リコー、医療向けキーワード振り分け印刷アプリケーションを発売


リコー、医療向けキーワード振り分け印刷アプリケーションを発売(製造技術データベースサイト イプロス製造業より)
とても興味深いニュースです。

リコーが開発した、振り分け印刷アプリケーション、「RICOH Rule Based Print」。

詳しくは、リンク先を読んでいただきたいのですが、ザックリ言うと、「様々な条件設定で、印刷するプリンタを振り分けられる」というものです。

こんな使い道が思い浮かびます。

例①:どこから指示入力しても、その患者さまが入院している病棟に指示箋をプリントする

この話、じつは当院が2012年に電子カルテを導入したとき、医師からの不満の一つでした。

多くのクライアントPCがネットワークで繋がってることで、先生方は、「医局にいながら指示を入力できて楽チン」を想像していました。

ところが、当院が導入した電子カルテは、PCに対してプリンタを割り当てる前提で設計しており、印刷物の内容によってプリンタを選択するのは、一応「できる」のですが、コントロールパネルの操作する必要があり、現実的ではありません。

例えば、病棟で使用するPCであれば、ナースステーションのプリンターだけ設定しておけば何も問題ありません。

一方、前述のように、医師が医局のPCから指示入力しようとすると、A病棟に入院中の患者さまの指示箋はA病棟のステーションに、B病棟に入院中の患者さまの指示箋はB病棟のステーションのプリンターに出力しなければなりません。
すると、医師は指示を入力する前に、いちいちプリンタの設定を変更しなければならず、大ブーイングだったのです。

今では先生方もすっかりあきらめた様子ですが…。

例②:時間帯でプリンターをかえる

例えば院内薬局など、日勤帯と夜勤帯で、業務内容が大きく変化するような職種では、日中は多くの薬剤師が業務をしている場所に、夜間に薬剤師が待機している場所にプリントしたい、こんなニーズは多いのではないでしょうか。

例③:様々な場所で行われる「指導」

糖尿病をはじめ、患者教育の重要性が認識されるようになって増えてきたのが、薬剤師や栄養士による「指導」です。入院外来問わず今や様々な場所で、専門職による患者さまへの「指導」が行われています。

そこで必要になるのが、指導を効果的に進めるための「パンフレット」。
もし、指導にあたる薬剤師や栄養士が、最寄りのプリンタから簡単にパンフレットを出力できるようになれば、たくさんのパンフレットを持ち歩かずに済むようになります。

便利になるには注意も必要

いかがでしょうか。この「RICOH Rule Based Print」、とても魅力的です。色々な問題を解決する可能性を秘めていると思います。

ただ、この話に限らず、何事においても、便利になることは注意が必要です。

たしかに、手元のプリンタから出力された伝票を、人力で目的地まで運ぶのはバカバカしいと思います。

しかし多くの職員が働く病院で、電子カルテの仕組みの理解度は様々です。仕組みを熟知して使いこなしている職員もいれば、「仕組みはわからないけど、この操作方法しか教えられてないから…」という人もいます。

そんな中で、ある種「ブラックボックス」とも評されそうな仕組みには、あらゆることを想定した作り込みが必要になります。

それでも想定を超えたケースが発生すると…、その仕組み自体が業務を滞らせる原因にもなりかねません。

「RICOH Rule Based Print」、使いこなすには、業務を熟知したものが、行き届いたルールを構築する必要がありそうです。

やっぱり「紙」なのか

と、ここまで書いてきて最後になんですが、紙…なくせないもんですかね。

私自身は現場で仕事をしていないので、軽々しく言えませんが、「画面で確認すれば良いのでは…」と思ってしまうわけです。

当院では、外来では患者さまが、再来受付をすると、その日の診察内容を記載した「受診票」がプリントされ、患者さまはこれを持って各部署を回ります。

行った先の部署では、診察なり検査なりがが終わると、受診票にレ点をつけて、「終わったよ」の印をします。

途中で検査が追加になったら、手書きで「受診票」に書き加えます。

なんだかなぁ~と思っていますが、患者さまもこれ(紙)があった方が、全体がわかりやすくて良いのですと…。

入院も同じです。「紙の指示箋」、なくせないものかと、いつも思っていますが、やはり看護師はこれがないと困るのですと。


「RICOH Rule Based Print」素晴らしいソリューションですが、「紙をなくしたい」私には、モヤッとする
ニュースでした。


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