スキャナ取り込みは魔法の杖ではない

電子カルテの導入を検討する上で、必ず問題になるのが、検査データの取り込みです。

医療を行う上で、CTやMRIなどの画像から、血液検査の数値まで、さまざまな検査データが必要になります。
これらは、フィルムであったり、スーパーのレシートみたいな紙であったり、様々な媒体で管理されています。
そして、大きなレントゲンフィルムや、長い紙に波形を記録する心電図などを除き、そのほとんどはカルテと一緒にファイリングされています。

紙カルテがなくなると、これらの検査結果をどうやって保管するかが問題になります。

検体検査はデータ化が容易なものが多く、電子カルテに直接保存できます。
画像データについては、PACSが任せることになります。

問題は、病理検査など検査委託会社から数値ではなく「レポート」として受け取るものです。

こういった問題になると、解決策として必ず出てくるのが「スキャナで取り込む」という方法です。
「この検査機器はデータで取り込めるの?」
「いまウチにある装置では接続できないです」
「この際だから買い換えるか、いくらくらいになるの?」
「だいたい○○千万円くらいになりますが…」
「えっ、そんなに…、とりあえず今の機器からでてきた結果をスキャナで取り込んでおくか」
と、こんな感じに。


たしかに、スキャナ取り込みは手っ取り早くて良いのですが、手にとってみることを前提にした紙を、そのままディスプレイで見るのは限界があります。
それに、医師が検査データを探すときに、「検査データ」の中から探すのではなく、「取り込み文書」の中から探すのは、なにより直感的ではありません。

最近では、こういった電子カルテが及ばない部分を補うために、富士フィルムメディカルの診療支援総合システム「Yahgee」なんてものも出ています。とても魅力的な製品なのですが、それなりに高価で…。

とにかく、安易にスキャナ取り込みに走るのではなく、部分的に紙の運用を残すことも含めて、よく考えなければなりません。

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