代行入力の権限について(後編)

前回記事からの続きです。
今回の記事だけ読むと、?になるかもしれないので、ダイレクトにこのページに来られた方は、前回記事を先に読んでいただいた方が良いかと…。
では、本題に。

院内の業務分掌について

前回記事の冒頭に投稿者さまからのコメントを記載しましたが、その後、同じ投稿者様から、以下のコメントが届いております。
これはもう愚痴になってしまい申し訳ないのですが、権限というとかっこいいですが「自分たちには権限がないから、あれもこれも頼むよ」と言われているようで、都合よく使われているように感じて納得がいかないのですよね。

「投薬」のオーダーを代行できるのが、「薬剤師は良いとしても、放射線技師にまで認める必要はないですよね」という話でも、私の病院では特に取り決めがない(あるとしても知らされていない)ため、誰でも代行してしまうと思います。
まあそれが、徐々に「これって医師事務じゃないと?」の流れになってきているようなのですが。
(一部割愛させていただきました)
病院に限らず、どこの業種でも仕事の押し付け合い(取り合い)のパワーゲームは繰り広げられるものですね。

すでに投稿者様ご自身が医師事務作業補助者として活躍されているとのことですが、その意味では、当院より進んでいらっしゃいます。
というのも、当院の医師事務作業補助業務は、一応形はできているのですが、運用ルールが決まっていないので、中途半端な状態なのです。
どういうルールでどういう業務に対応するということが決まっていないので、仕事を頼みづらく院内での認知度も高くありません。

当院では、医師事務作業補助者は看護部の管轄になっており、その看護部が消極的でなのです。
なぜ看護部が拒んでいるのかはわかりません。そこに明確な理由があるなら、それを示して次につなげれば良いと思うのです。例えば、「こんなリスクがあるから、ルールを作りましょう」とか、「人員がこれくらい必要で、導入教育にこれくらいの期間を…」とか、なんらかの対話ができれば良いのですが…。あるいは、医師事務作業補助に根本的に異論があるならば、根拠を示してディスカッションすれば良いと思うのですが、のらりくらり先送りしている感じで、これでは、いつか院長もキレるのではないかと…。

個人的には、医師事務作業補助者の積極登用、業務拡大は大賛成です。

経営的な観点からも、専門職は専門性が必要な業務をしてもらい、無資格でもできる仕事は別の職員がカバーする、というのはたいへん効率的です。
また、専門性の高い能力を付けていくこと、またその部署の存在感が増していくことは、モチベーションにもつながると思うのです。

カルテベンダーさんのユーザー会では、よくこの「医師事務作業補助」が話題になります。
いかにして医師事務作業補助を軌道に乗せたか、というケース報告をいただくのですが、皆さん一様に導入時はたいへんな苦労をされています。一方で、これも皆さん同じように言われるのですが、年々業務の範囲を拡大し、病院の経営に貢献している実感をお持ちのようです。

ということで、投稿者様のお立場、病院の状況などわからずに申し上げるのですが、もし仕事のオファーがあって、病院から適切なリソース(本件では「人員」)を割り当ててもらえるならば、積極的に引き受けてみてはいかがでしょうか。


ダミーのIDで代行入力している事実が発覚

さて、今回の記事、「代行入力の権限について」は、2回にわたる長編になってしまいましたが、いよいよ、この記事の「オチ」です。

今回、投稿者様からご質問いただき、当院のシステムについて、実際にどんな代行入力がされているのか調べてみたら、大問題が発覚しました。

ダミーの医師のIDで代行入力されているのです。

「ダミーの医師」とは、大きく分けて2種類あります。

一つは「テスト用」です。電子カルテシステムの導入時期に、いろいろなテストで使ったり、練習で使ったりしたものです。今でも、我々システム部門の職員が、動作確認で使ったりします。

もう一つは「予約用」です。次の来院日は決まっているのですが、当日対応する医師がまだ決まっていない場合に、この「予約用」のIDを使っています。内容が決まっていれば、予約用のIDでオーダーも入力しておきます。例えば、内視鏡検査などは「とりあえず」予約を入れておかないと、あっというまに予約枠が埋まってしまうので、医師が割り当てられていなくても、まず「予約枠」を押させておきたいのです。

代行入力のログを眺めていたところ、これら「ダミーの医師」を使って、カルテ記入やオーダーを代行入力しているケースが見つかったのです。数は少ないのですが、コンスタントに使われており、今も使われています。

お詳しい方は、「誰がそれを承認するのか?」という疑問をお持ちだと思います。。ところが、当院のシステムでは、医師が代行入力されたオーダーを「承認」しなくても、実施できてしまうのです。

ですから、ダミーの医師で代行されたオーダーは、誰の目に留まることなく、実施されていくのです。

投稿者様のおかげで、大問題に気づくことができました。ご協力(?)、感謝します!
調査の結果は、追って報告します。

コメント

  1. 記事を拝読しました。
    「活躍」と言っていただくと冷や汗が出ます・・・。
    私のところは規模の小さい病院なので二人ぽっちの医師事務です。
    診断書の代行くらいしかできていないですし医事課にいると色んな仕事が舞い込むので雑用でもなんでもやらないと、というのが現状です。

    でも、おっしゃるように、代行の仕事はなるべく引き受けていけるようにしていきたい、という気持ちも生まれています。

    ベルカンポさんの病院では仕事が頼みづらいとのことで、もったいないと思いました。
    でも私たちも、頼みづらいと思われているかな。
    本当はもっと先生たちのお役に立ちたいと思っているのです。でも、全部の先生のことはできないし、先生の希望に応えられるか自信がないし、すでに持っている医事課内の仕事もあるし、といろいろあって、積極的にはなれません。

    私の勝手な印象ですが、看護部が医師事務を管理するというのはかなりの負担だろうと思います。事務方の知識も必要になってくるわけで、看護部にしてみたら、全く専門外のことまで知る必要があり、負担が大きいのではないかなあ。

    ここは、やっぱり、医師のリーダーシップが欲しいです。
    医師事務に理解があり、ぜひ使いたいと思っている医師が積極的にかかわれば、看護部も動き出せると思うのですよね。



    医師事務の仕事は、とてもやりがいのある仕事です。
    病院にうまく組み込まれていけば、大きな力を発揮できる仕事と思っています。
    愚痴を言っていた私が言ってるのはおかしいのですけど、本当にそう思うのです。


    ダミーのIDの話も面白く、 興味深く読ませていただきました。
    どこでもいろんな問題があるものなのですね。私のとこもそれとは別の、ID問題があります。いつも大丈夫なのかなあと心配しています。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

GoogleのAutoDraw、ピクトグラム作成に使えそう

旧字体や外字は使用できません

患者さんの視線とサインの高さ