他施設からのCD-ROMをPACSに取り込むか

ヘェ~、と思うことがあったので記事にしておきます。

今や、施設間でのレントゲン画像の受け渡しは、ほとんどCD-ROMという時代になりました。
昔は、とても普通のバッグに収らないほどの大きな封筒に入れてフィルムを持ち運んだものですが、すっかり便利な時代になりました。

医療の業界以外の方にはなじみがないと思いますが、DICOM(ダイコムと読みます)という規格が広く普及していて、画像の共有に関してはかなり標準化が進んでいます。

先ほど「受け渡しはCD-ROM」と書きましたが、これを病院のPACS(パックスと読みます)という、画像専用のサーバーに読み込んで閲覧するか、あるいはCD-ROMをそのまま見るか、医療機関によって方針がわかれるようです。

「そのまま見る」とは、CD-ROMからビューワーを起動して見ることを意味します。CD-ROMを作るとき、相手がPACSがない環境でも画像が見られるよう、ビューワーのソフトを入れて作成します。診療所などではPACSを導入していないところも少なくないので、普通はこのようにします。
受け取った施設では、CD-ROMからソフトを起動して、画像を見ることができます。もちろん、PACSを導入している施設では、画像を取り込んで設置されているPACSのビューワーで見ることもできます。

さて、システム管理者の立場では、PACSに取り込んで見たほうが良いと思います。
メリットは、

  • 一旦取り込んでしまえば、どこの端末からでも見られる。
  • CD-ROMを返却あるいは、処分してしまっても良い。
  • ビューワーソフトを起動するのに時間がかかる。
  • 使い慣れたインターフェースで操作できる。

一方、デメリットもあります。

  • 診察室に入ってから患者様がCD-ROMを差し出すと、取り込みむのに時間がかかる。
  • 大規模な医療機関では、件数が多くなりそれだけでも結構な作業量になる。
  • 共通規格とはいえ、たまに取り込めないCD-ROMがある。

など、主に業務フローの部分で調整が必要です。


この他、「CD-ROMがウィルス感染している可能性がある」という意見もありますが、どちらの方法でも感染する確率は同じなのでここでは無視します。


そんな折、PACSメーカーのシステム担当者と話す機会があり、話を聞いて驚きました。
なんでも、訴訟リスク回避のためにPACS取り込みをあえて「しない」施設もあるのだと。

PACSに取り込むことによって、その医療機関で撮影したものと判断され、「見落とし」の対象になることがあるというのです。
某有名大学病院では、PACSにとり込むものの、あえてサーバーを別分けているのだそうです。

これには「その画像が当院で撮影したものか、他院で撮影したものかくらい簡単に立証できるのでは?」と聞き返しました。
すると、「たとえ立証できるとしてもそれなりに時間がかかり、件数が多くなる大きな病院で負担になる。結局、誰が見てもはっきりしている方が望ましい」のだとか…。
「この画像は違うサーバーから参照している」と言われたほうが、かえって混乱を招くような気もしますが…。

当院では、私が入職してから幸いそういうトラブルも聞いたことがないのですが、そういう世界で仕事をしているということを改めて感じた1日でした。

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