「制服の乱」がまた始まる

私が普段座っている席は、いくつかの事務部門が集積する部屋の中にあります。
ここに座っていると、病院の中にはじつにさまざまな仕事があることを感じます。

そんな中、「またあの季節が来るのか…」と思ったのが、「制服の更新」です。
当院では「更新=デザイン変更」です。

私が関わる仕事ではないのですが、そのドロドロとしたやりとりが、本当にたいへんそうで、見ているこっちがストレスになります。



(そもそも)デザインを変える必要があるのか


当院ではなんとなく数年ごとに制服を更新します。
リース契約が一段落するとか、いろいろ事情はあるのでしょうが、そもそもそこでデザインを変える必要があるのか、と思うのです。

メーカーさんの方で、廃盤になってしまうのは仕方ないとして、特に問題がなければ、デザインはそのままに追加調達すれば良いと思うんですけね。

しかも、面倒なプロセス(後述)を経て更新するわりに、その振り幅が小さい。

制服が変わることで、患者さんの気分が変わったり、話のネタになるならよいのですが、言われなければわからないほど。


いつ更新するのか


制服更新のタイミングは組織によって様々だと思います。

「創立〇周年」や「株式上場」など、大きなイベントで一新することもあるでしょう。
あるいは、経営のテクニックとして「職員被服費」が発生するタイミングをコントロールしたり、平準化することもあるでしょう。

当院では、なんとなく「慣習」で、数年ごとに更新します。
ただ、そのスパンが決まっていないので、色々なことがややこしくなる。

例えば長い期間を想定するなら、耐久性の高い仕様にするか、あるいは枚数を多めに支給するか。逆に、短いスパンで変えていくことを前提に、質、枚数ともに必要最低限にして、単価を下げるか。

それがハッキリしないから、職員はより「手厚い」支給内容を求めます。逆に、支給内容をケチれば不満が出ます。

まあ、あわよくば1年でも1ヶ月でも更新を先送りしたいとの考えから、あえて使用期間を明確にしていないのでしょうが、私には良い方法とは思えません。

デザインの「決め方」


そして制服の「デザイン」。
とにかくモメます。
会議が終わった後の参加者の愚痴が聞き苦しい。

なぜそんなにもめるかというと、私が思うに「任せすぎ」ではないかと。

「実際に着用する職員が決めれば良い」とは、良く言えば「権限委譲」、悪く言えば「責任放棄」です。

事務局になる総務課には、さまざまな意見が押し寄せます。

女性が着用するものですから、みなさんそれなりに「こだわり」があります。
しかし、最近入ってきた職員もいれば、管理職になっている職員もいます。数で多いのは若い職員、一方、影響力があるのは年配の職員という、もう見るに堪えない衝突があるわけです。

そうしてやっと折り合いをつけたデザインを上申すると、あっさり却下されたり…。

職員自ら決めさせることに、いくつかの「効果」があることも理解できます。
  • 制服を大切に扱う
  • 帰属意識を高める
  • 検討のプロセスが部署間交流を促す
  • 職員の企画スキルを高める
などの効果が期待できます。

しかし、私は、「制服とは企業が自らのアイデンティティーを示す重要なツール」と考えています。
ですから、トップダウンで決めても良いくらいだと思っています。
トップダウンに抵抗があるなら、せめて大まかな方針だけでも出してあげたらどうかと思うのです。

例えば病院のキャラクターとして、ラグジュアリーな接遇を目指しているのか、あるいは敷居の低いカジュアルな医療機関になりたいのか、それは現場レベルで決められることでもなく、経営層が誘導するべきだと思います。

以前私が在席していた医療機関では、専属のデザイナーがいて、院長とそのデザイナーが綿密な打ち合わせをして決めていました。

まあ、デザイナーの起用までは望めないとしても、経営層が少し関わってあげたら、あのドロドロとした「制服の更新」が変わると思うのですが。

そして、「制服の乱」がまた始まる…。

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