PACSのデータの二次利用は八方塞がり

医療機関のシステム担当者、データ集計担当者が集まると、よく聞かれるのが、
「PACSのデータは使い物にならない」
という話。

検査データや投薬データはデータベースとして各項目が独立しているので、簡単に集計できるのですが、PACSはそれができないということです。

PACSは、たいてい画像を管理するPACS本体と、検査に対する所見を記載する「レポートシステム」で構成されています。

この、レポート部分のデータが項目別に入力されていたら、本当に有益なデータとして活用できると思うのですが、少なくとも当院が使用しているしすてむはそうではありません。

テキストをダラダラ入力しているだけなので、「人間が読む」で終わり。

テキスト検索の可能性

そんな中、院内のあるチームに呼ばれ、PACSのレポートデータの活用について意見を求められました。
レポートに書かれているデータが、規則的なレイアウトで入力されていたら、そこからデータを生成できないか?
とのこと。

具体的には、心エコーのレポートからEF値を抜き出して、それで患者の循環器疾患のリスクをランク付けできないか、というものです。

レポートは、基本的にテキストで書かれているのですが、

SV:○○ml
EF:○○%
CO:〇〇L/min

となっているので、Excelの「LEFT関数」や「RIGHT関数」の容量で、「EF:」を含む前半を切り落とし、その後%以降を切り落とせば、EF値が生成できるのではないかと。

じつは、このアイディア、私も以前から考えていたのですが、問題は、レポートシステムのベンダーが応じてくれるかどうか。

やはりNGでした

当院はPACSの純正のレポートシステムを使用しています。
というわけで、PACSベンダーさんにレポートデータ出力を相談しました。

方法は2通り。

  1. データ出力の機能を搭載できるか
  2. データベースの閲覧権限を付与してもらう 
「1」は、多くのアプリケーションに搭載されている「データ出力機能」のようなもの。
csv形式やExcel形式にデータを出力するというモノを想定していました。
そして、数日後ベンダーさんから回答は、
「特注になるので、100万くらいで…」
勝手に「標準で搭載している機能ですよ」なんていう返事を期待していただけに、ガックリきました。

そこで「2」です。現在、電子カルテでやっているように、データベース(電子カルテはSQL Server)に直接アクセスできれば、データベース構造の勉強は必須ですが、なんとかなるのではないかと。
「それはさすがにムリです」
と、ベンダーさんからあっさり言われました。
まあ、いくら「閲覧権限で良いので」とこちらが言っても、何かあったらたいへんですし、企業秘密的なところもあるのでしょう。


というわけで、PACSレポートのデータ活用は、厳しい状況となりました。
病院が100万円出してくれるとは思えませんし。

しかし、こんなものなのでしょうか。「ビッグデータ」がさけばれて数年、2017年は「AI」という言葉を至るところで聞くようになり、今は2018年です。

バージョンアップしたらできるようになるのかな…。

チームの会議で、「ベンダーさんが生データを出力してくれれば、あとはなんとかできると思う」なんて、期待を持たせるようなことを言ってしまった私。

この結果を報告すると思うと、気が重いです。

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