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全員に説明する必要があるか

当院では、透析室に患者さんを呼び込む際、名前を放送で呼び出しています。 長年この方法でやってきたのですが、患者さんが聞き逃したり、いわゆる「言った言わない」なったりと、トラブルが絶えません。 そこで、検討チームが発足し、ディスプレイで番号を表示する案が浮上しました。 市場にこういった製品があるのかわかりませんが、手元にあるツールでプロトタイプを作ってみました。 すると、検討チーム内では「なかなか理にかなった仕組みではないか」ということで一気に盛り上がり、実際に運用する職員にプレゼンしてみようということになりました。 困ったのは、プレゼンの対象者です。 透析室のスタッフ全員に説明してほしいというのです。 最初は耳を疑いました。ある程度判断ができる人に説明すれば良いのではと思っていたのですが、スタッフ全員とは…。 当然、一斉に説明することはできないので、説明会を複数回開催してほしいとのこと。 まあ、頼まれればやりますが、そもそも全員に意見を伺う必要があるのか、と思うわけです。 聞くと、「全員に説明しておかないと、あとで文句が出るといやだから…」とのこと。 なんと嘆かわしい…。 そのために師長や主任と言った管理職がいるのだと思うのですが、その人たちに「それって必要ですか」と聞くと、キョトンとされてます。 私が説明責任を放棄しようとしているかのような、そんな眼差し...。 医療機関って、どこに行ってもこんな感じなのでしょうか。少なくとも、私がこれまで働いてきた医療機関はこんなことありませんでした。 私などは、末端の職員にまで説明することに費やす時間がもったいないと考えてしまうのですが…。 もしかしたら、こうして全員にていねいに説明することが従業員満足度に寄与するのかも…、少し無理矢理ですが、こんな感じで今日は終わります。

保守的な病院こそRPA

今回も、RPAの話を。 私は、この「RPA」という技術に、とても期待しているのですが、その理由はもう、これにつきます。 「当院のような保守的な病院でもアリなのでは」 医療機関のIT化は、それはもう高いハードルです。 古くはレセコン、PACS、電子カルテなど…、新しいものは、大学病院や、一部の先進的な病院が先鞭をつけ、その後、規模の小さな病院に広がっていく、というのが常でした。 中小病院の全てがそうではありませんが、やはり保守的な面は否めず、先行する医療機関の「実例」をみてからでないと、なかなか踏み切れないものです。 コストの問題はさておき、何か新しいことをしようとすると、必ず「抵抗勢力」が現れます。 例えば、「グループウェアを導入して、紙の書類をなくし、ワークフローに置き換えよう」と言ったらどうでしょう。 専用のPCが与えられていない職員はどうするのか。 頻繁にPCを使わないので、案件が届いたことに気づかないかもしれない。 そもそもPCが苦手な職員だっている。 案件によって決裁ルートに融通を利かせていたが、それができないと困る。 なんて声が聞こえてきそうです。 たしかに、グループウェアを導入するだけではなく、その分のPCを揃えなければいけないし、PCに触れる頻度を増やさなければいけないし、苦手な職員は操作を習得してもらう必要があり、運用ルールを定めて徹底しなければなりません。 たいてい「それだけでは済まない」し、その先の問題に対して思考が止まるから、「抵抗」されます。 しかし、RPAについては、基本的に人間がやることをロボットに置き換える「だけ」です。 今やっている作業を、その前後に影響のない形で自動化していくだけなら、これに異論を唱える人はいないはず。 より生産性を高めるなら、やはりプロセス全体を見直す必要があると思うし、なにより「前後に影響がない」を前提条件にするとRPA化できる業務が限られます。 それでも、全く何も変わらないよりはずっと良い。効果がわかれば、今までかたくなだった職員も、少しは話を聞いてくれるようになるかもしれませんし。 もう2019年も終わりですが、2020年はRPAの年にしたいな~。

RPAの魅力は「プラットフォームまたぎ」

最近、興味があって情報収集しているのが「RPA」です。 今日、ネットで見かけた記事で、こんなのがありました。 高額転売チケット、5分で発見 RPA活用、富士通と川崎フロンターレが実験(IT Media) RPAの仕組みで、チケット転売サイトをパトロールして、高額転売の可能性のある出品をピックアップするという。 驚くのがそのスピード。記事によると、5分で70~300件がピックアップできたとのことです。 上記の数字は、調べた結果「問題」であったの件数を指していると思われます。 だとすると、これ以外に調べた結果「正当」な出品があるわけで、一体何件をチェックしたのでしょうか。スゴいスピードです。 これを人力でやるとしたら…想像するのも気の毒ですが、おそらく今は人力でやっているのでしょう。 RPAとは ハッキリ覚えていませんが、「RPA」という言葉に私が気づき始めたのは2018年のどこか、つまり1年前くらいだと思います。 「RPA」とは「Robotic Process Automation」の頭文字で、PCで人間が行う操作を、ロボットが代わりにやってくれる、というものです。 最初は、「ロボットって…」と、なんか怪しいと思っていたのですが、調べていくウチに、なんだか良さそうと思い、情報収集していました。 その魅力は「プラットフォームまたぎ」 さて、私にとってのRPAの魅力を一言で表現するなら、「プラットフォームまたぎ」です。 (他にもたくさんあると思いますが、あくまで私個人の見解です。) PC上の作業を自動化するなら、 真っ先に思い浮かぶのが「プログラム」です。 多くの仕事で使われている「Excel」。Excelが世の中に存在しなかったら、人類の生産性のどれほど影響があろうかと言える、本当にありがたいアプリケーションです。 そして、Excelの作業を自動化するのに「VBA( Visual Basic for Application)」というマクロがあります。 これを駆使することによって、Excel状の様々な作業が自動化でき、私自身も多用しています。 このVBAが活躍するのは、ExcelをはじめとしたMicrosoft Office製品群です。 (Excel以外で使っているのをあまり見たことありませんが) しかし

「あいさつできない職員」と「あいさつ運動」

私の個人的な感覚ですが、当院は、職員同士がマメにあいさつする方だと思います。 7年前にこの病院に転職したときは、感心したものです。 しかし、ごくごく一部ですが、あいさつができない職員がいるのも事実です。 「対象との距離」や、「周辺に人がいるかいないか」などの状況にもよるかもしれませんが、面と向かってあいさつしているにもかかわらず、目も合わせず去って行く人が、確かにいます。 もう社会人なんだから…、と思うのですが、本当に困ったものです。 CS委員会の接遇改善活動として さて、当院では「あいさつを徹底しよう」というのが、CS委員会のライフワークになっています。 例年、一定の時期に「あいさつをしましょう」などのポスターを掲示したり、「あいさつ強化月間」などと銘打って、職員を啓蒙しています。 その気持ち、わからなくもないのですが、個人的には、どうかと思っています。 その理由はたった一つ、「カッコ悪い」から。 もう社会人なんだから(本記事2度目)…、私の職場に「あいさつをしましょう」のポスターが貼ってあったとして、お客さんが来てそれを見たら、どう思うでしょうか。 直接介入あり? 当院は保守的な病院なので、「〇〇さんはあいさつができていない」など、個人攻撃は御法度。 それもわかりますが、そういう人にポスターで伝わるのか、とも思います。 「これ、アナタのことですよ」と言ってあげないと、響かないのではないかと。 このレベルの問題を本当に解決したいのであれば、面と向かって本人と話さないといつまで経っても進展しないと思います。 もしかしたら、なんらか理由があって「あえて」あいさつしていないのかもしれないし、そういったことをくみ取るためにも、具体的に介入した方が良いと思うのです。 「あいさつ運動」って… さて、そんな中、CS委員会の新たな取り組みとして、「あいさつ運動」が始まりました。 学校で、先生が校門の前に立って声をかけるっていう…、アレです。 CS委員の職員が待ち構えて、出勤してきた職員に「おはようございます」と声をかけるという…。 それって、早く出勤しているCS委員の人件費はつくのだろうか…? シフト勤務になるか手当がつかなけれ

就職予定の看護学生の妊娠がわかったら

今日は重い話です。 ここ数日、事務所で飛び交っているのが、「来春就職予定の看護学生が妊娠してしまった」という話題。 院長、看護部長、事務長、皆が「言語道断」ということで、採用担当者はこの後、本人に「内定取り消し」を宣告せねばならず、辛い立場です。 さらに困っているのが経理担当者。この学生さん、奨学金で看護学校に通っており、採用なしとなれば、一括で返金してもらわなければならないとのこと。 同僚の心中、察するに余りあります。 さて、この件で私が思うのは、この時代に「言語道断」ってアリなのかな?ってことです。 ネットで調べると、法的には内定した時点で、これを一方的に取り消すのは、「解雇」にあたるという判例が多いとのこと。そして、「妊娠」は解雇の理由にはならないとのことです。 「マタハラ」なんて言葉があるように、時代的には女性が社会で活躍することを後押しする流れの中があり、何より「少子化」は大きな社会問題です。 無計画、無責任など、ご批判はもっともですが、「大目に見てやってくれませんかね…」というのが、私の本音です。 3年後を想像してしまいます。 妊娠して中絶するか迷っているうちに、病院から内定取り消しの連絡があり、仕事を諦めて、奨学金を返すために借金をして、看護師の夢もあきらめ…。 それよりも、いろいろたいへんだったけど、、病院が受け入れてくれたおかげで、本人もお子さんも今は幸せです…っていうストーリーの方が良くないですか。 まあ、就職以前に、国家試験もクリアしなければいけないし、就職してからも看護の仕事は過酷だし、そう簡単なことではないと思いますが、せめて一方的な取り消しではなく、本人に選択させてあげれば、と。

患者さん向けフリーWi-Fi用に「ギガらくWi-Fi」検討中です

患者さんからの要望が多い、「フリーWi-Fi」。 このブログでもかなり前から書いているのですが、検討しては断念、と繰り返していました。 しかし、今回の院長は本気です。 「本気」になった理由は、こんなことがあったからです。 台風被害で災害時の需要に気づく (日常の)職員の福利厚生として 業務系LANの活用、拡張? さて、患者さん向けだけでなく、職員の福利厚生にも、となると提供する範囲がより広くなります。 職員の休憩スペースなどにも電波が届くようにしなければなりません。 そこで考えたのが、院内の業務用のLANを活用すること。 どこの病院でも、基幹業務用の「HIS系」と、バックヤード業務用途でインターネット接続している「業務系」(病院によっては、情報系、インターネット系など呼び方は様々)に分けていますが、この「業務系」を使ってできないかと思ったのです。 使用する帯域を分けられれば、もともと敷設しているLANなので、これを少し拡張すれば、すみずみまで届くようにしてもあまり大がかりな工事にはならないはず…。 さらに、これに便乗して、HIS系に対し貧弱な業務系を強化しようという魂胆です。 当院では、業務系の無線LANは、一部の会議室にしか入っておらず、この期に全館で無線LANを整備できればと…。 ギガらくWi-Fiを検討しています そこで目についたのが、NTTの「ギガらくWi-Fi」です。 この「ギガらくWi-Fi」、設置したアクセスポイント(以下AP)を毎月お金を払って使用する、「サブスクリプション」のビジネスモデルです。 お察しのことと思いますが、アクセスポイントの台数分、費用が発生します。 ただ、様々な設定がクラウドでコントロールされるので、管理の面ではとてもラクです。 では、クラウドで何がコントロールできるのでしょうか。 複数SSIDの運用 SSIDごとの帯域制限 接続デバイスのMACアドレス制限 SSID毎のスケジュール停波 (夜間の使用禁止など) 利用状況の確認 AP故障時の先出しセンドバック 利用者(患者さん)に、任意のページを初期表示する いかがでしょうか、結構なことができると思います。 ご興

広報仕事のジレンマ

当院では、今週から「職員は全員マスク着用」となっています。 まだ、クーラー入れいている部署もあるというのに、感染制御委員会の気合いのほどがうかがえます。 さて、今日は私が広報の仕事をするときに抱えている矛盾の話を。 当院では、経営企画室の仕事の一つに、「広報業務」があります。 と言っても仕事の範囲が曖昧で、たまたま私が カメラが趣味で、 Adobe系のソフトを使えて、 これまでの仕事でデザイン力が評価されている ということで、「制作」は私の仕事になっています。 広報の仕事はザックリいえば「企画」と「制作」であり、重要なのはもちろん「企画」のほうです。 その「企画」を誰がするのかが明確になっていないので、いろいろと問題が発生します。 放置される執筆依頼 Webサイトでも、ポスター経緯でも、広報誌でも、「何を」伝えたいのかハッキリすれば仕事が進むのですが、担当部署に執筆依頼しても、なかなか原稿を提出してくれません。 年単位で放置されることもしばしば。 後述する理由で、当院はあまり広報に力を入れていないので、普段はあまり問題にならないのですが、何かの拍子に突然、「Webサイトの情報が古くなっているがどうなっているのか」、「こういうことは、ちゃんとポスターで掲示しないと」となるのです。 すると私が催促されるのですが、私はあくまで「制作」の立場なので、担当者が内容を提示してくれないと、どうにもならないのです。 各部署に目標設定がない なぜ広報業務の優先順位が低いのか。各部署に同機がないからです。 以前私が勤めていた病院では、各部署に数値目標が設定され、毎月、予算実績報告をしていました。 そうなると、各部署は患者さんを誘導しようと、いろいろな試みをするものです。 「医療機器が新しくなったので宣伝してほしい」、「回転率を上げるために、こんな案内を掲載してほしい」など、自発的に情報発信します。 ところが、当院では特に求められていないので、働きかけなければ各部署が自ら情報発信することはありません。 地域に競争がない さらにいえば、地域に競争がないからです。 人口密集地は医療機関密集地です。気を抜けば、よその病院さんに患者さんが持って行かれま

医療と介護の総合展に行ってきました

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今回は、台風15号シリーズをお休みして、昨日(2019年10月24日)に行ってきた、「医療と介護の総合展」のお話を。 あまり時間がなくてゆっくり見られなかったのですが、いくつか印象に残った子をと書いておきます。 部品メーカーの出店が多かった 医療機関向けのイベントというと、他に「モダンホスピタルショウ」や「HOSPEX」などがありますが、それらと比べると、ベンダーさん同士の情報交換の要素が強かったように思います。 我々、医療機関が導入を考える製品ではなく、最終製品をリリースしている会社や、建物や設備を構築するような会社向けのブースが多く、体感で1/4くらいはそういうブースだったと思います。 働き方改革にIT活用 私の実務に関係する分野では、労務関係の出展に興味深いものが多くありました。 勤怠管理や、社会保険関係のオンライン手続きは、働き方改革が叫ばれる今、格好の商材と言えるでしょう。 恥ずかしながら、私は今回の展示会で初めて「 e-Gov 」というものが世にあることを知った次第です。 介護もIT化 もう一つ印象的だったのが、介護関係のIT化を促す出展が多かったこと。 医療と同じく労務管理などの出展も多かったのですが、その他に介護分野用の電子カルテや、職員の動態管理など、左心のIT技術を採用した出展が多くて、少し驚きました。 介護というと、医療に比べ経済規模が小さく、経営層がIT投資しにくく、またビジネス的にも今ひとつ盛り上がっていない印象だったのですが、これからは認識を変える必要があると思いました。 Japan IT Week じつは、当日、隣の会場で開催されていたのが、「Japan IT Week」です。 こちらの対象は医療だけではなく、広く最新のITを紹介するもので、どちらかというと今回の本命はこちらでした。 AI OCR + RPA とにかくこの「AI OCR + RPA」の出展が多く、私が目指していたモノもこれでした。 いくつかのベンダーさんには、後日あらためてサービスの説明を申し込みました。 私は臨床の人間ではないので、直接、医療にAIを持ち込むのはイメージが湧かないのですが、このAI OCRはかなり現実的だと考えています。

台風15号備忘録:グループ病院からの物資支援

台風19号が東日本に甚大な被害をもたらしました。 当院の地域も台風19号が通過したのですが、メディアで報道されているような大きな被害はなく、10/12(土)の診療を一部制限したのと、職員の避難者を受け入れたくらいで済みました。 今回、メディアで報道されている、「河川の氾濫」や、「冠水」は、本当にたいへんな被害だと思います。 台風15号の際、当院では「停電」と「断水」に見舞われたのですが、それは、復旧すればほぼ「元通り」になります。 しかし、冠水で汚水、汚泥にまみれた建物や設備は、そう簡単に戻らないでしょう。 当院の土地は、歴史的にも洪水などの「水害」に見舞われたことはなく、その点はあまり心配していなかったのですが、今後は少し考えた方が良いかもしれないと思いました。 グループ病院からの支援 さて、そんな中ですが、今回も台風15号の時の話を書きたいと思います。 当院は、同じ法人で二つの都道府県にまたがりそれぞれ1つの病院と複数のクリニックが存在しています。 台風15号では、当院が被災しましたが、隣の県にあるもう一つの病院は無事だったのです。 これまでも書いたとおり、被災時は、食料などの物資が近隣の店舗から消え去り、調達に苦労しました。 そこで、グループ病院が地元で買い出しをしてくれて、当院まで届けてくれたのです。 食料だけではありません。 当時は、まだ9月半ばでとにかく厚く、一部の病棟では停電により空調が効かなくなっていました。そこで、扇風機を大量に購入して届けてくれました。 他にも、LEDランタンや、送迎者用のガソリンなど、本当に助かりました。 離れたところにグループ病院があると、例えば毎月の業務報告や、理事会等の役員会議、お互いのイベントに行ったり来たりと、普段は長時間の移動が面倒だと感じていますが、今回ばかりは、本当に心強く思いました。

台風15号備忘録:スマホの通信ができない時間帯も

台風19号が迫ってきました。 当院では、明日12日(土)の外来診療を一部休診にすることを決定し、すでに予約が入っている患者さんには、昨日から電話をかけて休診の旨と、次回受診の調整をしております。 外来の看護師が電話をかけているのですが、とてつもない件数だけに本当に気の毒です。 当院の周辺では、2日前頃から、店頭から食品がなくなり、ガソリンスタンドには渋滞ができています。地域住民に、台風15号のことがどれだけインパクトが強かったかうかがい知れます。 相手は自然なのでなんとも言えませんが、本当に困ったものです。 スマートフォンが通信できない さて、今日も台風15号のことを書きたいと思います。 意外だったのが、スマホの通信ができなくなったことです。 災害時の連絡手段で有効なのは? なぜ携帯電話が通じなくなったのが「意外」だったのか、理由を書きます。 何度か書いていますが、電子カルテベンダーさんの「ユーザー会」が年に1回あり、そこで毎年のようにどこかの病院さんが、地震や洪水などの「災害」に見舞われたことを報告します。 それは、体験した者が語る、生々しくもあり、本当に貴重な情報です。 その中で、災害に見まわれた直後の「連絡手段」が話題になります。 皆さんの報告を総合すると、通じる順はこんな感じです。 LINE メール 携帯電話(スマホ)の音声通話 固定電話 固定電話が繋がらなくても携帯電話が通じるというのは、ネットワークの構成が異なるのか、正直そのへんはわかりません。 一方で、データ通信が音声通話よりも強いのは、おそらく「タイミング」なのだと思います。 音声通話の場合は、呼び出した相手が「着信」できる状態にないと通話が成立しません。 その点、LINEやメールなどの「データ通信」の場合は、相手の状態にかかわらずとりあえず「送る」ことができて、受信者は通信できるタイミングで受け取ることができます。 ですから、非常時はLINEやメールの方が情報を伝える手段として信頼できる、と思っていたのです。 時間差でやってきた 携帯電話が通じなくなったのは、若干のタイムラグがありました。 聞くところによると、地域一帯が停電になった後、携帯電話の基地局も非常

大風15号備忘録:取材対応

ここのところ、台風15号の被害について書いておりますが、現在、台風19号が迫っているということで、病院の中はまた慌ただしくなってきています。 今日の記事でご案内するのは、当時の取材対応についてです。 台風被害初日の9月9日(月)からTV局、新聞社から取材の電話が入りました。 当院では、上層部が、「取材は一切お断り」という方針でした。 まあ、院内が混乱しているのに、取材に対応しているひまなどない、ということなのですが、私は考えは少し違いました。 こういった機会でも、病院の名前が世に出ることは、認知度の向上に寄与するので、積極的に対応するべきだと思っています。 それは、ただ「有名になりたい」という単純なものではなく、いくつか理由があります。 中小病院もたいへんです ブログのタイトルにあるとおり、当院はいわゆる「大病院」ではありません。 国は、地域の大病院を「災害拠点病院」として、補助金を出し「備え」を促しています。DMATやEMISの仕組みは、言ってみれば「備え」のある医療機関を効率的に利用できる仕組みなのだと思います。 たしかに、中小病院や診療所にまで災害対策の投資をしていたら、キリがないし非効率です。 しかし、患者さんを移すことは簡単ではありません。 特に当院では、入院患者さんに加え、多くお透析患者さんを抱えています。 一日おきの透析が必要な患者さんにとっては、透析はまさにライフラインであり、「他に行ってください」と簡単に言えるものではありません。 平時でも「旅行透析」など、普段は他院で透析している患者さんが、一時的に別の施設で透析することはあります。その時は、あらかじめわかっていて、しっかりと準備をするから良いのですが、突然受け入れるとなるとそうはいきません。 何よりたいへんなのは患者さん本人です。 別の施設で行うとなれば不安にもなるでしょうし、施設までの交通手段だって確保しなければなりません。 だからこそ、苦しい中でもできる限りの対応をさせていただきます。 職員もたいへんです そんな思いがあるからこそ、被災した職員がなんとか病院に出てきて、患者さんの対応にあたっているわけですが、そんなことがメディアを通して少しでも伝われば良い

台風15号備忘録:本部立ち上げのタイミングを逸した

引き続き、台風15号の被害で感じたことを。 医療機関には、定期的な防災訓練が義務づけられています。 火災や地震を想定して、避難訓練を行います。 病院に限らず、どこも同じだと思いますが、会議室など、多めの人数が収容できる場所に「本部」を設置し、各部署から報告を受ける態勢を整えます。 今回の台風15号では、この「本部」が機能しませんでした。 明日復旧するかもしれない まず直面したのが「停電」です。当院では60時間以上停電が続いたのですが、正気なところ、ここまで長くなると思っていませんでした。 最初は情報が全くなく混沌としていました。初日の電力会社の会見は、「明日復旧」とのことでしたが、その後、「思ったよりも被害が深刻で…」と変更になったり。 ようやく停電が復旧したと思ったら今度は断水。 こうして、情報が不足、また錯綜する中、どこかで「間もなく復旧するだろう」と楽観的に見ていたところ、気がつけば1週間、10日と日が経っていったのです。 本部は必要 EMISの記事で、「情報を一元管理することの大切さ」に気づいたことを書きましたが、院内もこれと全く同じだと思いました。 本部がないことによって、情報が分散しました。 実際に、自治体への同じ内容の問い合わせが、数カ所から発信されていたことがわかりました。 逆に、自治体からの回答が、病院の中でたらい回しになることがありました。 こういった状況の中で「情報を整理すること」は重要だと実感しました。 落ち着いて考えれば気がつきそうなものですが、皆苛立っているので、正常な判断ができなかった部分もあります。 たかが台風ではすまされない 余談ですが、「台風」という、年に複数回経験する気象現象を、「これは災害」と判断することはなかなか難しいのではないかと思いました。 もしかしたら、今回一番の教訓はこれかもしれません。 気象のことわかりませんが、これが温暖化によるものなのか、だとすれば今後も台風が大型化していくのでしょうか。 今まで当院の地域では、大きな気象災害に見まわれることはなかったのですが、「台風」が自然の凶器になるとわかった以上、一定の備えが必要であると切り替えていきたいと思います。

台風15号備忘録:EMISって、知ってますか?

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みなさん、「EMIS」って、知っていますか? 医療に携わる方なら、その名前くらいはご存知でしょうか。 「いーみす」と読みます。 詳細は下のバナーのリンク先をご覧ください。 ザックリいうと、被災した医療機関がWebサイトから随時情報を入力して、その情報を元に中央からサポートを手配するというものです。 初めて使った 恥ずかしながら、私もその存在は知っていたのですが、使ってみたのは初めてでした。 というのも、EMISの担当は、院内の災害対策委員会の担当になっており、その災害対策委員会は、事務部門は主に総務部門から人員を割いています。つまり、私はまったく関係なかったのです。 定期的に行われる避難訓練と同じように、EMISの入力訓練なんかも時折やっているのですが、総務部門の職員が少ない日に「あっそうか、EMISの練習だ」なんて思うくらいで、私には縁のない話でした。 ところが、いざ被災してみて入力が必要になると、情報を収集して外部に発信するなら「広報」に長けた者の方が良いだろう、ということになりました。 まあ、総務部門の職員が「人力給油」で忙しくて、私のようなフリーの人間に声がかかったというのもありますが。 そんなわけだから、わからないことばかりです。 そもそも項目の定義がわからない。 どの程度正確に入力しなければならないのか。 アップデートの頻度はどの程度なのか。 大事な取り組みだと思う なんとか、使っているうちにわかってきたのですが、確かにこれは大事な仕組みだと思いました。 当時、院内でもそうだったのですが、情報が錯綜すると、本当にムダが出ます。 発生した一つの問題に対し、「誰かが対応している」あるいは「誰も対応していない」がわからないと、別の場所で同じようなことをしていたり、逆に「抜け」てしまったりしました。 例えば、当院が市町村や都道府県、近隣の医療機関や消防など、それぞれに連絡していたら、連絡する「手間」も相当なものですが、もしサポートがダブってしまったら、他の被災者にとって「もったいない」話です。 だからこそ、情報を一元的に管理し、中央から適切な指示を出すことはとても大事なことです。 な

台風15号の被害:自家発電装置のこと

台風が去り、地域一帯が停電になり、当院は自家発電設備に頼ることになりました。 当院で使用している自家発電機は、私が当院に入職する前、2011年に導入したモノとのことです。 2011年と言えば、誰もが記憶している「東日本大震災」です。 この時、当院の地域でも「計画停電」が行われ、その前に導入したのか、その後に導入したのか、私は知らないのですが、いずれにせよそれがきっかけで導入したとのことです。 じつは、当院では2017年に病院の近くに、別の施設を建設しているのですが、その施設にも自家発電装置が入っています。 施設の検討段階では、高額な自家発電装置の導入に反対の意見もあったのですが、今回、「入れておいて良かった…」と、院長がしみじみ語っていたのが印象に残っています。 さて、当院の自家発電機、いくつか問題があります。 うるさい とにかく動作音がけたたましく鳴り響きます。 9/17の記事 にも書きましたが、数百メートル離れた職員駐車場で、動作していることがすぐにわかるほどの騒音です。 ご近所の民家の皆さん、停電でイライラしているところ、本当に申し訳ない思いでした。 いくつかある、発電機の一つは病室のすぐ外にありました。 エアコンが効かない中、病室によっては、その「轟音」ゆえに窓を開けられない部屋も。 人力で給油 当院の自家発電機は「重油」を使用しています。 被災直後は、この重油そのものの供給が危ぶまれましたが、以前の記事で書いたとおり、周辺地域は問題ないので、そこは心配したほどではありませんでした。 問題は、自家発電機そのもののタンクが小さいこと。 大量の重油を購入しても、それは別の場所にある貯蔵タンクに入っているのです。 ですから、職員が人力で、貯蔵タンクから運ばなければなりません。 9/17の記事 で書いた、真っ先に「給油ポンプを買いに行った」というのは、そのためです。 ポンプと言っても特別なものではありません。昔ながらの、ストーブやヒーターに灯油を入れるようなポンプ。 このポンプを使って、これまた昔ながらのポリタンクに重油を移し、台車に乗せて数百メートル運び、またポンプを使って、ポリタンクから自家発電に移すのです。 この重労働を、総務課の職員が夜通

台風15号の被害:食料調達

薬品や診療材料などのサプライは、さほど困りませんでした。 被災地域は限定的で、そのすぐ周辺の地域は被害が大きくなかったので、「外から入ってくるモノ」が滞ることは、ほとんどありませんでした。 ただし、食料だけは別です。 患者食 患者食が提供できなくなるような最悪の事態は避けることができましたが、しばらく患者さんには緊急時のメニューで我慢していただくことになりました。 患者食も、それから職員食も、停電で使える調理器具が限定されるので、食材の調達に問題がなかったとしても、メニューを変更せざるを得ないのです。 そして、一旦変更したメニューは、「それ用」に食材を調達しているため、停電が復旧しても、すぐには戻すことができないとのこと。 結果的に、患者食が通常のメニューに戻ったのは、9日目の9/17(火)です。 職員食 当然ですが、患者食優先なので、職員の食事は二の次です。 大量のカップラーメンを調達し職員食堂に準備、お湯だけ沸かして職員の空腹を満たしました。 この数日は、お昼時になると院内の至る所でカップラーメンの香りがしていました。 9/12(木)から昼食だけ復旧(ただしメニューは通常とは異なる)し、完全に元通りになったのは、患者食から1日遅れて昨日からです。 街のお店が開いていない 病院の中はこんな具合でしたが、とにかく困ったのが、スーパーもコンビニも町中のお店が開いていないこと。 これは、私の推測なのですが、停電により「システムが動かない」ことが問題なのだろうと。 前述の通り、周辺の地域からさまざまな「商品」を受け入れることは、「流通」としては十分可能だったはずです。 しかし、各店舗のPOSレジや、在庫管理システム、受発注システム、そして「通信」ができないことで、様々な処理ができなかったのでしょう。 今の時代、なんでも「ピッ」ですからね。 なので、前述のカップラーメンも、遠く離れた場所まで、事務職員が車を飛ばして買い出しに出かけたりしました。 ホームセンターに行ったときのこと ちなみに、台風が去った9/9(月)の朝、真っ先にホームセンターに給油ポンプを買いに行きました。 自家発電機に給油するためのポンプが必要だったのです。 案の

台風15号にやられました

すでに復旧しつつあるのですが、9/9(月)未明の台風15号の影響で、当院と地域はかなりの被害が発生し、1週間経った現在、やっと復旧してきました。 前回 の記事で、8月の電子カルテのユーザー会について何回かに分けて書くとしましたが、予定を変更し、今回の台風被害で思ったことを下記残しておきたいと思います。 一応、このブログは匿名でやっております。当然、医療機関も伏せてやってきたのですが、今後の記事の内容でわかってしまうかもしれません。 ですが、大変貴重な経験だったので、ブログ読者の皆さんにぜひ共有したいと思います。 もしわかっても、そっとしておいていただければ助かります。 さっそくですが、今日の記事では当院が陥ったライフラインの被害を書いておきます。 停電 9/8(日)の夜に自宅で就寝、寝苦しい夜でした。 日付が変わったくらいから、断続的に停電が発生していました。すぐに復旧するのですが、そのたびにエアコンの電源を入れ直しました。 9/9(月)の2:30頃だったでしょうか、そこから全く電気が復旧しなくなりました。 後に、電子カルテベンダーさんから、丁度その時間に電子カルテサーバーが一度ダウンしたことを教えていただいたので、病院もその時間に停電したのだと思います。 9/9(月)朝、出勤して職員駐車場から病院に向かって歩いて行くと、自家発電機の盛大な稼働音を聞いて「病院もか…」と落胆したのをハッキリと覚えています。 それから、9/11(水)の16:00過ぎま約60時間、停電が続いたのです。 ちなみに私の自宅はその翌日、9/12(木)の17:30まで停電が続きました。 断水 電気が使えないのもキツかったのですが、時間差でやってきたの「断水」です。 前述の通り、9/11(水)の夕方に電気が復旧し、「明日からやっと…」ということで、体制を整えていたのですが、翌日9/12(木)の朝、「これから断水する」との情報が。 市役所から、医療機関ということで、一般より一足先に連絡がきました。 聞くところによると、当院の地区を管轄する「配水場」の設備が一部故障して、溜まっていた水を放出しきったのが、9/12(水)の朝だったということらしいです。 そしてこの断水は今日、9/17(月)

電子カルテユーザー会の雑感:災害の報告がなくて良かった

先日、当院で使用している電子カルテのユーザー会に参加してきました。 年に一度のユーザー会なのですが、毎回参加するたびにいろいろと思うことがあります。 そこで、今回から何回かに分けて、ユーザー会で思ったことを書いていこうと思います。 今回のユーザー会でまず思ったのが、災害に関する報告なかったことです。 ここ数年、毎年のように地震や豪雨などの災害に見まわれた病院から、その時の様子を赤裸々に報告していただく演題がありました。 災害時の影響範囲や、職員との連絡手段をどうやって確保したか、そしてどのように復旧していったのか、経験者ならではの気づきがそこにあり、毎回我に返るというか、はたして同じ規模の災害が当院で起きたらどうなるのか、心配になります。 しかし、ユーザー会から帰ってきて電子カルテ委員会で問題提起しても、具体的な対策を講じるまではいかないんですけどね。 さて、そんな災害に関する演題が1件もなかったのは良かった…と思っていたところに、長崎の豪雨です。 患者さんと、職員の皆様のご無事を祈るばかりです。

拡散しない会議

経営企画室の仕事の一つに、パンフレットやリーフレットなどの企画があります。 先日、当院が展開する介護サービスのリーフレットを制作するため、関係者を集めての会議をしていたのですが、なんとも消化不良というか、残念な会議でした。 グループを前面に押し出すメリットとデメリット リーフレット制作に至る経緯を簡単に説明し、さっそく、「どんなコンテンツをリーフレットに盛り込むか」から話が始まりました。 いくつかアイディアを出しているうちに、「グループで患者さんをサポートできる」という話に。当院は、病院の他に複数のクリニックと、いくつかの介護サービスを運営しています。 となれば、「グループ全体で患者さんをサポートします」は、PRに有効な要素です。 しかし、介護サービスは当院の患者さんだけではなく、他の医療機関の患者さんにも利用してほしいものです。 なので、あまり「グループ」感を前面に押し出すと、「囲い込み」というか、早い話、紹介してくれるはずの他の医療機関さんに、「患者さんを横取りされる」ような印象を与えてしまわないか、ということが気になりました。 そんな話をしたところ、介護部門の職員から、「そんなこと気にしなくて良い」とバッサリやられました。 もちろん、他の医療機関さんや院外のケアマネージャさんと、しっかりとした信頼関係ができていれば、心配しなくても良いかもしれません。 そのあたり、私のような立場の人間は現場を知らないので、「では、グループを押し出していきましょう」となったわけです。 拡散しない しかし、その後も現場職員の、ある種「一方的」な話が続きました。 私:「一度、思いつくコンテンツを全て出してみて、その中からピックアップしては…」 現場職員:「必要なことはわかっているから面倒なことしなくても…」 私:「デザインは、複数のパターンを制作会社から提案してもらってその中で…」 現場職員:「(手元にある他の施設のリーフレットを指して)これでいいでしょ…」 どうも、 いろいろとアイディアを出してみて(拡散) そこからベストな選択をする(収束) というプロセスがうまくいきません。 より良いものを制作したいという意欲がないのか、あるいは、すでに持っている考えが「ベスト」だと思っているのか、それは私に

以前働いていた病院に行ったら、職員教育が徹底されていた話

今日は、以前私自身が勤めていた病院に行ったら、職員の対応が素晴らしかったことを書きます。 なぜ古巣の病院に行ったかというと、私の実の母親の受診の「付き添い」として、です。 少し重い疾患で、設備の整った病院で診てもらう必要があり、「元いた病院」という気恥ずかしさもありましたが、設備が整った病院ということでお世話になっています。 5月中旬の外来受診の時のことです。 実はこの病院、ゴールデンウィークを利用して、電子カルテをはじめ、HIS系システムの更新がありました。 予約日当日、早めに病院に着いたのですが、もう…、患者でごった返していました。 初めての再来受付機 まず、再来受付がたいへんな行列に。 いままでこの病院では、再来受付機がなく、外来の各ブロックで患者さんから手渡しで診察券を受け取って「受付」していました。 それが、導線も変わり、機械の操作につまずき、たいへんな渋滞を引き起こしていました。 番号呼び出し 病院で増えてきた「番号呼び出し」も、今回のシステム更新時に取り入れた新しい取り組みとのこと。 この病院では、受付時に発行した番号を、診療、会計、薬の受け渡しと、全ての工程で使用する仕組みです。 混雑した待合室の中で、「〇〇番のカタ~、〇番診察室にお入りください。」とアナウンスが聞こえてきます。 しかし、地元の患者さんにはどうも受け入れられないようです。私の周りでも「番号で呼ばれてもわかんないよ」という言葉が聞こえてきます。 看護師の対応が素晴らしい こんな、ある意味「パニック」の状態の外来で、感心したのは職員の対応。 まずは看護師。 アナウンスの後に患者が入ってこないと、待合に出て番号呼び、それでも反応がないと患者名でもう一度呼び出し。 この時、患者が待合室からあふれているものだから、廊下まで探しに行きます。 これ、体力的にも辛いでしょうが、精神的にもかなりキツいはず。 ひとたび待合室に出れば、患者から呼び止められます。 「〇〇ですけど、まだですか」 「〇〇時の予約ですが…何時頃になりそう?」 「俺、忘れられているのでは?」 「番号で呼ばれてもわからん!」 「予約時間」を大幅に超えて待たされれば、職員をつかまえて文句の一つでも言い

仮想サーバーをやめた理由② 時間がなかった

前回 に引き続き、部門システムの仮想サーバーかを断念した理由を書きます。 前回の記事では、物理構成に比べて仮想構成の方が高額になってしまったことを書きました。 もう一つ、決定的な理由が「間に合わなかった」ということです。 スタートが遅かった ブログタイトルの通り、私自身は「経営企画室」の人間で、システム部門は別にあります。なので、「当院のシステムをどうやって構築するか」は、本来私の仕事ではありません。 しかし、各部署がバラバラに動いては、「仮想化」なんて発想が出てくることもなく、かといって当のシステム部門が動くでもなく…。 刻々と既存システムの「保守満了」が近づいていることに危機感を覚えた私は、何度となく関係者に「仮想化とは」を説明しました。 経営企画室が所属する事務部の長である事務長に、そして、なぜか「本職」であるはずのシステム部門の職員に、仮想化のメリットデメリットを何度なく説明しました。 ようやく、事務部門が説得できて、いざ院長・副院長にプレゼン、許可を得られたのは、既存システムの保守満了の1年前でした。 仮想サーバーのサイジング 「1年」というと、十分な時間と思われるかもしれません。 旧来の物理構成のシステムであれば十分でしょう。 しかし、仮想サーバーになると、適切なスペックのサーバーを設計(サイジング)するための時間が必要です。 容量や処理能力が、「足りない」のは論外、だからといって最初から過剰なスペックで設計すれば、なんのための仮想化かわかりません。 ということで、仮想サーバーに「のせる」各システムの必要スペックを計算するのですが、この作業がまったくはかどりませんでした。 先にも書いたとおり、システムを預かる各部署は、「1年」というと、「かなり先のこと」という感覚で、全然話が進まないのです。 PACSのデータ移行 サイジングの作業に手間取っている中、数ある部門システムで中で最大のリソースを要する「PACS」の更新のタイムリミットが迫ってきます。 PACSは、DICOMデータの移行に数ヶ月かかるので、他のシステムに対して、最低でも3ヶ月は前倒しになります。 つまり、PACSが仮想サーバー導入のタイムリミットを決めるわけです。

仮想サーバーをやめた理由① 費用対効果が微妙になってきた

ここ数ヶ月、次期PACSの更新の話を引きずっていましたが、やっとベンダー選定、院内決裁とも終了しました。 どちらのベンダーさんにするかは、かなり前から方針が決まっていたのですが、様々な周辺の費用( 「次期PACS導入の付帯費用いろいろ(2019/5/21) 」)がかかることがわかっていたので、これを整理するのに時間がかかりました。 さて、5/21の記事にも書いたのですが、当初、PACSを始め、多くの部門システムを仮想化する予定だったのですが、これを断念しました。 今回と次回、2回に分けて、「なぜ仮想サーバーをやめたのか」を書きたいと思います。 まず、今日の記事で書く、仮想サーバーを断念した理由の一つが、「費用対効果が怪しくなってきたかた」ということです。 医療機関同士の交流や、医療向けのイベントなどで「サーバーの仮想化」という言葉を聞くようになったのは、私の感覚では3年くらい前からです。 レセコンや電子カルテと同じく、最初は大病院から採用が始まり、やっと我々中小病院でも手の出せる費用感になってきたところで、丁度、当院がシステム更新の時期を迎えたことで、「これは行くしかないだろう」ということで検討し始めました。 そこにいくつかの「誤算」が重なり、結果的に費用対効果の見通しが立たなくなりました。 Oracleのライセンス体系 誤算の一つは、データベースシステムの「Oracle」の費用です。 あまりうまく説明できないのですが、ソフトウェアのライセンスは、通常、使用する本数分支払います。ところがOracleは、サーバー全体に費用が発生します。 どういうことかというと、仮想サーバーに複数のシステムが構築されていたとして、そのうちのいくつかがOracleを使用するシステムだったとします。ライセンスが「Oracleを使用するシステム数」だけあればよさそうですが、そうではなく、仮想サーバー全体にかかってくるのです。 どうも、サーバーが「仮想化」されるようになり、これまでのソフトウェアのビジネスモデルが成立しなくなってきていることから、このようなライセンス体系になったそうです。詳しいところまで私は理解していませんが、多くのインテグレーターさん、システムベンダーさんが口をそろえてそのように

領収書の日付を「令和」に

先日、当院が患者さんに渡している請求書が問題になりました。 請求書は2種類あります。 自動精算機から出力される請求書 電子カルテの会計システムから出力される請求書 ほとんどの精算は自動精算機で行われるのですが、入院費や、一部自動精算機では処理できない会計は、職員が会計システムを操作して請求書や領収書を発行します。 記事のタイトルでお察しかと思いますが、問題は「請求日」。 自動精算機は和暦…つまり「令和」で印刷してあるのに対し、会計システム側は「西暦」になっているのだと。 6月も中旬になってこの問題に気づくとは…、担当者は何をしていたんだと言いたいところですが、それは置いておきましょう。 この件、私のデスクの近くで井戸端会議が始まりました。 話に参加しているのは、これに気がついた事務職員数名と経理担当者1名。 「同じ病院から受け取る請求書の表記が異なるのはどうかと思う」 「どっちでも良いから、統一した方が良いよね」 「まさか、システムの都合でそうなっているのでは…」 「それって、どこに聞いたら良いのか…」 「それより、合わせるとしたらどっち(元号or西暦)?」 こんな話が聞こえてきます。 (いや、聞こえるようにしゃべっているのか…?) 仕方ないので、「少し良いですか?」と口をはさむ。 私が話したのは以下の通り。 システムから発行する書類の新元号・西暦対応についてはシステム部門と医事課が対応することが、数ヶ月前に電子カルテ委員会で確認されている。 なので、この手の問題はシステム部門にまず報告するべき。 ちなみに、元号と西暦のどちらを使用するかは、生年月日に関するもの以外は基本的に「西暦」でいく方針になっている。 ちなみに、システム上の都合で元号を西暦表示に変更することができないというのは、極めて可能性が低い。 皆さん納得した様子で、その場は解散。 その後しばらくしてから、経理担当者が私にこっそり教えてくれた。 「なんか、事務長の判断で元号にすることになりました」と。 理由は、「公文書が元号だから」だと。 ちなみに、私は圧倒的に「西暦派」です。 たしかに、医療機関ですから、患者さんの取り違えを防ぐため、生年月日の確認は重要で、その際、「西暦で言ってくだ

再見積もりと言われても…PACSベンダーさん決定まであと少し

ただいま、次期PACSのベンダー選定が大詰めを迎えております。 今回、複数のベンダーさんにオファーして、そのうちの1社に決めるのですが、一応結論が出ていて、いまは最終候補1社のベンダーさんと調整をしているところです。 さて、こうなってくると、「落選」したベンダーさんに、「この度はご縁がなかったということで…」というお話をするわけです。 すると、どのベンダーさんも判で押したように、「金額が合わなかったのなら、もう少し頑張れますが…」という話が返ってきます。 できれば最初からお願いしたい まあ、ベンダーさんから見れば、可能な限り高く売りたいのでしょう。できれだけ高い金額で売れた方が会社のために、ひいてはご自身のためになるので当然のことです。 最初は余裕のある金額を提示して、様子を見ながら価格を下げていく…、これが駆け引きというもの。 しかし、私はこの手の、Aの方が安ければBに、Bが安くなったらAに金額を提示を求める価格交渉は、あまり好きではありません。 基本的に一発目の見積で決めます。時間の無駄ですしね。 「最初から本気を出さない」イメージ 私の流儀は別にしても、実際に再見積を何度もやることって、どうなんでしょうか。 当院から見て、「このベンダーさんは、最初からギリギリの金額を出してくれない」というイメージになってしまいます。つまり、提示されている金額よりもう一段先がある、という目で見てしまいます。 特に今回の「PACS」については、多くのベンダーさんが、モダリティ(検査機器)のベンダーさんでもあり、PACSが契約に至らなくても、モダリティでお付き合いが続いていくわけです。 駆け引きするベンダーさんであるというイメージは、今後の取引にも影響するのではないかと、こちらが心配してしまいます。 と、いろいろ書きましたが、取引に至らなかったベンダーさんには、本当に気の毒に思います。 どんなに手間をかけてプレゼン資料を作っていただいても、デモや質疑応答で時間を割いていただいても、当院が契約できるのは1社のみであり、その他のベンダーさんには、1円もお支払いしません。 機能紹介や見積合わせの打ち合わせで、こちらも大いに勉強させてもらっているのに。 もちろん

次期PACS導入の付帯費用いろいろ

4/10に「 次期PACSベンダーさん選考中です 」という記事を書きました。 選考にあたり、重要な要素の一つが「金額」です。 PACSそのものの購入金額や保守費用は当然ですが、その他にいろいろと考えなければいけない費用があります。 「PACS」だけの金額を計上するのではなく、PACSを更新すると「影響が出る」部分を全てカバーして、「この金額がかかりますがよろしいでしょうか?」というように上申する必要があります。 この作業を怠り、決裁を通した後に追加の費用が発生すると、かなり気まずくなります。 大型案件では、ベンダーさんが決定した後は、事情が変わったからといって簡単に引き返せません。ベンダーさんが決まる前なら、高額な費用を提示されたら、「じゃあ他のベンダーさんに…」とこちらが主導権を握れますが、ベンダーさんが決まった後は受け入れざるをえません。これも「ベンダーロックイン」と言ってもいいでしょう。 だからこそ、PACSの更新にまつわるあらゆる費用を抑えておかなければなりません。 それでは、具体的にどんな費用があるでしょうか。 仕様変更 どこの医療機関でも、独自の業務フローがあるものです。 その内容にもよりますが、多くの場合、「カスタマイズ」はお金がかかるものです。 「既存のシステムでできたことが、新システムではできません」が許されることはほとんどありません。 この費用の積算が最も困難です。契約後なら、あるいは契約に限りなく近ければ、突っ込んだ話ができますが、医療機関、ベンダーさん、お互いにまだどうなるかわからない状況で、実用上の問題を洗い出すのは、かなり根気のいる作業です。 モダリティの接続費用 PACSのベンダーさんが変わると、モダリティをの接続し直す必要があります。 ここでいうモダリティとは、レントゲン装置やCT装置・MRI装置等です。内視鏡やエコーなども接続している場合はこれらの費用も見込まなければいけません。 この費用は、PACSベンダーさんと、モダリティベンダーさん、双方に費用が発生します。 電子カルテの接続費用 電子カルテやオーダリングシステムで検査のオーダーをしている場合や、電子カルテからPACSのビューワーを直接起動するような場合は、電子カルテベンダーさんに対応してもらう必

部署内の「回覧」、どうしてますか

連休明け、こんなことがありました。 会社の福利厚生の一環で、小学校や中学校などにこの4月から新しく入学した子どもがいる職員は、「修学祝い金」として、臨時の手当が受け取れる仕組みがあります。 その「修学祝い金」ですが、「申請」の手続きをしないと受け取れません。 で、申請の締め切りがGWの連休前、4/26だったのですが、私の所属する「事務部」の手続きがまだ終わっていないとのことで、何やらもめていたのです。 私の職場では、勉強会の案内や、会議の議事録、今回のような職員個人に手続きを求めるような案件があると「回覧」を使います。 A4の紙に、事務部に所属する職員の一覧があって、書面を受け取った(確認した)人は、サインとして確認した日付を書き次の人に渡す、という文字通りの「回覧」です。 で、その回覧文が、どこに行ったのか、どこで止まっているのかわからず、連休を経て、締め切り日から10日以上経ち、いまだに行方不明とのこと。 ちなみに、私もこの回覧文、目にしていません。 事務局から、「改めて回覧するので、今度は速やかに処理してください」と、回覧文を制作し直したとのことです。 まあ、こんなことが年に数回はあります。 完全に紛失してしまうことは1回あるかないかですが、「あの回覧、今どこに行っている?」みたいなことは、結構な頻度であります。「〇〇係で止まっているのでは…」、「〇〇室で見たんだけど、いつだったか…」なんて会話がよく聞こえてきます。 ここまで読んで、この「IT」の時代に、なんとも嘆かわしい…、と思われる方も多いと思います。 しかし、これが現実です。 特に医療機関の事務部門には、純粋な「事務」ではない職員も多く存在します。送迎バスの運転手、設備担当、サプライのデリバリ、清掃、警備担当、など、自分のデスクがない、専用のPCがない職員が多くいます。 だから、全員メールやグループウェアで処理、というわけにもいかないのです。 とはいえ、PCが与えられている職員だけでも、グループウェアで処理したら良いと、ずっと前から提案しているのですが、一向に変わる気配なし…です。 よその医療機関さんでは、どうしているのでしょうか…。

地方の中小病院にとって「10連休はちょっと…」

長いGWが明けて、多くの医療機関が今日から通常稼働していると思われます。 私はGW期間中、4/28に工事の立ち会いで1日だけ出勤したものの、その後8連となりました。そして今日からフルスロットルで働いております。 今年のGW、受け取り方は人それぞれだと思いますし、マクロで見たらなにか良い効果があるのかもしれませんが、私が見た病院の運営について言えば、あまり良いものではありませんでした。 病院は、外来は休診したとしても、入院患者さんがいるのでお休みするわけにはいきません。また、当院では透析患者さんも多いので、日曜以外は祝日でも透析室が稼働します。 つまり、多くの現場職員が働きます。 もちろん、現場が動けばバックヤードの職員もいろいろな仕事を担っているわけで、やはり休むことができません。 こうして、世間的には「休み」といっても、かなり「中途半端」な状態で稼働しているわけです。 そして、GW期間中に出勤した職員には、どこかで代休ととらなければなりません。 この先数週間、現場の長には、難しいやりくりが求められるのです。 「入院」はこの通りですが、外来はどうでしょうか。 救急患者の受入については、誰もが想像つくところでしょう。意外と困るのが定期受診の患者さんの通院サイクルが乱れることです。 当院のような規模の病院は、「急性期」の患者さんだけではありません。むしろ、病状は落ち着いていて定期的に受診される患者さん(「維持期」とか「慢性期」とか言います)の方が多いのです。 すると、いつもの通院サイクルでは、GW期間中に受診するはずだった患者を、その前後で調整しなければなりません。 言うまでもありませんが、翌週には翌週の、翌々週には翌々週の患者さんがいるわけです。外来のキャパシティは限られているので、かなりの無理をしなければなりません。 さらに、当院のような地方の中小病院では、「非常勤」の医師が担当する外来があります。限られた曜日にしかやっていない診療科だと、調整はさらに困難になります。 こうした状況は、毎年の年末年始も同じなのですが、さすがに10連休はちょっと…、となります。 他にも、薬剤や診療材料、給食用の食材も備蓄しなければなりません。 機器や設備がトラブったときの対応も考えなければなりません。 ここまで

サイボウズLive、終了です

これまで長らくお世話になってきたサイボウズLiveが今日で終了します。 本当に長い間お世話になりました。 日々の業務を記録することで、タスクが整理され、そしてなんと言っても、それがそのまま貴重なナレッジベースとして機能するのは、私にとって最適なタスク管理のプラットフォームでした。 また、他の医療機関の方々と運営していた研究会でもサイボウズLiveを使っており、なくてはならないコミュニケーションツールとなっていました。 こんなすぐれたサービスが「無料」で使い続けられるのは、やはり無理があるのでしょう。 広告で収入を上げるか、あるいは、有料サービスへの「入り口」として提供するのが、この手のサービスの常套手段だと思いますが、会社としての「サイボウズ」は、どんなビジネスモデルを描いていたのでしょうか。 広告をまったく表示していなかった(と思う)から、おそらく後者を想定していたのだと思います。 しかし、今回のサービス終了をきっかけに、同社の「Office10」や「Garoon」を試してみたのですが、少し違うというか、私がサイボウズLiveに求めていたものを達成することはできませんでした。 結局、私は別のサービスにタスク管理を移行することを決めました。 ヌーラボの Backlog です。 Backlogは、またの機会に紹介したいと思います。 さらば、サイボウズLive、今までありがとう…。

次期PACSベンダーさん選考中です

久しぶりの投稿です。 当院では、近くPACSの更新を控えておりまして、そのベンダー選定が山場を迎えており、なかなか忙しい日々を過ごしています。 PACSは、HIS系システムの中では、電子カルテに次ぐ「大物」です。 画像はもちろん、今時は動画も扱うので、システムが求めるスペックも高く、金額もさることながら、その使い勝手は、ある面では電子カルテよりもシビアかもしれません。 そして、ややこしいのが、関わる部署が多く、また、それぞれこだわる部分が違うところです。 関係者のこだわり これから書くのはあくまでも当院の話なので、ご了承ください。 まずは、読影医。直感的に操作できるか、過去の検査が素早く探せて、比較できるか。 今回、多くのベンダーさんのデモを拝見しているのですが、一番驚いたのが、スライス画像の「同期」。新旧2回の検査画像で、断層画像のスライスが自動的にピタリと合って、マウスのホイールを動かすと、2つの画像が同期して動くのです。 この辺は、使い勝手というか、「精度」の問題でしょうか。 次に臨床医。読影医ほど深くビューワを使い込むわけではないのですが、なんといってもキビキビどうすることが求められます。患者さんを目の前にして使うわけですから、とにかくスピード重視。 放射線部門や検査部門では、画像を見ることもさることながら、その前後の処理が業務の効率化に直結します。オーダー情報との連動や、検査一覧の見やすさや使いやすさが、求められます。 その他、当院は透析患者さんを多く抱える病院なので、心胸郭比の自動計測はとても重宝されます。計測する部署にとってはこの「自動計測」が必須なのですが、全てのベンダーさんがこの機能を達成しているわけではありません。 見積の条件を揃えるのは…ムリです この数ヶ月、各PACSベンダーさんの条件を合わせるのに、かなりの時間を費やしてきました。 基本的に、私がPACSベンダーさんに直接声をかけることはありません。私はあくまで中立です。 では、誰が声をかけるのかというと、前述の「関係者」です。医師であり、放射線部門であり、検査部門です。当然ですが、そのベンダーさんのシステムが使いたいから声をかけるわけで、自分が使いやすい構成で依頼し、一方で他部署に配慮しません。 そうして集まった見積は、構

「選べる制服」の不思議

前回の記事で制服の話を書いたのですが、もう一つ。 私はどうしても、制服が「選べる」というのが、馴染みません。 こと看護師に至っては、熾烈な獲得競争の中で、個人の好みに応じて制服を選択できることが一つのアピールポイントになっている…そうです。 たしかに、他院さんの看護師募集特設サイトなんかを見ていると、「看護師の制服は、全部で〇種類…」なんてコピーを見つけることができます。 そんな時代なんですかね…。 当院では、事務服も一部「選べる」んです。スカートやベストは統一されているのですが、ブラウスだけ白、青、ピンクから選べるのです。 まあいろいろな考えがあると思うのですが、私が思うに、「制服」とは、いわば「アイコン化」です。 医療機関で仕事をする上で必要な機能が備わっていることは大前提ですが、一目見て、この病院の職員であること、そして、ザックリと医療職なのか事務職なのかわかることが求められます。 ブラウスを替えてまで「個性」を出したいのか、いや、たかだかブラウスの色を変えてだせる「個性」って、どれほどのものなのか…、私にはよくわからないのです。 制服を管理をする職員も、ブラウスの色が複数あるおかげで、この人には、白が〇枚、青が〇枚、ピンクが〇枚、別の人には…と、気を使わなければなりません。 意味があって、変化をつけるならまだわかります。担当する業務が違うとか、役職によって違うとか。 まあ、前回の記事に書きましたが、多くの職員が集まって決めれば、それぞれ言いたいことを言います。意見がぶつかったところで、「ではブラウスだけでも選択制にしよう」となったのでしょう。 ブラウスくらいたいした問題ではないと言えばその通りですが…。 これまた前回の記事に書きましたが、やはり、制服の検討を現場に丸投げするのは、良いことではないように思います。

「制服の乱」がまた始まる

私が普段座っている席は、いくつかの事務部門が集積する部屋の中にあります。 ここに座っていると、病院の中にはじつにさまざまな仕事があることを感じます。 そんな中、「またあの季節が来るのか…」と思ったのが、「制服の更新」です。 当院では「更新=デザイン変更」です。 私が関わる仕事ではないのですが、そのドロドロとしたやりとりが、本当にたいへんそうで、見ているこっちがストレスになります。 (そもそも)デザインを変える必要があるのか 当院ではなんとなく数年ごとに制服を更新します。 リース契約が一段落するとか、いろいろ事情はあるのでしょうが、そもそもそこでデザインを変える必要があるのか、と思うのです。 メーカーさんの方で、廃盤になってしまうのは仕方ないとして、特に問題がなければ、デザインはそのままに追加調達すれば良いと思うんですけね。 しかも、面倒なプロセス(後述)を経て更新するわりに、その振り幅が小さい。 制服が変わることで、患者さんの気分が変わったり、話のネタになるならよいのですが、言われなければわからないほど。 いつ更新するのか 制服更新のタイミングは組織によって様々だと思います。 「創立〇周年」や「株式上場」など、大きなイベントで一新することもあるでしょう。 あるいは、経営のテクニックとして「職員被服費」が発生するタイミングをコントロールしたり、平準化することもあるでしょう。 当院では、なんとなく「慣習」で、数年ごとに更新します。 ただ、そのスパンが決まっていないので、色々なことがややこしくなる。 例えば長い期間を想定するなら、耐久性の高い仕様にするか、あるいは枚数を多めに支給するか。逆に、短いスパンで変えていくことを前提に、質、枚数ともに必要最低限にして、単価を下げるか。 それがハッキリしないから、職員はより「手厚い」支給内容を求めます。逆に、支給内容をケチれば不満が出ます。 まあ、あわよくば1年でも1ヶ月でも更新を先送りしたいとの考えから、あえて使用期間を明確にしていないのでしょうが、私には良い方法とは思えません。 デザインの「決め方」 そして制服の「デザイン」。 とにかくモメます。 会議が終わった後の参加者の愚痴が聞き苦しい。 な

「1医療機関あたりの新規患者数」という微妙な指標

メディアでもインフルエンザの流行が盛んに伝えられていますが、皆様の周辺ではいかがでしょうか。 当院でも、感染制御委員会の師長が躍起になって、マスク着用と面会制限の徹底を訴えています。 私が見ているデータでは、当院のインフルエンザ患者は1月末がピークだったと見ています。 今後またぶり返してくるかはわかりませんが、先週末くらいから落ち着き始めたように感じています。 さて、よくニュースなどでも耳にする、「1医療機関あたりのインフルエンザの患者数が…」という統計情報。なんか、これって微妙だと思いませんか。 全国的に見ればわずかかもしれませんが、医療機関の数は変動します。 ですから、「先週に比べて」という見方なら有効ですが、例えば「昨年の今の時期と比べて」という使い方には適さないように思います。 そもそも医療機関数で割る必要があるのかな…と。 「全国で〇人」とか、「〇〇地方で〇人」とかでは、ダメなんですかね。 あまり数字が大きいと、実感がわきにくい…とか。 「1医療機関あたりの…」って、いつから発表され始めたのかわからないのですが、昔からずっと違和感を感じているのは私だけでしょうか。 さて、毎年コンスタント(?)にインフルエンザに罹患する私ですが、今シーズンはなんとかここまで無事に来ております。 このまま逃げ切ることができるか…。

病院パンフレットの増刷校正に追われています

現在、来年度の病院のシステム更新に向けて、計画立案に忙しく…といきたいところなのですが、予定にない突発的な仕事は遠慮なくやってくるものです。 今取り組んでいるのが、病院パンフレットの増刷。 パンフレットの用途 当院のような中小病院でも、パンフレットはそこそこお金をかけています。 中が10ページ、それに表と裏の表紙がつきます。 Web全盛の時代とは言え、 対面時、話のきっかけになる。 手元に残る、なにかのきっかけでまた目にする 第三者が手にする可能性がある という紙媒体ならではのメリットは今も健在です。 いつも書いていますが、郊外の中小病院ということで、人材採用は常に悩みの種です。 少しでも、可能性が高められるなら、ということでパンフットやWebサイトには、「多少お金を使っても…」という考えです。 あとは、近隣や関係のある医療機関や施設にも配ったりします。 患者さんにお渡しすることはめったにないので、内容も「そういう」作り方をしています。 診療のことよりも、病院の規模や構成などがわかるような内容になっています。 使用量 現在のパンフレットを制作したのが2015年。その年の末頃に1,000部が刷り上がりました。 現在2019年が始まったばかりなので、3年で1,000部を使ったことになります。 当初の計画では、2年程度でリニューアルするつもりでいたのですが、職員に「節約」が染みついているのでしょう、3年もってしまいました。 「人材採用に寄与すること」を目的に制作しているので、使わないことは「良いこと」ではないのですが、これが中小病院の職員の気質なのでしょうか。 どうした総務課? 2019年、年が明けて間もなく、総務課の担当者が、なにやら事務長に相談しています。 直後、事務長に呼ばれて「もうパンフレットの在庫がないので、急いで増刷したいんだけど」と。 「…いやいや、いきなり私に言われても」とは心の声。 パンフレットに関する担当はそれぞれ以下の通り。 企画制作:経営企画室 配布・在庫管理:総務課 2015年当時、パンフレットの企画制作は経営企画室…というか私の方で担当しました。 ただし、私の仕事はそこまで。 その後の配布や在庫管理、つまり「運用」は総務課の

新元号の発表は4月1日

明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。 さて、昨晩のニュースでのこと。 安倍首相の会見で、新元号の発表が4月1日と発表されました。 報道では「システム改修の影響を考慮し…」とのことだが、5月1日が新元号のはじまりだとすると、その間1ヶ月。 システムに携わる人なら、「短い」の一言でしょうが、世間の認識はこんなものなのでしょうか…。 新元号は4月1日発表、現役SEは怒り「現場の負担、なぜ考慮しない」(BussDeedNews 2019/1/4) 私などは、「早く発表してあげれば良いのに。困る人なんているのかね?」と思ってしまいますが、世の中にはこんなご意見もあるそうです。 新元号、早期公表に反対した保守派「今の陛下に失礼」(朝日新聞DIGITAL 209/4/1) うーん、平成になったときは突然だったから、事前に発表されただけでもありがたいとするべきか…。 システムのことだけ考えると、本当にこの「和暦」というものはやっかいです。 医療機関でも、かなり「西暦」への移行が進んでおりますが、どうしても外せないのが「誕生日」です。 患者さんの「取り違え」防止策の一つで 「患者さん自身に誕生日を言ってもらう」が定着しています。年配の患者さんに「誕生日を西暦で」と求めるのは、想像しにくいです。 まあ、しばらくは「和暦」を完全になくすことはできないのでしょう。 今年は、消費税率の変更もあります。 いろいろと外部要因でシステムの改修費用がかかりそうな年ですが、なんとか乗り切っていきたいと思います。