書評:トヨタの片づけ、思わぬ気づきがありました

システム管理者なんて仕事をしていると、机が資料で埋もれている…なんて人は多いのではないでしょうか。
当院に出入りしているIT関係や、オフィス機器の会社の方に聞くと、「今どき会社がセキュリティにうるさくて、机の上に物を出して帰れない」なんて話も聞きますが、このブログを読んでくださっている方はいかがでしょうか。

自分で言うのもなんですが、私は比較的整理できていいる方だと自負しています。20年前に、野口悠紀雄先生の「超整理法」を読んでから、ずっと実践していて、私の仕事のスタイルの一部になっています。最近はITの進化により、スキャナとフリーワード検索を組み合わせ、より検索機能が強化されたと思っています。

問題は、私の部下です。私の部署は他に3人の独身男がいて、なんともむさ苦しいメンバー(私含む)なのですが、私以外の3人がともに片づけベタときています。
何度か言っているのですが全く効果がなく、モノを整理することの具体的なメリットと、それを怠った場合のデメリットを実感することがないのではないかと分析しています。

それならば、整理整頓のルールを私が決めて、「ルールに従ってくれ」ということに決めたのです。

どうせやるならと思い、すこし整理歩法について勉強しようと思い、何冊か本を買い込んだのですが、その中で、この「トヨタの片づけ」は、目的とは違った発見がありました。

書は、まさしく「整理を極める」というか、そこまで徹底してやるか、というトヨタの考え方が紹介されています。
具体的な書類を取り上げて事例紹介してくれるともっとわかりやすいかな~、とも思いましたが、純粋なものづくりの現場の話と、我々職場は少し違うから仕方ないのかもしれません。

さて、私が強く印象に残っているのは、
線を1本、引きなさい…p.156
という クダリです。
ここで「線を引く」というのはきっかけづくりのことです。「これを整理しなさい」と命じた時に、「何から手を付ければよいのかわからない」という状況になることがあるそうです。そこで、指導者の方が、まず1本の線を引いて「仮の基準」をつくれば、行動に移しやすくなり、正常・異常がわかるようになり、気づきやすくなるのだそうです。

「スリッパを整理しましょう」と張り紙をするより、床に線を引く事のほうが効果的という事例が紹介されていました。

この文を読んで思ったのが、自分の抱えているプロジェクトのことです。例えば、グループウェアの乗り換え、ネットワークの保守委託先の選定、Webサイトの刷新、など、病院全体に影響するような大型の案件では、本当にどこから手を付ければいいのか困るものです。

どうもいろいろなことを考えてしまう性格で、完璧主義といえば聞こえはいいのですが、それゆえになかなか決められないことがあります。

とりあえず、デモを行ってみるとか、ドラフト版で評価してもらうとか、完成品をリリースすることよりも、とりあえず使ってもらって反応を見る、というのも、案外新しい発見があったりして良いのかも…、と思いました。

部下の整理整頓が目的で読んだ本ですが、思わぬ収穫でした。

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