増改築による導線の混乱

かなり前の記事で書いたのですが、当院が今回のサイン改修に至った直接的なきっかけは、院長ががグループの病院のサイン改修を見て影響されたものです。

きっかけこそ、そんな突発的なものでしたが、長年にわたって増改築を繰り返してきた建物は、たしかにひどい導線。

職員は慣れたものですが、患者さんやお見舞いに訪れる方にとっては、迷わず目的地にたどり着くのは至難の業です。

病院とは、建て替えに数ヶ月から年単位で「営業」を止めることができない業種の一つです。
どうしても、既存の施設に「増築」し、機能移転した後に古い建物を壊す、というサイクルになります。

「マスタープラン」などと銘打って長期計画を立てても、医療機関を取り巻く状況は刻々と変わるわけで、本当に難しいと思います。

当院はこの地で数十年にわたり医療を提供しているわけですが、地域の要求に答える形で、どんどん大きくなり、多分に漏れず「一貫性」がありません。

デザインなどはまだよいのですが、実害をもたらしているのが「導線」です。

A棟とB棟がつながっているのは特定のフロアにある「連絡通路」だけ、というのはよくお見かけしますが、当院の場合は、一つの棟の中でもフロアがつながっていない場所があります。

一見すると一つの建物に見えるのですが、実は増築を重ねて今の形があります。

Aブロックの1階にある玄関から入った患者さんの目的地が、Cブロックの2階にあったとします。
Aブロック、Bブロック、Cブロック、それぞれにエレベータはあるのですが、2階ではBブロックがバックヤードになっているため部外者が入れません。ということは、この患者さんにとってのエレベータはCブロックのみということになります。

このように、増改築とともに複雑化した導線、私たち職員は毎日この建物で過ごしているので慣れていますが、はじめて訪れる患者さんやお見舞いの方には、本当にわかりづらく、2階のAブロックやBブロックで行ったり来たりして困っている人を時々見かけます。

これは、患者さんにもストレスですが、職員にとっても負担になります。
呼び止められればご案内に時間を費やす必要があります。
また、迷ったあげく患者さんが予約時間に間に合わなければ、診療が遅れ、その後のスケジュールにも遅れが生じます。

わかりずらい導線は、患者さんにとっても、職員にとっても「困ったもの」なのです。


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