当院でも聞こえ始めた「働き方改革」のコトバ

少し前のことになるのですが、当院に労働基準監督署の職員が訪れました。
人事部門の職員がドタバタと対応していました。

それから数ヶ月が経過し、いろいろな会議で人事部門から「働き方改革」として、各部署で残業を減らすように呼びかけが始まりました。

「各部署とも、残業時間を〇〇時間内にするように、ご協力お願いします」
「労基署から強く言われていますので、ぜひ」
と。

どうも、労基署から、特定の部門で残業が常態化していることが問題視され、なにか対策しないとマズい、となったらしいのです。

「働き方改革」という言葉にモヤモヤ

ワタクシ、この「働き方改革」という言葉が、どうも腑に落ちません。

短時間で、あるいは都合の良い時間に働いて、同じ利益があげらるなら、最初からそうしているはず。
どうも、単に政治家に利用されているだけのような気がするのですが…。

世の中には、少しの給料でよいので一定の時間で帰りたい人や、バンバン働いてその分稼ぎたい人、いろいろな人がいるはずです。それを単に残業時間というものさしで、規程内に納まっていたらOKで、はみ出していたらNGというのは、なんか腑に落ちません。

バブルの時代に就職した世代だから、そのへんの感覚が少しおかしいのかもしれませんが…。

労働時間が「長い=不幸」、「短い=幸福」なのでしょうか。

たしかに、精神を病んだり、自殺者が出ていることは、放置できない問題ですが、それが残業時間の問題なのかと…。

それを語るなら、時代遅れの労働関係法規を見直す必要があるのでは。

一つの会社に長く勤めること、社会保障の一端を会社が担うこと、適齢期に結婚し女性が家庭に入ること、など、多くの想定が時代にそぐわなくなっています。

自虐ネタですが、医療機関の事務員なんて、残業代を得ることが前提の給与設定ですからね。

で、具体的な方法は?


まあ、政治の話はこのブログの求めるところではないので、当院の話に戻ります。

お題は、「残業時間の削減」をどうやって達成するかです。

医療は労働集約型の産業なので、労働時間が減れば、それは収入に影響します。

つまり、収入が減っても良い、と腹をくくることができれば、残業をするほどの仕事を抱え込まなくても良い、という論法です。

しかし、これがムリなことは誰も承知しています。医療という業種には、社会的な責任があり、働いている職員の多くは、患者のためなら労を惜しみません。
なにより、収入の減少は「経営」を困難にさせます。残業代=費用と、収入のの下がり方が連動すれば理論上は成立しますが、病院経営とはそう簡単なものではありません。

では、収入を減らさず労働時間を減らす方法というわけですが、私が思うのは2つです。

一つは人数を増やすこと、もう一つは仕事のプロセスを変えることです。

どちらもお金がかかります。

もし、仕事が単純な「作業」であれば、人を増やせば時間内に仕事を終えるかもしれません。
ただし、職員を増やすというのは、医療の業界に限らず、企業が最も「嫌がる」ことです。
「外注」という方法もあります。職員として採用してしまうよりは、調整しやすいので、こちらの方が現実的かもしれません。

一方、仕事のプロセスを変えるのはどうでしょうか。
こちらも、だいたいお金がかかります。

今まで手作業でやっていたことを、機械やITでこなすなら、ハードウェアやソフトのお金がかかります。

言うまでもありませんが、「収入を減らす」は論外、「人数を増やす」はハードルが高い、そして、スジの良いのは、この「業務プロセスを変える」です。



しかし、何でも人力でこなすカルチャーの当院で、はたして何人の職員がこのように考えるでしょうか。
  • 収入を減らす
  • 人員を増やす
  • 業務プロセスを変える
さあ、これから当院でどんな変化が起きるのでしょうか。

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