大風15号備忘録:取材対応

ここのところ、台風15号の被害について書いておりますが、現在、台風19号が迫っているということで、病院の中はまた慌ただしくなってきています。

今日の記事でご案内するのは、当時の取材対応についてです。

台風被害初日の9月9日(月)からTV局、新聞社から取材の電話が入りました。

当院では、上層部が、「取材は一切お断り」という方針でした。
まあ、院内が混乱しているのに、取材に対応しているひまなどない、ということなのですが、私は考えは少し違いました。

こういった機会でも、病院の名前が世に出ることは、認知度の向上に寄与するので、積極的に対応するべきだと思っています。

それは、ただ「有名になりたい」という単純なものではなく、いくつか理由があります。

中小病院もたいへんです

ブログのタイトルにあるとおり、当院はいわゆる「大病院」ではありません。

国は、地域の大病院を「災害拠点病院」として、補助金を出し「備え」を促しています。DMATやEMISの仕組みは、言ってみれば「備え」のある医療機関を効率的に利用できる仕組みなのだと思います。

たしかに、中小病院や診療所にまで災害対策の投資をしていたら、キリがないし非効率です。

しかし、患者さんを移すことは簡単ではありません。

特に当院では、入院患者さんに加え、多くお透析患者さんを抱えています。

一日おきの透析が必要な患者さんにとっては、透析はまさにライフラインであり、「他に行ってください」と簡単に言えるものではありません。

平時でも「旅行透析」など、普段は他院で透析している患者さんが、一時的に別の施設で透析することはあります。その時は、あらかじめわかっていて、しっかりと準備をするから良いのですが、突然受け入れるとなるとそうはいきません。

何よりたいへんなのは患者さん本人です。

別の施設で行うとなれば不安にもなるでしょうし、施設までの交通手段だって確保しなければなりません。

だからこそ、苦しい中でもできる限りの対応をさせていただきます。

職員もたいへんです

そんな思いがあるからこそ、被災した職員がなんとか病院に出てきて、患者さんの対応にあたっているわけですが、そんなことがメディアを通して少しでも伝われば良いなと思うのです。

第三者から、「テレビで見た〇〇病院って、あなたが働いている病院だよね。たいへんだったね」と声をかけられたら、少しでも報われるのではないかと、そんなことを思っていました。



ここに書いたことは、私の個人的な思いです。
「ムリ」をすることが事故に繋がると思えば、他院に紹介した方が患者さんのためかもしれませんしね。

さて、冒頭に書いたとおり「取材には対応しない」の方針が出ていたのですが、私の判断で、電話取材には極力対応させてもらっていました。

電力や給水が全て復旧し、通常診療に戻ったころに、事務長が「やっぱり、取材は受けた方が良かったかもね…」と言っていたので、「次はぜひ!」と答えておきました。
「次」はない方が良いですが…。


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