IT業界から医療機関のシステム部門への転職について(1/2)

先日、ブログにコメントをいただきました。
はじめまして。私はとある業界の企業にて顧客データ分析をしています。
DBシステムから、SQL、ExcelVBAを使用し、データ分析、レポート作成をしていますがワンマン企業ということもあり、また自分の説得力がないこともあり限界を感じ退職することを考えています。
ひょんなことから、病院のシステム関係に興味が出てきて病院のシステム部への転職を考えています。(病院関係のシステム、データ分析に強い興味があります)
病院のシステム部、病院企画経営部への転職にて必要なスキルをぜひ教えていただきたいです!

コメントをいただいた方は、医療機関のシステム部門、あるいは経営企画部門への転職をお考えとのことで、「必要になるスキル」というご質問です。

今回は、この方(以下、「質問者」とします)の質問に答える形で、医療機関のシステム部門への転職について書きたいと思います。
なお、いただいた質問には、システム部門だけでなく、経営企画部門についてもふれられていますが、企画部門は病院によって役割が大きく違い、これだけで大量の記事になるので、またの機会にしたいと思います。


給料、安いです

まずは、「転職するには」の前に、その転職が質問者にとって本当に良いものかどうか、そこから書いてもいいでしょうか。

質問者のコメント「DBシステムから、SQL、ExcelVBAを使用し、データ分析、レポート作成をしていますが」から、現在、プログラマやSEとして活躍されているのだとお察しします。
この方が現在「SE」としてのお給料をもらっているならば、医療機関に転職は、かなり収入レベルが下がるのだろう思います。

このブログでたびたび書いていますが、医療機関のシステム部門の職員は「事務員」にカテゴリされます。
大学病院や地域の中核病院、あるいはグループでやっている医療法人の本部組織などでは、SEとして採用されているという話を聞きますが、中規模以下のクラスの病院では、1人の事務員として採用されます。

医事課や総務部門の事務員と同じ給与体系です。

実際に、事務系職員の中で「パソコンに詳しいから」言われてシステム管理者になった(させられた?)、という人も少なくないと思います。

その一方で、IT人材の人件費が高騰しているという話題を、テレビやネットでよく目にします。

実際、取引のあるベンダーさんと話していると、ちょっとしたシステム変更で、とんでもな見積書をいただくことがあります。ベンダー担当社:「これ、SEの人件費なんで、これ以上安くすると会社が…」なんて言われると、「やっぱり、本当の(?)SEって儲かるのかな~」なんて、うらやましく思ったりします。


ただ、IT業界と違って、さほどハードではないと思います。
私の勝手なイメージなのかもしれませんが、
電子カルテをはじめ多くのシステムベンダーさん、医療機器メーカーさんと仕事をしていると、皆さんハードな仕事っぷりに驚かされることがあります。


仕事の内容

さて、システム部門といっても、医療機関によって求められる仕事は様々です。

例えば、「定型/非定型」という切り口で見てみましょう。
メンテナンスや修理業務の仕事、また、システムの開発元が発行する修正パッチをあてたり、定期的に帳票出力やデータ加工をする仕事、これら定型化された仕事に対して、システムの導入・リプレイスや運用変更、データの分析など、企画仕事を求められることもあるでしょう。

あるいは、他部署やベンダーさんとの関わり方によっても、求められる仕事は違ってきます。
マスタのメンテナンスは、システム部門で全てやるところもあれば、担当部署に任せている病院もあります。もちろん、システム部門でやるとなれば、保険点数の知識から、現場の業務にまで勉強しなければならい課題は山積みです。
また、特に保守業務では、全て自前でやるのか、保守業者さんにどこまでアウトソースできるのかで、システム部門の負担はまったく異なります。


医療に限らず、会社から求められることと、本人のやりたいことがマッチし、そして本人にその資質があれば、みんながハッピーです。
しかし、そうではないことの方が圧倒的に多いのは、これまた他の業界・業種でもいっしょでしょう。

特に、ある程度、システム部門が確立されている医療機関であれば、「何を期待しているのか」が固まっているかもしれませんが、「これからシステム部門を整備する」、という場合は気をつけてください。
これはしかたのないことですが、病院も採用担当社も、「システム部門の仕事」は手探りだし、「IT人材の採用」も未経験なのです。

私の知人にも、「転職したのはいいが、Officeソフトの操作説明ばかり…」なんてこぼしている人がいます。


質問者の方は、すでに就職を希望する医療機関が決まっておられるのか、これから探すのかわかりませんが、面接の際に十分な情報交換をされることをオススメします。



次回は、転職にあたって必要なスキルについて、書いてみたいと思います。

コメント

  1. 横から失礼します

    院内SEに転職するのなら、"医療情報技師"の検定を持っていると色々と有利です
    また、医療情報技師育成部会ではSEの公募情報も公開しているので現実を知る一助にもなりそうです

    返信削除

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