スポットチェックモニタは使われているのか

5月に、HIS系システムのリプレース計画を策定する仕事に取りかかったことを書きました。
HIS系システムの中長期計画を立てることになりました(5/17)
電子カルテだけでなく各部門システムについても、院内のあらゆるシステムを、このまま使用し続けるのか、あるいは他ベンダーへの乗り換えを検討するのか、調査しています。

そんな中、ある部門システムについて、以前から稼働率が気になっていたので、この機会に調べてみることにしました。



それは、このブログでもたびたび取り上げているオムロンコーリンさんの「スポットチェックモニタ」です。

スポットチェックモニタとは、ベッドサイドで計測したバイタルデータを即時にHIS系システムに反映させてくれるもので、中継用のサーバーとセットで運用します。
(詳しくは上記リンク先、オムロンコーリンさんのWebサイトをご覧ください)

お金持ちの病院では、各ベッドに設置しているらしいですが、各病棟に2台ずつの設置です。

スポットチェックモニタの稼働率にバラつきがあるのでは?

稼働率が気になっていたのには、理由があります。

私がまだシステム部門に在籍していたとき、「スポットチェックモニタの電池がもたない」というこで、病棟から問い合わせを受けました。

スポットチェックモニタは充電池で駆動します。携帯電話と同じで、繰り返し使用していると、そのうちバッテリーがへたってきて、フル充電しても稼働時間が延びなくなります。

当院では少ない台数のスポットチェックモニタで全てのベッドを回るのですが、全ベッドを回りきらないうちに電源が切れてしまうとのことでした。

病棟による温度差


バッテリーを交換して問題は解決したのですが、この件で気になったのが、病棟によってクレームの温度差が激しかったこと。

ある病棟は、「これがないと仕事にならないから、早くなんとかしてくれ」と。

全病棟に一斉に導入したから、他の病棟でもさぞお困りのことかと思いヒアリングしてみると、別の病棟では、「そんなこともあったかも…」くらい。

夜間のために温存

もう一つ気になったことがあります。

看護師:「電池がもたなくて、仕事にならないんだけど」
私:「ちゃんと充電されてます?」
看護師:「昼間ずっと(ACアダプタを)つないでいるから大丈夫だと思うけど」
私:「でも、昼間も使うでしょ?」
看護師:「夜勤優先だから、日勤帯は使わないの」
私:「…?」

話を聞いた看護師によると、人数の少ない夜勤帯にこそ、この便利な機器の出番であり、そこで思う存分使うために、日中はACアダプタをさしっぱなしにして温存しているのだと。

せっかくのスポットチェックモニタも、日中は使われていないということなのか…。

ログ解析の結果は…

さっそくオムロンコーリンさんに問いあわせたところ、ログが過去6ヶ月程度蓄積されているとのことで、これを出力していただくことにしました。



グラフは、6ヶ月間のスポットチェックモニタ端末からの送信回数をカウントしたものです。

送信回数が最も多いA病棟、最も少ないB病棟で、その差は明らかです。

一つ目の仮説、病棟ごとの稼働率にバラつきがあるのでは?は、残念ながら的中してしまいました。

もう一つの仮説、「日中は使われていないのではないか?」も、まったく使われていないわけではないにしても、やはり稼働率が落ちていることがわかりました。


ちなみに、こちらに掲載したグラフは、オムロンコーリンさんからご提供いただいた資料のほんの一部です。日別や、項目(体温、血圧、SpO2)別など、多角的に分析された資料をご提示いただきました。


使わない看護師は、「なぜ使わないのか」

上記の資料の他に、日別の送信回数も提示いただいています。

すると、稼働率の高い病棟でも、日によってバラつきがあることがわかります。
つまり、病棟の特徴だけでなく、看護師個人でも使う、使わないが分かれるということです。

では、なぜこの便利なツールを使わないのか、(詳細な調査はこれからですが)、いくつか情報があがってきています。

  • 機械になじまない、食わずギライ
  • 電子カルテとの連動が効率を下げる
  • 患者さまとのコミュニケーションを重視する

まあ、多いのはいわゆる「食わずギライ」だと思うのですが、その他に出てきた意見には、検討の余地がありそうです。


スポットチェックモニタは単独でも使用できるのですが、当院では電子カルテと連動させています。
ワゴンに、ノートPCとスポットチェックモニタをセットし、対象患者を患者をPC画面で確認しながら測定しています。

この仕組みが、操作が面倒であったり、多床室では、奥までワゴンをいれるが難しかったり、画面が他の患者に見えないように配慮しなければいけないなど、いろいろと事情がありそうです。

患者さまとのコミュニケーションの話も、このカルテ連動に起因するとおもわれます。

あとは、体動などで不自然な計測値になってしまった場合でも自動的にデータが転送されてしまうので、その削除が面倒、などの理由があると…。

なるほど、これは奥が深い。

調査がまとまったら、メーカーさんに相談してみようと思います。

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