仮想サーバーをやめた理由② 時間がなかった
前回に引き続き、部門システムの仮想サーバーかを断念した理由を書きます。
前回の記事では、物理構成に比べて仮想構成の方が高額になってしまったことを書きました。
もう一つ、決定的な理由が「間に合わなかった」ということです。
前回の記事では、物理構成に比べて仮想構成の方が高額になってしまったことを書きました。
もう一つ、決定的な理由が「間に合わなかった」ということです。
スタートが遅かった
ブログタイトルの通り、私自身は「経営企画室」の人間で、システム部門は別にあります。なので、「当院のシステムをどうやって構築するか」は、本来私の仕事ではありません。
しかし、各部署がバラバラに動いては、「仮想化」なんて発想が出てくることもなく、かといって当のシステム部門が動くでもなく…。
刻々と既存システムの「保守満了」が近づいていることに危機感を覚えた私は、何度となく関係者に「仮想化とは」を説明しました。
経営企画室が所属する事務部の長である事務長に、そして、なぜか「本職」であるはずのシステム部門の職員に、仮想化のメリットデメリットを何度なく説明しました。
ようやく、事務部門が説得できて、いざ院長・副院長にプレゼン、許可を得られたのは、既存システムの保守満了の1年前でした。
仮想サーバーのサイジング
「1年」というと、十分な時間と思われるかもしれません。
旧来の物理構成のシステムであれば十分でしょう。
しかし、仮想サーバーになると、適切なスペックのサーバーを設計(サイジング)するための時間が必要です。
容量や処理能力が、「足りない」のは論外、だからといって最初から過剰なスペックで設計すれば、なんのための仮想化かわかりません。
ということで、仮想サーバーに「のせる」各システムの必要スペックを計算するのですが、この作業がまったくはかどりませんでした。
先にも書いたとおり、システムを預かる各部署は、「1年」というと、「かなり先のこと」という感覚で、全然話が進まないのです。
PACSのデータ移行
サイジングの作業に手間取っている中、数ある部門システムで中で最大のリソースを要する「PACS」の更新のタイムリミットが迫ってきます。
PACSは、DICOMデータの移行に数ヶ月かかるので、他のシステムに対して、最低でも3ヶ月は前倒しになります。
つまり、PACSが仮想サーバー導入のタイムリミットを決めるわけです。
ザックリですが、「構築作業」だけでも、
- 仮想サーバーの手配に1ヶ月
- 仮想サーバーの構築に1ヶ月
- PACSの構築に1ヶ月
- PACSのデータ移行に3ヶ月
この通り、6ヶ月程度必要になります。
当然ですが、これらの作業は各部門システムの選定が終わり、仮想サーバーのインテグレータが決まりっていなければなりません。
当然ですが、これらの作業は各部門システムの選定が終わり、仮想サーバーのインテグレータが決まりっていなければなりません。
ですから、更新期限の1年前に、「じゃあ、仮想サーバーとやらを検討しても良いよ」と言われても、最初の半年で、各部署の次期システムの導入計画をまとめなければならないのです。
周辺事情
院内の問題だけではありません。
お声かけした仮想サーバーのインテグレーターさん、各社とも、折からの人手不足でなかなか設計・見積を提示いただけませんでした。
おそらく、タイミング的に消費増税前の駆け込みで、オファーも殺到しているのでしょう。
経験不足
そして、トドメはこれですな。なにせ「初めて」なので、経験も何もありません。
何から手をつけたら良いのか、インテグレーターさんがしゃべっている「用語」も調べながらの、これぞ「手探り」。
病院の根幹を担う仕事だけに、失敗は許されないというプレッシャーから、少しでも気になることは徹底的に調べなければ…と。
インテグレーターさんの反応が悪いのには、私が「無知」で、「手取り足取り教えていたのでは、工数が合わない」というのもあったのでしょう。
そんなわけで、PACSのベンダーが決まるころには、「仮想サーバーを構築しているヒマはない」ということで、まずは、PACSを物理構成で導入することになったのです。
最大の部門システムであるPCASが仮想構成にならない以上、これに続く他の部門システムも今後同じく、物理構成で更新していくことになります。
交流のある大学病院さんで、「システム更新が終わった翌日から、次のシステムの検討に入る」という話を聞いたことがあります。
その時は「いくら何でも大げさな」と思っていましたが、長期で計画を立てていくことが必要だと痛感しました。
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