顔認証を医療現場で使えないか

先日、テレビ東京の経済ニュース、「ワールドビジネスサテライト」を見ていたら、「顔認証」をはじめとする、生体認証の特集がありました。

特集では、ある会社の社員食堂で、食事代金を顔認証でカウントし、その後給与から天引きするという試みが放送されました。

なんでも、技術はNECさんのもので、すでにスポーツなどのイベントで使われているとのこと。
NECの顔認証技術(NECWebサイトより)
放送では、文字通りあっという間に認証する様子が映し出されました。


このニュースを見て思ったのが、今日のタイトル、「医療現場で使えないか」と。

ここのところあまり報道されませんが、患者や検体の「取り違え」が大きなニュースになったことがありました。

医療機関は、「安全対策」として、あの手この手でこの、「取り違え」を防ごうと必死です。


以前、安全対策の会議に出席した時のこと、患者取り違えのインシデントが報告されました。

外来の検査室からの報告でした。

入院では、多くの医療機関が患者さまの手首や足首にバーコードをつけてもらうことで、いわゆる「3点認証」があたりまえになっています。

一方、外来では診察券と、患者さま本人に対する氏名・生年月日の確認などで、対応していることが多いのではないでしょうか。


当院でも、診察や注射、検査の際には、必ず患者さまの氏名と生年月日を確認してから実施しています。


さて、話は安全対策の会議に戻ります。

「患者取り違え」のインシデントを報告さて、出席者の間でいろいろな意見や情報が交換されました。

その中で気になったことが…、ある職員から、氏名と生年月日の確認に、思わぬ落とし穴があるとの指摘。


【言わせるな!】

患者さまの氏名と生年月日を、職員からしゃべってしまうと、耳の遠い方や、認知症の方などは、違っていたとしてもうなずいてしまうことがあります。

このように、流されて『はい』と言ってしまうことを避けるために、患者さまの情報は、患者さまご自身に言っていただきます。

すると、患者さまの中に気分を害される方がいるというのです。

「人に名前を聞くなら、まず自分から名乗れ!」とは、どこかで聞いたことがあるセリフですが、まさか…。

先ほども書きましたが、「患者取り違え」がニュースでも大きく取り上げられ、我々医療業界に身を置くものだけでなく、一般市民にもその重要性が認識されているものと思っていましたが、どういうことなのでしょう。

現場で働いている看護師や検査技師に言わせると、長く通院している患者さまは、ほとんど「顔見知り」になってしまうので、杓子定規な確認作業をいやがる方がいらっしゃるとのことなのです。

特に透析で通院されている患者さまは、血液透析だけで1日おきに当院に訪れます。検査も定期的に行うため、患者さまも職員も、お互いに顔と名前を覚えてしまうことが多いそうです。

そして、透析患者さまは通院歴も長く、多くの職員にとって、「自分が入職する前から、『いる』」のです。

単なる煩わしさだけでなく、こういった背景もあって、「おまえ、俺のこともわからんのか!」というお気持ちになるのかもしれません。

すると、職員の方も、そういう患者さまには恐る恐る、躊躇しながら本人確認をしているのだそうです。

精神的な負担は察するものがあります。

それでも、確認してくれれば良いのですが、中には怠ってしまうことがあるとのことでした。


そこで、「顔認証」の話。

例えば採血室などであれば、ある程度患者さまの位置が固定されるので、カメラとモニタをセットとして、採血台の前に座っていただくと、患者さまの情報がモニタに出る、としたら…。

さらに、感染症の有無や、禁忌情報など、採血の際に気をつけるべき情報が表示できたら、もう一歩進んだ安全対策につなげられるのはないかと。

そんな思いでこのニュースを見ていました…。

ホスピタルショーなんかにありそうですけどね。



コメント

  1. 顔認証を医療系システムに適応する試みは2~3年くらい前からよく耳にします
    特にNECは自前の電カルに組み込んだ実績があるので、システムの更新時期に良く営業に来るみたいですよ

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    返信
    1. やはり、すでに実用化されていたんですね。
      今度、当院の電子カルテはNECではないのですが、時々営業の方が来られるので、話を聞いてみようと思います。
      一番気になるのは、もちろん「費用」。
      情報のご提供、ありがとうございました。

      削除

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