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郵便物の管理簿がなんとかならないか

医療機関に限らず、組織の規模が大きくなるにつれて、送る方も受ける方も、取り扱う郵便物の量が増えてきます。 そこで問題になるのが、正しく郵便物を送ったのか、受け取ったのか、という情報。 「先週送ったはずの書類が、まだ先方についていないらしい、いつ発送されたのか」 「そろそろ〇〇の案内が来ているはずだが届かない、他の部署に行ってしまったのでは」 なんていうトラブルが起きます。 そこで、郵便物の「発信簿」、「受診簿」を作って、「ちゃんと記録しろ!」ということになります。 医療機関ではだいたい総務部門の仕事ですね。 記録の手間と、検索の手間 当院では、これを手書きでやっているわけです。 たまに「その部屋」の前を通ると、膨大な量の郵便物をさばく光景を目にしますが、 「ホント、毎日よくやるわ~」と思いながら眺めます。 改めて書きますが、「毎日」のことなので、本当にご苦労様です。 そして悲惨なのが、履歴をさかのぼるときに、目視で探すしかないこと。 前述のようなトラブルが発生したときに、せめてExcelなどで管理されていれば、一発で検索できるのですが、とにかく目で追って探すしかない。 代案提示するも反応なし これまで何回か「そのアナログなやり方を捨てないか」と提案したことがあります。 アプローチは2つ。 ①管理簿をExcelに とりあえず、「ノートに手書き」でやっているものを、Excelに置き換えたら、 記録時にオートコンプリートが使える キーワード検索ができる ネットワークで共有できる のメリットがあります。 ②スキャナで読み取る もう一つは、検索はあまり期待できませんが、記録の手間を省こうというもので、とにかく郵便物を撮影して、画像として保存するというもの。 デジカメでデスクの上にアームで固定して、バシバシ撮れば記録する手間が必要ありません。 予算があれば、 PFUのSV600 など、この用途に適したスキャナも出ていますし。 画像だとExcelの用にキーワード検索ができませんが、そこは頻度の問題です。 「あの郵便物は…?」と検索する機会が頻繁にあるのならこの方法は使えませんが、年に数回あるかないかだったら、その時は仕方

情報は「多ければ良い」ということではない

本日も、サイン改修のお話です。 「情報をそぎ落とす」ことは、本当にたいへんな作業でした。 情報量とデザイン性は反比例 「情報が多くなると、デザイン性が損なわれる」、それは感覚的にわかっていました。 身の回りにあるあらゆるものがそうです。 壁一面にメニューの短冊が貼ってある定食屋さん。 シールの台紙とチラシで埋め尽くされた冷蔵庫。 アイコンでビッチリになったPCのデスクトップ。 例えを挙げたらキリがありませんが、たいていの場合、情報を詰め込みすぎると「ダサく」なっていきます。 多すぎるとどれも伝わらない 情報の詰め込み過ぎは、デザインの問題だけでなく、サインの「機能」としても足を引っ張ることになります。 例えば掲示板。今まさに何か伝えたいことがあっても、そこにもともと多くの掲示物があって、掲示物が「増えた」ことに気づかない。 広い場所に1枚の掲示物がポツリとあったらそれだけで「気づく」。 多くの景物があったら気づく前に「読む」「探す」が必要になり、それだけで一つの作業になり、「メンドウ」という心理が働きます。 ダイレクトメールでフォルダがいっぱいになっていると、メールを読むこと自体が嫌になり、やがてフォルダを空けなくなる。 誘導のためのサインも、場所によってふさわしい情報量があります。 担当者のサガ とはいえ、今回のサイン改修を任せられている「担当者(ワタシ)」としては、情報を「削る」作業はヒヤヒヤものです。 情報が多過ぎても「ダサい」「見づらい」で済みますが、情報がない・少ない場合は、「なぜ書いていないのか」と怒られそうで(誰から?)、迷ったらとりあえず「書いておいた方が良い」と考えてしまいます。 外部のスタッフやあるいはデザイナーなら潔く切り捨てられるかもし得ませんが、これが、担当者の、あるいは事務方のメンタリティです。 合理的に考える 最初は、企画会社の方から「これ要りますか?」、「これカットして良いですか?」と聞かれるたびに、「いや~、ちょっと…」、「関係者に聞いてみないと…」と、先方を困らせていました。 しかし、いろいろ話しているうちに、情報を整理する要領がわかってきました。 それは「合理性」です。この場所にこの情報が「なぜ必要なのか」を聞かれ、それに答えるた

配色とナンバリング

サイン改修の企画の中では、当院には今までになかったいくつかの「仕掛け」が提案されました。 ゾーニング その中で、早々に採用されたのが「色によるゾーニング」です。 大きな病院では、フロアごとにイメージカラー割り当てて変化をつけています。 もし患者さんがエレベーターで違うフロアに降りてしまっても、「なんか違う」と気づきます。 当院はそんなに広くないので、フロアごとの差別化はあまり重要ではありません。 その一方、一つのフロアに診察室や検査室が隣接しているので、これを分けるための「ゾーニング」をしました。 診察室が並んでいるエリア一帯を青系、検査室や相談室は緑系、受付や事務を茶色、と言う具合です。 機能別のカラー 「ゾーニング」が一定の範囲で色を使ったのに対し、特定の機能に独自の色を割り当てることもしました。 当院では、フロア内に複数の「カウンター」があります。 迷った患者さんのご案内はもちろん、検査や処方薬の説明をしたり、予約の調整を取ったり、外来フロアの「要所」として活躍しています。 以前から、この「カウンター」を患者さんに案内するのが一苦労、という話が多かったので、思い切ってオレンジにしました。 その他、よく聞かれるのが「売店」、こちらはピンク。 そして、今回各所に配置されたサインの中で、診察室や、検査室という、具体的な部屋名の表示とは別に、「誘導」を目的としたサインがあります。天吊りのサインや、エレベータのフロア案内、マップなどがそれにあたり、これらを「青」で統一しました。 「青を目にするとそこに何らかの案内がある」、「迷ったら青を探す」とようにイメージしてもらえたら、という考えです。 ちなみに、誘導の青と、診察室の青はトーンを変えて差別化しています。 診察室以外もナンバリング 色を使った仕掛けの他に、番号を使った仕掛けも採用しました。 「〇番診察室」というのは、医療機関でよく聞く呼称です。一方で、当院ではこれまで、検査室や相談室にはナンバリングしていませんでした。 例えば診察室で採血をオーダーした場合、患者さんにはその診察室を起点に、右に行って、左に行ってと案内するしかありませんでした。 今回、検査室や相談室

所見の確認漏れ、どうしてますか

近年話題になることが多い、検査所見の見落とし。 慈恵医大病院のケースは記憶に新しいところです。 慈恵医大、がん疑い見逃し新たに5人、検討委(m3.com 2017/7/21) この慈恵医大病院の件は相当のインパクトで、2017年の保健所の立入り検査(毎年定期的に入るものです、ヤバいやつではありません)の時に、 保健所職員が雑談の中で、この件に触れていました。 なぜ見落としが起きるのか 医療関係者ではない方のために、なぜこのようなことが起こるのか、少し書いておきます。 一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、医療の現場には「読影医」という人たちがいます。 その字面から想像つくと思いますが、検査画像を詳しく見ることを専門とする医師です。 今に始まったことではありませんが、医療の現場では専門分野に特化した人材が、それぞれの得意分野を担う、「分業」が進んでいます。 診察室で患者さんとお話しする医師が、必要に応じて検査をオーダーします。放射線科などの検査部門が撮影した画像を読影医がじっくり診て、異常がないか確認します。そして読影医が書いた報告書(レポート)を元に、検査をオーダーした医師は診療を進めていくわけです。 このとき、様々な理由でレポートが診察に活かされないことがある、というわけです。 例えば、診察医が非常勤医師の場合、レポートが返ってきたときには、すでに病院にいない、ということがあります。慈恵医大病院の件はこのケースです。 外来患者さんの場合、「来週結果をお伝えします」といって次の診察の予約を取ったものの、何らの事情で診察に来られなかった、そしてそのままになってしまう、などということも考えられます。 そして「紙」に回帰する 先日、当院でもこの話題になり、放射線科を中心に、どうやって見落としを防ぐかの対策が話し合われました。 私はこの打ち合わせに参加していなかったので、「~ということになりました」と後で聞いたのですが、その方法が「緊急の対応を求めるレポートは、放射線科がプリントアウトして配る」というもの。 配る先は、リーダーナースを通じて担当医師、院長、副院長(2名)の4枚と、これに放射線科保管の1枚。 なにやら、「やっぱり、紙があると目に留まるので忘れない」のだと。 消し込みはどうす