを入力します。その後オーダーの内容を加味の伝票に書き写すだけでも、結構がっかりします。 その上、検査結果が紙で帰ってきて、スキャナで取り込んで…、というのでは2重にがっかりです。 今後、検査委託会社を巻き込んで、大いに検討しなければなりません。

書類の検討が始まりました

電子カルテになると、いろいろな文書を半自動で出力することができるようになります。 例えば紹介状を書くとき、患者様の、氏名や生年月日、住所などを、いちいちワープロ入力しなくても良くなります。 さらに造りこめば、検査結果の内容や、カルテの所見欄をプリントすることもできるようになります。 このような機能は、たぶんすべてのメーカーの電子カルテに標準で備わっていると思います。 ただ、使いこなすには医療機関に合った形に造りこむことが必要ですし、それができれば、大幅に業務を効率化することができます。 さて、そんなわけで当院でも、今ある文書をどのように電子化していくかという検討が始まりました。 今までは、各診療科や部署で管理してきた文書を、どのように移行していくか、専門のワーキンググループを編成し、ひとつひとつ確認していきます。 医療業以外の方はどのようにイメージされているかわかりませんが、診療現場は今や大量の書類が必要です。 このブログを読まれている方の中にも、入院や手術の経験があるのではないかと思いますが、その時に何枚も説明書を渡されたり、たくさん同意書にサインをさせられたりしたのではないでしょうか。 このような書類を全部集めて、電子化するのか、紙のまま残すのか、内容は偏っていないかなど、電子カルテでどう扱うか以前に現状の見直しから始まります。

スマホが壊れてスケジュール管理がたいへん

電子カルテ導入のプロジェクトが本格化し、毎日何件もの打ち合わせがあります。 それを管理するのが私のもっとも大事な仕事です。 単純にスケジュールを埋めていくわけではなく、各部署やワーキンググループの進捗を把握しながら、時には、既に入っている予定を、優先する、つまり遅れている部署の打ち合わせに差替えるようなこともします。 まさに「スケジュール管理」が仕事のキモと言っていいと思います。 病院にはそれなりにグループウェアみたいなものがあるのですが、少し古い仕様で操作性が悪かったりします。 そこで、個人的に使っているGoogleカレンダーでスケジュールを管理しています。Googleカレンダーだと、スマホがあれば、会議室や各現場でも、スケジュール管理ができます。 そのスマホを使って、確認することをEvernoteにまとめておいたり、Remember The Milkを使ってタスク管理をしたりと、まさにスマホがフル回転。 ところが、あろうことかそのスマホを洗濯機で洗ってしまうというハプニングが発生。 強烈に不便な日々を送っています。 デスクでプリントアウトして、出先で変更があると、メモっておいてデスクに戻って入力するという…、なんともアナログな…。 洗濯してから10日以上過ぎますが、いまだに復活の気配なく、近いうちに新しい機種を買おうと思っています。

スキャナ取り込みは魔法の杖ではない

電子カルテの導入を検討する上で、必ず問題になるのが、検査データの取り込みです。 医療を行う上で、CTやMRIなどの画像から、血液検査の数値まで、さまざまな検査データが必要になります。 これらは、フィルムであったり、スーパーのレシートみたいな紙であったり、様々な媒体で管理されています。 そして、大きなレントゲンフィルムや、長い紙に波形を記録する心電図などを除き、そのほとんどはカルテと一緒にファイリングされています。 紙カルテがなくなると、これらの検査結果をどうやって保管するかが問題になります。 検体検査はデータ化が容易なものが多く、電子カルテに直接保存できます。 画像データについては、 PACSが任せることになります。 問題は、病理検査など検査委託会社から数値ではなく「レポート」として受け取るものです。 こういった問題になると、解決策として必ず出てくるのが「スキャナで取り込む」という方法です。 「この検査機器はデータで取り込めるの?」 「いまウチにある装置では接続できないです」 「この際だから買い換えるか、いくらくらいになるの?」 「だいたい○○千万円くらいになりますが…」 「えっ、そんなに…、とりあえず今の機器からでてきた結果をスキャナで取り込んでおくか」 と、こんな感じに。 たしかに、スキャナ取り込みは手っ取り早くて良いのですが、手にとってみることを前提にした紙を、そのままディスプレイで見るのは限界があります。 それに、医師が検査データを探すときに、「検査データ」の中から探すのではなく、「取り込み文書」の中から探すのは、なにより直感的ではありません。 最近では、こういった電子カルテが及ばない部分を補うために、 富士フィルムメディカルの診療支援総合システム「Yahgee」 なんてものも出ています。とても魅力的な製品なのですが、それなりに高価で…。 とにかく、安易にスキャナ取り込みに走るのではなく、部分的に紙の運用を残すことも含めて、よく考えなければなりません。

無線のバーコードリーダー

電子カルテで使用するバーコードリーダーについて、診療現場から新しい要望が出てきました。 「無線のバーコードリーダーはないのか」と。 調べてみると、確かにあります。 しかも、安いものでは1万円台から。 問題は、その運用です。狭い場所で、ノートPCを持ち込むにもワゴンがきつい、ということで、いっそワイヤレスに、ということになったそうです。 電子カルテのメーカーに聞いてみると、確かに無線のバーコードリーダーを導入した実績があるのだそうです。ただ、今まで導入した病院では、認識率が悪くて、最終的にはワイヤードに買い換えたそうです。 最近ではBluetoothのものもあるみたいなので、状況が変わっているのかもしれませんが、実機を取り寄せての検証が必要です。 ただ、私が気になるのは画面確認です。3点チェックといっても、ノートパソコンの画面で内容をチェックするのであれば、いくらワイヤレスだからといってあまり遠く離れて作業するわけにいかないと思うのです。 今後デモ機など取り寄せてみますが、 同時にスリムなワゴンも探してみます。 進展したら、また報告します。

強烈な忙しさで、更新が滞っていました

ここのところ、ブログの更新が滞っていました。 その理由を一言でまとめると、「忙しかったから」ということになります。 ありがちな理由でお恥ずかしいのですが、ここ数日間でいろいろありまして…。 ヒアリングの開始 いよいよ、カルテメーカーのSEの常駐が始まり、さっそく各部門に対するヒアリングが始まりました。そのヒアリング全てに参加しているので、日中はほとんど時間がなく、夜に溜まった仕事をしている状態です。 で、ヒアリングが始まってみると、これまでカルテメーカーの営業と話していたいろいろなことが、けっこう食い違っていることが多かったり…。このへんは重要なことなので、いずれ詳しく書きたいと思います。 主担当になりました これまた想定外なのですが、私の上司がプライベートが忙しくなり、事実上電子カルテの導入プロジェクトは、私が主に進めていくことになりました。 これまでは、上司の補佐役として「できることからやっていこう」というスタンスだったのですが、自分で全体を見渡して病院全体の工程を管理する立場となりました。 と、こんなわけで、まさに「目が回る」ような忙しさです。 でも、ここからがいよいよプロジェクト本番なので、いろいろと書き記していきたいと思います。

ME機器管理も、バーコードで入力

今回の電子カルテ導入で、バーコートによるいわゆる「3点チェック」を導入する予定であることは以前に書きました。 それに加えて、各種モニタやポンプ類などの「ME機器」についても、バーコードで管理することになりそうです。 輸液ポンプを使うときに、看護師がベッドサイドで「ピッ」とすることによって、どの輸液ポンプがどの患者様に、何時から使われたのが、データとして蓄積できることになります。 今までは、臨床工学技士が病棟を回って情報収集していたのですが、自動的に集計できるようになるわけです。 臨床工学技士のすべてのラウンド業務がなくなるわけではありませんが、ずいぶん労力が減らせると思います。それ以上に、補足するデータの精度は劇的に上がることでしょう。 こういう仕組みは、電子カルテ導入のメリットの一つですね。

ベンダロックインとスイッチングコスト

今回の電子カルテ導入に合わせて、買い替える医療機器がたくさんあります。 現在使用している機器は古いものが多く、そのままでは電子カルテと接続できないということで、オプションをつけたり、バージョンアップをしたり、中には完全に「買い替える」ものもあります。 さて、買い替える時に問題になるのが、「これまで蓄積してきたデータを流用できるか」、「慣れた操作体系を維持できるか」といことです。 いざメーカーを「乗り換える」ということになれば、高額のコンバート費用を要求されたり、新し操作を覚えるのにトレーニング必要になります。具体的なお金や、労力など形はいろいろですが、これを「スイッチングコスト」と言います。 このスイッチングコストが割に合わない、払えない、となると、なかなか他のメーカーに乗り換えることは難しくなります。この状態を「ベンダロックイン」と言います。 今まさに、電子カルテ接続機器の購入検討が大詰めに来ているのですが、つねにスイッチングコストが悩みの種です。

電子カルテで使用するバーコードリーダ

今回の電子カルテでは、あらゆる場面でバーコードが導入される予定です。 となると、バーコードリーダーがそれなりの台数必要になってきます。 調べてみるとバーコードリーダーもますに「ピンからキリまで」で、数千円のものから、5,6万するものまで(高いものはもっと)あります。 もちろん、何種類かデモをして選定しようと思っているのですが、チェックするポイントは以下の通りです。 耐久性 ワゴンに乗せて使ったり、無造作に扱うことが多くなると思うので、少々手荒に扱っても壊れないものが良い。 スタンドの形状 現場によっては、手に持って使うよりも、固定して使ったほうが良いと考えています。対象物(指示箋など)を手に持ち、バーコードリーダーをもう片方の手に持つと両手が塞がってしまうので、スーパーのレジみたいに使えた方がいいと思うのです。手持ちタイプでも、気の利いたスタンドがあるみたいなので、そういった機種を探しています。 細かいことですが、診療現場の日々の負担に関わってくるので、労を惜しまずいいものを選びたいと思います。

電子カルテで使用するプリンタはCanon LBP6600に決定

タイトルのとおり、電子カルテで使用するプリンタはCanonのLBP6600に決定しました。 LBP6600はA4モノクロレーザーです。部門によっては、A3カラーレーザーを使うところもあるのですが、今回大量に現場に行き渡るのはこの「 LBP6600 」です。 この機種に決めた理由を少しまとめてみます。 モデルサイクル 最初に候補になっていたメーカーの機種はモデル末期でした。 まず気になるのは、サポート体制がいつまで続くかです。メーカーに聞くと、 法律で「生産終了から7年」という決まりがあるそうで、A4レーザーはそれほど長く使うものではないので、あまり気にしなくて良いことがわかりました。 問題は、運用開始後に追加購入の要請があった時です。型落ちによって次の機種を買ってしまうと、トナーカートリッジなどの消耗品の型番が変わってしまうことがあります。そうなると、購買部門の仕事がひとつ増えてしまいます。 この機種は発売が2012年4月ということで、しばらくは大丈夫そうです。 消耗品の価格 トナーカートリッジなど、消耗品の価格はとても重要です。 今時のA4モノクロレーザーは、少し前のインクジェットプリンターなみの金額になっています。 なぜそんなに安くできるかというと、トナーカートリッジに主要な部品が含まれており、一緒に交換してしまうからだと思います。逆に言えばトナーカートリッジはそれだけ重要な部品であり、金額も相応になります。 あるメーカーはプリンタ本体はダントツに安かったのですが、トナーカートリッジもダントツに高いという、本体だけで機種選定したら割高な買い物になっているところでした。 LIPS 最後に、Canonの中でこのLBP6600にした理由を。 当初Canonからは LBP6700 で提案をいただきました。何が違うかというと、LIPSの仕様です。 LIPSとはCanonの規格で、プリンタ側でデータを処理する機能です。専門的な話はメーカーWebサイトに任せるとして、大雑把に言うと、データ処理をプリンタに任せることで、PCの負担が軽くなるというのが強みです。 CanonではA4モノクロレーザーでも、いくつかラインナップがあって、それぞれLIPSの実装形態が異なります。当然金額も変わってきま

3点チェックを導入するなら、温度板の機能はPCに移行したい

1ヶ月くらい前に、 温度板に書くか、直接入力するか という記事を書きました。 その時は、温度板をベッドサイドで入力するということがどんなものかイメージが沸かず、検討チームの雰囲気的には、「紙に書いてから入力する」が強く、私もどうしたものか困っていました。 その後、いろいろ調べていく中で、ぜひとも「3点チェック」を導入したいと考え、そのためにはベッドサイド入力が前提であることがわかりました。 いわゆる「3点チェック」とは、 患者様 スタッフ(看護師) 薬剤など をシステム上でチェックする仕組みです。 例えば点滴を行うときに、患者様のリストバンドのバーコード、スタッフのID、点滴ボトルのバーコードを、ピッとチェックし、医師がオーダーした内容と合っているか確認するものです。 実施入力の簡単操作や、患者様の取り違え防止に役立ちます。 その他、直前にオーダーの中止や変更があった場合にも、まさにベッドサイドで気づくことが可能になります。 先日、役職者向けに実施した「電子カルテを入れるとどうなるか」という説明会の中でも、この点を強調して説明してみました。 さて、私の説明がで事態が進展したわけでは(絶対!)ありませんが、 現在は、無事(?)にベッドサイドで入力するよう、日勤看護師と同数のPCを用意する方向で話が進んでいます。

相見積りの中で、去りゆくメーカー様へ

電子カルテ導入のプロジェクトでは、カルテシステム本体以外にも、いろいろな医療機器がバージョンアップや買い替えの対象になります。 となれば、徹底的な価格交渉をして出費を抑えたいものです。価格交渉の最も有効な手段が「相見積もり」です。一つの案件に複数の見積りを依頼するわけです。 「購入する立場」は非常に強いもので、 メーカーに来ていただき説明を求め、いただいた見積を吟味する作業は、 ある意味で「華やか」な仕事とも言えます。 その華やかさの中で、最後に笑えるメーカーはたった1社であることは言うまでもありません。コンペに参加したその他のメーカーは数週間、数ヶ月にわたって努力した結果が、「ゼロ」になります。 去りゆくメーカーの担当者には本当に気の毒なのですが、コストの増大は病院経営を圧迫し、ひいては患者様に迷惑をかけます。たとえ古くからの付き合いで会ったとしても、ここは譲るわけにいきません。 私は、これまでのいくつかの医療機関で仕事をしてきましたが、いろいろな購入案件に携わってきました。時には、病院の購買部門に所属していた時期がありました。 そんな中でこれまで一緒に仕事をした人の中には、「難癖」ともとれるようなゴリ押しで文字通り「買い叩く」という、仕事の仕方をする人もいました。そんな「買う側の立場」にモノを言わせた仕事の仕方がたまらなく嫌だった私は、誰もが納得い く合理性を求めて、詳細なデータを集める価格交渉を突き詰めようとしてきました。断られるメーカーが「それなら仕方ない」と思えるような、多角的でフェアなデータ分析をするように心がけました。 結局、情報量を稼ぐにはどうしてもメーカーとのやり取りが多くなってしまい、人間同士、情が湧いてしまい、断りづらさはむしろ増したような…。 と、こんな葛藤を抱えているのは私だけかもしれませんが、「買う側、選ぶ側」にも辛い気持ちがある、というお話でした。

バイタルデータの取得の規格統一に期待、コンティニュア・ヘルス・アライアンス

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帝京大学医学部附属病院:治験・問診業務のバイタルデータ取得にコンティニュアを適用 ノートPCと血圧計・体重計によるラストワンマイルソリューション 増田克善さん(医療ITライター)のこんな記事を見かけました。 なんでも、帝京大学病院さんで、バイタルデータの取得して電子カルテに取り込む処理を自動化する取り組みらしいです。記事の多くは治験に関わることなので、私にはピンときませんが、後ろの方の「問診業務支援システム」は興味深く読ませていただきました。 記者の方が書かれているとおり、入力ミスの防止や、データの二次利用など、色々なメリットがある一方、患者様の発する言葉に含まれる意味をどのよう反映するかなど、課題も多いのだと思います。 コンティニュア・ヘルス・アライアンス ところで、この記事で初めて知ったのですが、 コンティニュア・ヘルス・アライアンス という団体があり、医療機器・健康機器の規格統一の活動をされているそうです。 対応機器の一覧には一般向けの機器が多いのですが、いくつか医療機関向けのものもありました。メーカーの皆さんには積極的に参加していただきたいと願います。 こういった規格が統一されて、電子カルテへのデータ取り込みが簡単になると、現場の手間やミスも減るし、医療機器やシステムのコストも下げられるだろうし、とても良いことだと思います。 ただ、いつも思うのですが、こういう規格は、営利目的で作るものではないので、国が主導したらどうかと考えてしまいます。 古くはVHSとベータ(古過ぎ!)とか、最近では電気自動車の充電装置など、規格を主導することで莫大な利益が転がり込むことから、メーカーが必死になるケースは多いものです。 しかし、医療という業種の性質からすると、こういった規格手動から生まれる利益や、市場独占を目的にメーカーが過激な競争をするのは良くないのではないかと思います。 国民の健康を効率よく維持するという意味では、社会インフラとして政府が主導したほうが良いのではないかと思います。

ExcelとGoogleドキュメント

当院では、MicrosoftのOffice(以下:Ms-Office)を使っています。 前の職場では、Googleドキュメントを使っていました。私にはどうも、Googleドキュメントに比べると、MicrosoftOfficeが一世代前のソフトウェアに思えてきます。 理由は主に2つ。 同時編集 複数のユーザーで文書を共有しているときに、Ms-Officeだと、誰か一人が開いていると、別の人は「読み取り専用で開くか、諦めるしかありません。調べればこのへんを制御する機能があるかもしれませんが、Googleドキュメントだと、ややこしい設定なしに、一度共有すれば同時にファイルを開いて同時に編集ができます。 院内で共有しているときはまだ良いのですが、外部と共有し始めると本当に歯がゆい思いをします。 ここのところ、カルテメーカーともやり取りする情報が増えてきて、例えば「各部門に何台のPCやプリンタを置くか」という管理表があるのですが、私が修正することもあるし、カルテメーカーの担当者も修正することがあります。そんな時、Excelだと、「メールで送って、返ってくるまでは編集できない」とか、「編集したら最新版を送っておく」とか、本当に面倒です。 Googleドキュメントのスプレッドシートだと、複数のユーザーが同時に編集できます。誰かが同時に開いていると、その人がいまどこのセルを編集しているかもわかります。まさにリアルタイムに共同作業ができてしまいます。 「進捗管理表」とか「IPアドレスの割り振り表」とか明らかに複数で編集する必要があるものは、Googleドキュメントのスプレッドシートに「持って来い」です。 検索 編集機能よりも、ファイルの扱い方の話になります。Ms-Officeがディレクトリ型というか、整理して保管するスタイルだとすると、Googleドキュメントは、とりあえず保存しておいて、また使うときは検索機能に任せる、というスタイルです。 Googleドキュメントのホーム画面、今は「Googleドライブ」という名前になりましたが、ここは最終更新日が新しい順にならんています。つまり頻度の高いものが上の方に、あまり使用しないものは下に行きます。実際、これであまり困らないし、むしろ更新があったものがすぐわかるのでとても便利です。

他施設からのCD-ROMをPACSに取り込むか

ヘェ~、と思うことがあったので記事にしておきます。 今や、施設間でのレントゲン画像の受け渡しは、ほとんどCD-ROMという時代になりました。 昔は、とても普通のバッグに収らないほどの大きな封筒に入れてフィルムを持ち運んだものですが、すっかり便利な時代になりました。 医療の業界以外の方にはなじみがないと思いますが、DICOM(ダイコムと読みます)という規格が広く普及していて、画像の共有に関してはかなり標準化が進んでいます。 先ほど「受け渡しはCD-ROM」と書きましたが、これを病院のPACS(パックスと読みます)という、画像専用のサーバーに読み込んで閲覧するか、あるいはCD-ROMをそのまま見るか、医療機関によって方針がわかれるようです。 「そのまま見る」とは、CD-ROMからビューワーを起動して見ることを意味します。CD-ROMを作るとき、相手がPACSがない環境でも画像が見られるよう、ビューワーのソフトを入れて作成します。診療所などではPACSを導入していないところも少なくないので、普通はこのようにします。 受け取った施設では、CD-ROMからソフトを起動して、画像を見ることができます。もちろん、PACSを導入している施設では、画像を取り込んで設置されているPACSのビューワーで見ることもできます。 さて、システム管理者の立場では、PACSに取り込んで見たほうが良いと思います。 メリットは、 一旦取り込んでしまえば、どこの端末からでも見られる。 CD-ROMを返却あるいは、処分してしまっても良い。 ビューワーソフトを起動するのに時間がかかる。 使い慣れたインターフェースで操作できる。 一方、デメリットもあります。 診察室に入ってから患者様がCD-ROMを差し出すと、取り込みむのに時間がかかる。 大規模な医療機関では、件数が多くなりそれだけでも結構な作業量になる。 共通規格とはいえ、たまに取り込めないCD-ROMがある。 など、主に業務フローの部分で調整が必要です。 この他、「CD-ROMがウィルス感染している可能性がある」という意見もありますが、どちらの方法でも感染する確率は同じなのでここでは無視します。 そんな折、PACSメーカーのシステム担当者と話す機会があり、話を聞いて驚きました。 な

電子カルテの院内説明会をひらきました

このところ、ブログの更新が滞っていました。 じつは、電子カルテの説明会を行うという、大役を仰せつかりまして、その準備で忙しかったわけです。 電子カルテのプロジェクトが本格的に稼働するまで少し時間があるのですが、各現場は不安が募るばかり。聞くところによると、院長から直々に我がシステム部門に「所属長向けの説明会を開くように」と指示があったとか。院長はすでに他の病院で電子カルテを使っているのでよいのですが、他の職種についてはイメージが全く湧いておらず、それを院長が心配したそうです。 じつは、同様の意図でカルテメーカーから所属長向けの説明が既に一度行われています。 その内容が、求めていた内容とは少し違っていたとのこと。 カルテメーカーのプレゼンと言えば、導入前のコンペの段階で、いかに「他社より優れているか」と説明する姿を想像します。でも、今回は既に導入が決まり、導入後の運用、導入の作業がイメージできるものを期待していました。当然、カルテメーカーにはそのあたりを話していたはずなのですが、どうも漠然とした話になってしまったそうです。 そんな話を聞いていたので、より具体的にイメージしてもらうには…、とない頭を絞って日々プレゼン資料の作成に明け暮れていたわけです。 思うに、カルテメーカーはこれまでたくさんの事例をこなしてきて、ある程度のスケジュール感や、壁にぶつかった時の解決方法、迷った時の落とし所みたいなものが、蓄積しているのでしょう。 一方、我々にとっては、さすがに今の時代なので、「電子カルテとはなんぞや?」から始まることはないと思いますが、それでも仕事の流れがガラリ変わるわけです。 とくに、解決方法の部分はギャップが大きいと思います。ある仕事を電子化するときに、我々は、システムで「何ができて、何ができないか」も知りません。カルテメーカーは当然自社商品のことだからよく知っているし、また他の医療機関の経験があるので、「なんだかんだ言っても、こうするのが一番」みたいな答えを持っているのだと思います。 このあたりは、捉え方一つだと思います。良く考えれば「(メーカーが)蓄積したノウハウを活かせる」ということですし、悪く考えれば「こちらの要望を聞いてもらえず、まるめ込まれるのでは」ともとれます。 カルテメーカーとの付き合いはつい最近始まったばかりで、

看護支援システムの難しさ、「標準化」

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当院では既に看護支援システムが稼働していますが、今回の電子カルテ導入で、電子カルテメーカーのシステムに移行することになっています。 「移行する」と言っても、コトは単純ではないわけで…、書籍「看護管理としての看護情報支援システムの構築と運用」で、少しだけ勉強してみました。 この書籍は、岐阜大学医学部附属病院で看護情報支援システムを構築していく過程が綴られています。見事なまでに情報が体系化されていて、読みながらずっと「これ、本当に看護師が書いた本なのか…」と思っていました。損益分岐点の話とかUMLとか、経営の視点や、SEが使う専門用語が随所に出てきます。読み終わって改めてまえがきを読んだら、著者の五島光子さんは看護師でありながら、産能大学情報経営学部情報経営学科を出ている超ツワモノでした。 で、この書籍を読んで、本当に看護という仕事はシステム化しにくいものだと思いました。 システムを組む、プログラムを組むということは、ざっくり言えば「ユーザーが次に何をするか、選択肢を全て用意しておく」ということだと思います。 例えば銀行のATMでは、できることがメニューに表示されています。いくつかの階層を経て、かならず目的にたどり着きます。逆に、メニューにないものはATMではできないということです。ユーザーの動作を体系立ててメニューに仕込んでおくわけです。 もちろん、看護という仕事だって、システム化するとなれば、すべての選択肢を洗い出して整理しなければなりません。その「整理」がATMとは比べものにならないことは、看護の仕事に関わったことがない人でも容易に想像できると思います。 そして、洗いだした後には、それを標準化しなければなりません。病棟や診療科によって違う用語や、ちょっとした言い回し「装着する」、「はめる」、「着用する」(書籍より)を全てと統一します。 この書籍を読んでいるだけでも、気が遠くなります。 さて、当院の話に戻ります。 最初にも書きましたが、当院では既に看護支援システムが稼働しており、問題はこれまで蓄積したデータをどう移行するかです。 まだ正確な見積が出ていないのですが、データを抽出する現行メーカー、データを取り込む新メーカー双方に、莫大な費用がかかるらしいです。というか、メーカーにしてみれば高い見積もりを出して、「いっそあきらめてくれ

電子書籍、買ってみました

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前々から、ずっと気になっていた電子書籍を、ついに購入してみました。 電子書籍は、いろいろなサイトが乱立していて、どのサイトで購入して良いのか、ずっと決めかねていました。 そんな時、今年の2月に発刊して以来、ずっと止まっていた雑誌が、「電子書籍として復活する」というニュースを聞いて、購入を決意しました。 というものの、「決意」と言うには大げさで…、じつは、この flick! という雑誌、紙で発行していたときは、680円だった(と思う)のですが、電子書籍ではなんと350円、「あまり深く考えずに買ってみよう」となったわけです。 販売しているサイトは8種類あって、それぞれ読める媒体(Windows、Mac、Android…)や、決済方法が異なります。(詳しくは こちら の記事に) その中から Zinio を選んで購入してみました。 「雑誌」というサイズは、当然ながら文庫本よりも大きいわけで、PCの画面で読むことを想定して購入しました。ところが、Androidのタブレット(Acer A500)で読み始めたら、うまく言えませんが、雑誌を「手に持つ」感覚に近いのか、こちらのほうが馴染みました。 新しいものに触れるときは、頭で考えることももちろん必要ですが、やっぱり体験してみることが大切だと、改めて感じました。

XMLでMWMを代替えする

以前に 内視鏡画像の取り込み方法 という記事を書かせていただきました。 内視鏡の画像をデジタル化するにあたり、 DICOMにしてPACS管理 専用サーバーを立ててJPEGで保存 の2通りを考えていました。この時は、情報が少なく、漠然と「PACS管理のほうが、専用サーバーを立てるより安くあがる」とか、「でも、JPEGの方がDICOMより軽くて取り回しがいい」くらいの認識でした。 ちなみに、PACSの方が安いのは、既にPACSが稼働しているからであって、新規にPACSを組むなら、それこそとんでもない金額になります。 さて、その後いろいろ情報収集していると、いろいろなことがわかってきました。 元がJPEGだからなのか、DICOMにしても容量はそんなに変わらないということ。内相メーカーのオリンパスさんに聞いたら、JPEGで900KB/枚くらいで、そこにタグ情報をつけるだけなのでDICOMにしても1MBを超えないとのことでした。 で、今日わかったのは、オーダーデータの受け渡しについてです。MWMとは、簡単に言うとオーダー情報や、患者様の属性(名前や生年月日など)を、医療機器に渡すための仕組みです(合っているかどうか自信がないので、気になる方はお調べください)。MWMで接続するには、DICOMでやりとりすることが前提(MWMはDICOMの規格の一部とのこと)なので、JPEGで渡す場合は、オーダー情報を渡すことはあきらめなければならないと考えていました。 ところが、今日打ち合わせさせた内視鏡画像サーバーのメーカーさんに聞いたら、XMLでオーダー情報や患者様の属性を渡すのだと。XMLとはWebサイトなどでも使われる言語で、医療に特化したものではありません。 当院の内視鏡室には専属の技師がいないので、オーダーの入力や、まちがえて修正するときはやっかいなのでは、と思っていました。そこで、オートマチックにオーダー情報が渡れば入力ミスも少なくなるし、属性情報が渡れば患者様の取り違えのリスクヘッジにもなるので、MWM接続は必須と考えていました。 選択肢が増えたことでフェアな機器選定ができそうです。 それと、電子カルテ関係の記事には「電子カルテ」ラベルをつけることにしました。

テスト環境の構築

今、テスト環境を構築するための機種選定に追われています。 もうすぐ、カルテメーカーのSEの常駐が始まります。以前にこのブログで書きましたが、本稼働までの導入期間はわずか5ヶ月です。で、その期間はSEがずっと常駐してくれます。 プロジェクトのスケジュールの視点では「わずか5ヶ月しかない」ですが、派遣されてくるSEの視点で見れば、「5ヶ月もの間」と思えてきます。 さて、SE常駐に合わせ、開発兼テスト環境を整えます。会議室にテスト用のサーバーと、クライアントPCを10台ほど設置します。そこに構築した電子カルテシステムに、各部門から吸い上げた情報を元に、どんどんカスタマイズしていきます。ある程度の形になったら、実際に操作してみて更に修正を加えるのです。 で、私が今頭を悩ませているのは、その機種選定です。 特にこだわっているのは、ディスプレイのサイズと解像度です。メーカーの推奨は、 デスクトップPC:22インチ1680×1050 ノートPC:15.6インチ1600×900 だそうです。でも、私の経験では、情報量が大い方が使いやすいので、解像度は1920×1080、つまりフルHD、解像度が上がると字が細かくなってしまうので、サイズは最低でも24インチだと思います。 ノートPCは携帯性が損なわれるので、むやみに大きくはできませんが、せめて17インチくらいまでは試してみたいと思っています。 メーカーの言いなりになって、言われた機種で揃えてしまえば楽ちんですが、一度導入したPCは最低でも3年は使うことになります。私が一手間惜しんだせいで、診療現場の人達にずっと使いづらい思いをさせるわけにはいきません。メーカーにうるさがられようと、いろいろ試して決めたいと思います。

医療機関の自動精算機について

今回、システム刷新の中で、自動精算機が導入される方向です。 正直なところ、個人的には自動精算機というものに、少し抵抗があります。 たしかに、会計のスタッフが減らせれば、大きな人件費の削減につながります。しかし、古い考えなのかもしれませんが、医療機関という業種があまり事務的になるのはどうなのかと。 もちろん、患者様に見えない部分は、どんどん合理化していくべきだと思います。しかし、患者様に接する部分はやはりその道のプロが必要なのではないかと。 待合室の患者さんを、通りがかりの看護師がみかけて、何かに気がつくことがあります。あるいは、とりつく島もない患者様でも、信用している先生の言葉には耳を傾けてくれる、とか、そんなエピソードを聞くと、やはり医療の基本は人対人なのだと思います。 今回は会計のことなので、医療には直接関係なく思われるかもしれません。 でも、患者様が苦情やクレームを一番言いやすいのが会計の時だったりします。苦情を聞くのは辛いものがありますが、業務改善の絶好のきっかけです。 また、当院は高齢の患者様が多いので特にそうなのですが、やはり最後には「お大事に」とご挨拶するべきなのでは、と思います。 一般的に、機械が人に変わることで、得られるメリットは、「スピード」と「正確さ」です。 医療における会計処理とは、診療現場で行われたことを「計算」し、その結果の金額を「出納」することです。よく「会計で待たされる」という声をお聞きしますが、今回の電子カルテ導入で「計算」の部分は飛躍的にスピードアップするはずです。残るは、「出納」の部分なのですが、そこだけ切り取ると、機械でやっても、人がやっても、あまりスピードは変わらないのではないかと。 残る「正確さ」は、これは機械にはかないません。そこで、「自動釣銭機」を入れたらどうかと思います。自動精算機よりはずっと安く上がる(自動精算機って、車が買えてしまうような金額なんです)し。十分に会計スタッフの負担は減るし、業務終了後の「現金が(計算と)合わない!」も、かなり減らせると思います。 こんなことを密かに思っているのですが、口に出してしまって良いのかどうか、まだまだ新参者で、毎日オドオドしながら仕事しています。

カルテはペーパーレスになっても、オーダリングは…

電子カルテ導入にともない、大量のプリンタが導入されます。で、私はこの機種選定の仕事をすることになりました。 「電子カルテ=ペーパーレス」と思っている方も多いかもしれませんが、少なくとも私の経験では、ペーパーレスとは程遠いです。 医療業界の方は御存知ですが、医師は、患者様に注射や検査が必要だと判断すれば、その都度「指示箋」を書いて、看護師や検査技師に指示をします。その指示を紙の指示箋から、コンピュータに置き換えると「オーダリング(システム)」となるわけです。 オーダリングでは、医師は指示をPCで入力し、指示を受ける看護師や技師は同じくPCで指示を確認します。 放射線科など、オーダーが予め各技師に振られて、検査の流れがはっきりしている場合は、画面だけで処理することは可能です。一方、看護師はの場合は、採血や、注射、処置など、一定の場所に留まっていません。現実的にはオーダーはその都度プリントアウトし、それを手に処置や検査をすることになります。 結局、その分のプリンタが必要になります。当院では、いまのところ70~80台のプリンタが新規に導入される予定です。 じつは、プリンタの機種選定は既に決まっていたのですが、その機種がモデルサイクルの中で微妙なタイミングであることがわかり、「見なおしたほうが良いのでは」と提案したら、私の仕事になってしまいました。 よくある「言い出しっぺの仕事になる」というやつですね。 プリンタは、導入後の保守や消耗品でトータルコストが大きく変動します。それがこの台数なのだから、決してどうでも良い仕事ではありません。長年にわたって、「このプリンタにしてよかった」と思われる仕事をしたいと思います。

ブログのデザインを変えました

このブログは、Googleのブログサービスである「Blogger」を利用しています。 個人的にはシンプルなページが好みで、 GoogleJapanのブログ ページが理想的です。 HTMLとかCSSとかあまり詳しくないので、とりあえずBloggerのテンプレートから、最もシンプルなものを選んでみました。 それから、コメントの設定を「登録ユーザー」から「全員」に変更しました。 意識してコメントを抑える設定にしていたわけではなく、こういう設定があるのを知りませんでした。 皆様のご意見・ご感想お待ちしております。

内視鏡画像の取り込み方法

内視鏡の画像をどうやって電子カルテに取り込むのか検討中です。 PACSは電子カルテと接続することが決まっているので、内視鏡の画像も一度PACSに入れて、電子カルテでPACSの画像を探して貼り付けるというのが、もっとも費用が抑えられそうです。 もう一つは、内視鏡専用の画像サーバシステムを組んでしまうやり方です。そもそも内視鏡は検査中に診断するものであり、撮った画像を後で見て判断するものではありません。ですから、画質にはそれほど高いクオリティを求めないものなのだそうです。ですから、DICOMにしてしまうより、JPEGの方が、サクサク動くのだとか…。 でも、サーバーを新しく組むには、その分の費用が発生するので、PACS経由のプランよりもお高くつきます。 まだ、検討中なので決まったら、またこのブログで報告します。

カタヲツケル

今日は、電子カルテの話題から離れて、日常業務のお話です。 私の所属するシステム部門の仕事でバカにならないのが、院内で発生するコンピュータ関係のトラブルの対応です。 私は入職間もないこともあり、あまりトラブルシューティングには参加しません。というか、できません。各現場には医事のレセコンを始め、予約システムやカルテ管理システム、PACS、看護支援システム、この他、基幹システムとは別にWordやExcelを使うための端末が入っています。それらはネットワークが別になっていたり、個別の設定がされていたりと、予備知識無しで触れるシロモノではありません。 そんなわけで、他のメンバーには申し訳ないと思いながらも、私は電子カルテの導入プロジェクトに専念させてもらっています。 とはいうものの、狭い部屋で仕事をしているので、他のメンバーがどのような仕事をしているのか、耳に入ってきます。 トラブルは昨日発生しました。 ある診察室では、1台のPCに2台のモニタを接続しています。いわゆるデュアルモニタという状態です。一報にPACS、もう一方に予約システムを表示しています。 トラブルの内容は、予約システムの画面が横に表示されるといものです。画面が90度傾いているのだから、それは使いづらいことでしょう。 あいにく、システム部門の中でこのあたりの事情に最も精通しているメンバーが今日は休暇をとっています。 メンバーといっても私を含め3人しかいない部署なので、1人目が休み、2人目(私)が使いものにならない、ということで私の上司が現場に向かいました。 結局、トラブルを解決できずに帰ってきた上司、「あそこ(の診察室)は、たびたびこういうトラブルがあって、こっちも困るんだよね~」と漏らしていました。 で、今日。 昨日休んでたシステム部門の同僚が朝から対応。今日は私も現場について行きました。 少しいじって、画面の方向は正常になったのですが、今度は解像度が粗くなってしまった。 で、同僚はあっさりと「これ以上はできない」と。 言われた看護師もきょとんとした感じで、「システム部門にできなきゃ私らには無理でしょ」と。 当然看護師は言います、「メーカーに問い合わせるとか…」。 すると「メーカーには何度も連絡しているけど…」となんとも歯切れの悪い感じ。 さすがに、入職間もない

分院との接続はVPN

当院には、本体の病院の他に、分院があります。 これまで分院は、レセコンのみではありますが、独立したシステムで動いてきました。 今回の電子カルテ化を機に、分院とシステムを統合することになりそうです。統合することでいろいろメリットはあります。サーバー関係を集約することで、別々ならコストがそれぞれにかかるところを抑えることができます。そして、なにより患者様の情報が統合されることにより、本院・分院どちらでも過去から最新の情報がシームレスに確認できるようになります。 さて、問題は分院と接続する手段ですが、NTTコミュニケーションズのVPNを使用することになりそうです。月額20,000円くらいで接続できるとのこです。 専用線接続のようなスピードは出ないことは覚悟していますが、それでも便利な時代になったものです。

温度板に書くか、直接入力するか

今日は、病棟の話です。 当院では、今も紙の温度板があります。一応、看護支援システムは入っているのですが、温度板は残っているのだそうです。 それがなぜかは私の知るところではありませんが、今回の電子カルテ導入でこの温度版もなくなるだろうと思っていました。 ところがここに来て、「温度板」を残すという話が出てきました。 膨れ上がった端末台数も問題なのですが、どうやら一部に、「紙で情報収集してまとめて入力したほうが早い」とい意見があるそうです。 たしかに、そう言われるとそんな気もしてきます。 気になって、他の病院で働いている、現役の看護師にいろいろと意見を聞いてみました。 A病院:全てPCに直接入力。 B病院:全てPCに直接入力。 C病院:病棟によって、PC直接入力と、紙で情報収集→その後入力を使い分けている。 D病院:全てPCに直接入力。なお、点滴などの3点チェックはハンディ端末を使用。 E病院:全てPCに直接入力。 話を聞いた病院の看護基準はいずれも7:1です。 B病院は一部紙を使っているとのことですが、その理由は、設計の古い病棟で病室・廊下が狭く、ワゴンの置き場に困るからだそうです。もちろん、新しい病棟では物理的な問題がないので、ベッドサイドで快適に入力作業をしているそうです。 さらに個別の意見。 紙で情報収集して後で入力する同僚がいるが、そういう人はたいてい遅くまで仕事をしている。 病院が(ノートPCの)劣化したバッテリを買い換えてくれないので、PCの駆動時間が短くなり、バッテリ切れの後は紙でやっている。 患者に質問を受けても、(以前は)ステーションに帰ったり、医師を捕まえなければならなかったが、今はベットサイドで答えられるので便利。 総合すると、日勤の看護師には1人1台というのが基本のようで、むしろ台数が足らずに入力待ちを作ってしまうことのほうが効率を落としてしまうようです。 このブログをご覧になって、「病棟のPC、こうやってやりくりしてます」という方がいらっしゃったら、情報をお寄せください。

メーカーと現場の間で

電子カルテの導入プロジェクト本格的にスタートするのはもう少し先です。 カルテメーカーにしてみれば、SEの人件費がかさむのでできるだけ短期間に仕上げたいところです。ですから、顧客(病院)が運用開始に設定した日から逆算して、SEの常駐を開始し本格的なプロジェクトのスタートとなります。 ウチの場合は、その「本格的なスタート」までに、もう少し時間があります。 そんな中、カルテーメーカーは「プロジェクトのスタートまでに、なにをどう移行するか院内で整理しておいてくれ」と言います。 カルテメーカーによると、プロジェクトのスタート時点で「やること」が整理できていないと、その分プロジェクトが「押す」のだそうです。例えば、いざプロジェクトが始まりSEのヒアリングまって、そこで初めて、ある検査機器の検査結果をデータとして取り込む必要が出てきたとします。既存の検査機器でシステムに接続できるのか、接続できなければ買い換えなければならないのか。運良く接続できると判明しても、検査機器メーカーと接続の打ち合わせをして、そこには手数料も発生するわけで…。と結構な時間がかかります。 そういう事態を避けるために、カルテメーカーはプロジェクトを準備万端で始められるよう、我々を煽ります。 一方、診療現場の方は、「システムで何ができて何ができないのかわからない」と言う。よく、パソコン初心者の人に、「わからないことがあったらなんでも聞いて」って言うと、「どこから聞いていいのか…、わからないことがわからない」なんて話になります。まだ触ってもいない電子カルテについて聞いたって、それは土台無理だろう。当然、現場の皆さんからは「もう一度カルテメーカーから機能説明を受けたい」という要請を受けます。 それをカルテメーカーに話すと、「SEの常駐が始まったら詳しい話ができるので…」と、プロジェクトが本格始動するまでは、余分な人件費は割きたくないらしい。 これぞ、「板ばさみ」。 こんな時、我がシステム部門が、忙しい現場に変わって、カルテメーカーに対し情報収集をしなければなりません。 単なる技術屋ではなく、コンサルティング能力が問われる場面です。頑張ります。

データコンバート

電子カルテのメーカーが決まり、少しずつ各現場に実感が湧いてきたのですが、日々新たな問題が起きています。 ここのところ多いのが、「データのコンバート」です。 突然言われるわけです、「ウチの◯◯システムのデータ、コンバートできますよね…」と。 コンバートできるかどうかは技術的な問題なのですが、問題は「予算」です。 私が入社する前には既にメーカーが決まっており、およその金額も決まっていました。で、改めて見積りの構成を見てみると、医事(レセコン)まわりしかコンバートの金額が入っていません。 処方データ、予約データ、カルテのアリバイ、看護支援システムなど、次から次へとコンバートの依頼が…。で、その金額が、これまた目のくらむような額です。旧システムのメーカーからすれば、「手切れ金」だという声も。 日に日に予算が膨らんでいきます。

MWM接続

言葉では聞いたことがありましたが、今まで触れることができなかった「MWM接続」。 今度の電子カルテの導入に合わせ、大々的に採用することになりそうでう。 放射線機器メーカーさんのサイトで詳しく説明されているので、内容の説明は省きますが、大雑把に言うと検査の予約情報や、患者様の属性情報を、検査機器に渡すための規格です。 以前は、せっかく受付で患者様の情報を入力しているのに、検査機器でまた入力しなければならず、なんのためのITかと思っていました。 この規格がどういう経緯で制定されたかは知らないのですが、規格を考え広めて下さった方々に感謝です。 DICOMなど、画像・検査関係はこのような統一規格があるのですが、医療の業界ではごく稀なケースだと思います。 電子カルテそのものもそうですが、処方データや、看護支援システムなども、統一規格があったら良いのにと思ういます。

音声認識の導入をめぐって

キーボードによる入力作業を軽減するために、ということで早くから「音声入力」の導入が検討されていました。 この「音声入力」をめぐって、どうやって進めたら良いのか、少々混乱しています。 上層部は、電子カルテ導入の障壁の一つとして「データの入力作業が増えること」を懸念しています。そこで、少しでも現場の負担を軽減してあげたいという思いから、積極的に入力補助のツールである、タブレットや音声入力の導入を推奨しています。 ところが、現場サイドは、患者様の前で音声で入力するというのが、「なんか違う…」と思っています。 診察室には、医師以外に、患者様と、状況に応じて看護師や看護補助。そこにもう一人(?)の話し相手ができるわけです。その相手は返事をするわけでもなければ、うなずくわけでもなく。なんか妙な感じになるのでは…、と、現場の皆さんは懸念しているのでしょう。 現場が「買ってほしい」と言っても、経営側がそれをシブるのはよくある話ですが、今回はその逆といわけです。 さて、我が電算部門としてはもう一つ悩ましい問題が。 音声入力については、前述したとおり、上層部はむしろ採用したいと思っています。ただ、もちろんタダではないわけで、台数が多ければ、莫大な金額になります。簡単に、「これ、ほしい人、手あげて~」なんて聞いて、「とりあえずもらっとけ」みたいになったら、大変な台数になるのではないかと。 具体的な額は書けませんが、ホントにいいお値段なんです。

機能説明のオファーが殺到

以前にもこのブログに書いたとおり、私が入社する前にカルテメーカーの選定は終了していました。 ここのところ多いのが、「もう一度カルテメーカーの説明が聞きたいので、セッティングを…」という問い合わせです。 それもそのはず、今までは、複数のカルテメーカーからどこが良いのかを選ぶための評価だったのが、今は、いかにしてスムーズに導入するかという、より具体的な段階になってきたからです。 ある部署からは、「打合せではなく、スタッフ全員を対象に説明会を」と求められています。 たぶん、その部署の責任者も下からあおられているのではないかと。想像もつかないビッグプロジェクトに、具体的にどんな作業が必要なのか、どうのように業務が変わるのかと、実際に作業に携わるであろうスタッフの皆さんの不安は察するところです。 ところが、カルテメーカーも少ない人材でやりくりしていて、やたらと呼び出して、今日はあっちの部署に、明日はこっちの部署に、なんてわけにいきません。 なんとも歯がゆい日々を過ごしております。

機能の洗い出しに漏れがないか

電子カルテの導入で怖いのは、可動直前になって「ところで、この検査結果は誰が入力するの?」なんて話が持ち上がることです。 以前在職していたクリニックで電子カルテを導入した時のことです。 検体検査の会社からどのように結果を受け取り電子カルテに反映するか、インターフェースの話や、通信環境に至るまで、入念に打ち合わせた甲斐もあってスムーズに取り込むことができました。 ところが、稼働開始数日前になって、看護師から「ところで尿検査の結果はどうしますか?」と聞かれて、一同顔を見合わせました。結局、医師が所見欄に手討ちという、おそまつな結果になりました。 今回は、百戦錬磨のカルテメーカーさんが入ってプロジェクトを進めるわけですから、このような話にはならないと思いますが、なんとも不安です。

部門システム接続のコストの洗い出し

入職から1週間以上経過し、具体的な仕事が入ってきています。 その中に、電子カルテと各部門のシステムを接続するための費用の洗い出しがあります。 サラッと書いていますが、とても大きな仕事です。 単純に接続費用を見積もるだけなら、メーカーさんにお願いすれば良いのですが、なんと、どのシステムを接続するのか、接続できるのか、接続できなかった場合はどうするのかから調査しなければなりません。 そんな大きな仕事をを新参者の私に任せて大丈夫なのでしょうか。 世は、今日からゴールデンウィークに突入していますが、そんなことはお構いなしに、ヒアリングが始まります。

プロジェクトの責任者?

電子カルテ導入プロジェクトがすこしずつ動き始めています。 あたりを見回すと、部署によって考え方が違うのが感じ取れます。 絶好の機会とみて積極的に情報収集し、自らのビジョンを描こうする部署。 「導入時の混乱」に、備えようと積極的に学習しようとする部署、怯えから先送りを画策する部署。 電子カルテ化は病院の方針だからと、無関心な部署。 そして電算部門の立ち位置はというと…、それは「事務局」。 電算室長によると、「事務局」とはあくまで交通整理をするのが役目とのことです。 つまり、こちらから能動的に働きかけることはなく、求められればリアクションしていくという方針だそうです。 先に書いたとおり、部署によって積極性にばらつきがあり、このままでは運用開始直前になって、「この装置は接続できない」とか、そんな話が出てきそうです。そんな時、「事務局は何をやっていたのか」という話ならなければ良いのですが。 なにせ新参者なので、もう少し静観してみようと思います。

電子カルテの導入準備期間はわずか5ヶ月

今日、始めて電子カルテの導入準備委員会に出席し、カルテメーカーの担当者さんとお会いしました。 事前に「導入準備期間は5ヶ月」という話を聞いていましたが、今日はじめてその工程表を目にしました。過去に他の病院で電子カルテの導入を目撃し、その混乱ぶりが身にしみていたので、なんとも、カルチャーショックというか…。なんでもカルテメーカーさんはメジャーではないものの、かなりのシェアを持っているとのこと。それゆえ、有効なノウハウを蓄積しているのでしょう。 さて、来週には稼働開始日が決まり、膨大なタスクリストが出来上がるでしょう。 一方、私は明日から医事の研修に入ります。「医事の仕事を知っていたほうが良いから…」とのご配慮なのですが、こんなことをしていて良いのやら…。

電子カルテ導入プロジェクトに参加します

まだ2日しか出勤していませんが、本日はおやすみでした。 採用前に話をいただいていたとおり、システム部門に配属されました。 「システム部門」といっても、室長ともう一人、合わせて2人の小じんまりとした部署です。そこに私が加わり、3名の部署になりました。 以前に努めていた病院では、病院の規模は(たぶん)3倍くらいでしたが、システム部門としては10人ほど、害虫のエンジニアを含めると20人くらいの規模だったので、少し驚きました。 室長ももう一人の方も、忙しそうにされているので、いろいろと教えてもらいたいことがあるのですが、なんとなく声がかけづらい感じで…。 近く、電子カルテ導入の準備委員会が開催されるので、私も出席するようにとのことです。 もちろん、電子カルテ導入を控えていることは入職する前にわかっていたことです。そのために採用されたといっても良いと思います。 特に、電子カルテのプロジェクトについては、このブログでいろいろと報告したいと思います。

明日、初出勤

大袈裟なタイトルを付けてしまいましたが、あまり大上段に構えてしまうと、続かないというか、引っ込みがつかないというか、そんなわけで初出勤を明日に控えた心境を書いておきます。 病院のルールや空気に慣れるのには相応の時間がかかると思います。正直、緊張しています。 プロフィールに書いたとおり、既に40歳を過ぎています。社会人として、医療・福祉の業界に関わるものとしては、それなりの経験を重ねてきたと思っています。でも、職場を変わるというのは、精神的にはかなりの負担になるものです。 ある程度仕事をしていると、上司も部下も同僚も、取引先や、場合によっては顧客(こちらの業界では患者さま)も、自分のキャラクターを理科してくれるものです。もちろん、自分も相手のことを理解していきます。これが全てリセットされ、すべてを一から構築していかなくてはなりません。 まずは、職場のルール(暗黙のものも含め)を理解し、ボロが出ないように気をつけたいと思います。 「システム管理者の…」なんてタイトルにしてみましたが、有効な記事をかけるのはいつになるのやら…。