修理と買い替えの判断をするための取り組み

前回の記事、部門システムの周辺機器を揃えるで、ご質問をいただきました。

前回記事は、「ハードウェアトラブルが発生した時、まず予備機と交換し、引き上げたものについては修理の妥当性をゆっくり判断する」という仕組みを紹介しました。
いただいた質問は、「では、修理の妥当性をどう判断していくか」というものでした。

特別なノウハウがあるわけではないのですが、最近取り組んでいるのが、トラブルの情報をデータベース化するというものです。

「修理不能なので新しく買うしかない」という場合はわかりやすいというか、そもそも選択肢がありません。
面倒(と言ってはいけませんが)なのは、「修理すれば使える」というものです。たいていはこちらです。

単純に、「壊れたから買ってくれ」を「贅沢な行為」として取り締まる(?)のではなく、修理を繰り返すことのほうが「振り返ってみれば高い買い物をしていた」ということにならないよう、修理依頼を買い換えに促すことも必要です。

修理か買い替えか悩む機器の代表が「プリンタ」ではないでしょうか。
完全に動かなくなるまでではないけど、「最近紙詰まりが頻繁に起こる」とか。紙詰まりをリカバリーするために、まだ十分残っているとなカートリッジを無駄にしたとか。

私が当院に着任したときは、システム部門は現場から呼び出され、特に能動的な関わりはせず、淡々と修理対応し、必要に応じてメーカーに依頼するという仕組みでした。私は、電子カルテの導入で、保守業務は免除されているのですが、横目に見ながら、「我々はITのプロなのだから、もっと積極的に関わっても良いのでは」と、「トラブル情報のデータベース化」を提案しました。

  • トラブルの部署・場所
  • トラブル発生の日時
  • トラブルの内容・原因
  • トラブルの影響
  • どのような対応をしたか
  • どれくらいの時間、費用がかかったか
を、Googleドキュメントのスプレッドシートに書き溜めるようにしました。

ポイントの一つは、具体的な費用がかからずに済んだものも記載するということです。これまでは、修理費用が発生するものに関しては、院内で相応の書類が必要になりますが、システム部門の職員だけで解決したものは記録として残っていませんでした。

もう一つは、トラブルが現場に与えた影響を記録することです。
  • 医事課のプリンタが故障したので、すぐにシステム管理者が出力先を切り替え、隣のプリンタで出力するようにした。その間5分。
  • 夜間帯にナースステーションのプリンタに「○○を交換してください」の表示が出て動かなくなった。翌朝システム管理者が表示を消して使用再開すると同時に、交換部品の注文をした。
一方は、本格的な故障でも、現場に与えた影響は軽微です。もう一方は、単なる注意メッセージだったのですが、そのために一晩現場の仕事が手書き運用になってしまいます。

つまり、眼に見えないコストがこれだけかかり、この先どうなるかということを、我々システム部門が把握し、それを決済者にも「見える形」で提供したいのです。
単純に「この機材を新調したい」と言ったら聞き入れてもらえないかもしれませんが、数字として経済的な根拠を示すことによって決済者も現場も納得できるようにしたいのです。

ちなみに、先ほど例に上げたナースステーションのプリンタの件では、もちろんその場で対応しますが、同様の問題が複数上がっている場合は、さらに病棟会でアナウンスしたり、マニュアルを作って配布するなどします。
そういった判断にも「データベース化」は有効だと思います。

最後にひとつ。
よく陥りがちなのが、「○○円以下なら決済が簡単だから」といってその金額で納めてしまうことです。
どこの会社でも、ある程度金額によって決済方法が分かれていると思います。基準額を1円でも下回れば、伝票を書いて用度課に渡すだけなのに、基準額に達すると、稟議を起こして、事務長、院長と決済をとらなければなりません。
そんな時、ついつい簡単な方法を選んでしまいます。「この使用頻度なら本来はレーザープリンタを設置するべきだけど、簡単に済むのでインクジェットで」なんて…。
同じように、「面倒だから、とりあず今回は修理で…」なんてことのないよう、フェアな判断をしたいものです。

コメント

  1. お疲れ様です。
    貴重なノウハウを惜しげもなく公開いただき
    ありがとうございます。
    ついつい簡単な方法を選んで・・・・
    の部分など大変共感いたしました。
    当方も身に覚えがあります(汗)
    大分涼しくなってはきましたが、
    季節の変わり目ですので、体調崩されない様お祈り
    しております。

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