透析室で電子ペーパーの活用

電子カルテベンダーさんのユーザー会でお見かけした、電子ペーパーの活用事例のことを書きます。

透析室の運用の中枢を担うのが、「透析支援システム」です。

「透析支援システム」はその名の通り、透析室の各ベッドで行われる血液透析を管理するもので、本来はコンソール(と呼ばれるベッドサイドにある血液を循環する装置)とは別物なのですが、切り離して考えるのはなかなか難しいのです。

透析支援システムのベンダーロックインと当院の事情


というのも、支援システムとコンソールの間はベンダーごとのプロトコルで通信されるからです。

一応、業界には「標準」のプロトコルもあるのですが、各ベンダーはこれを拡張し、寄り細かな管理ができるようにしているので、透析室の運用方法にもよりますが、少なくても当院では「標準プロトコル」は使い物にならないのです。

つまり、「コンソールがA社なら、支援システムもA社」というように、いわゆる「ベンダーロックイン」が形成されてしまいます。

当院では、透析室が複数あるのですが、〇〇透析室はA社、✕✕透析室はB社と、複数のベンダーが入っており、電子カルテと接続がややこしくなっています。

また、透析室によって操作方法が異なることで、看護師が「異動」ができなくなっています。

そんなわけで、透析支援システムのベンダー統合は重要な課題であり、次のシステム更新では、ぜひとも成し遂げたい課題の一つです。

電子ペーパー活用でベンダーロックインを回避


話はユーザー会に戻ります。

演題発表された病院を仮にK病院とします。

K病院さんでは、それまで使用してきた透析機器ベンダー製純正の支援システムを改め、電子カルテベンダーの支援システムに移行したとのこと。

なぜ、透析機器ベンダー製をやめてカルテベンダー製にしたのか、その点は語られていなかったのですが、思い当たるところはいくつかあります。

コスト削減効果もありますが、電子カルテシステムとの親和性の問題化と推測しています。

さて、透析機器ベンダー純正の支援システムではなくなることにより、コンソールとの間でやりとりできる情報が「標準プロトコル」に限定されます。

これによって使い勝手が損なわれる要素はいくつかあるのですが、その一つが「情報の表示」です。

そこで、K病院さんでは、電子ペーパーを利用して、各ベッドサイドに、患者さんの情報や、透析の情報を表示することに成功したのです。


5年越し


事前に公開されていた抄録を読んで、「そういえば過去にも電子ペーパーを使った演題発表があったな~」と思っていました。

そして本番当日、演題発表の中で、演者の方が、過去の演題を聞いて今回の取り組みにつながったことをお話ししていました。

帰って調べてみると、その「過去の演題」は2013年、少し大げさですが、じつに5年越しの「情報共有」というわけです。

この5年の間、お互い情報交換や技術協力などはしていないでしょうが、2013年の発表からインスピレーションを受けたことは事実のようです。

5年前に先駆者として新しい技術の取り込みに尽力された担当者様、5年後にそれを昇華させて新しい別のフィールドで取り込んだ担当者様、そう考えると、なんかジーンと来るものがありました。

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