安全対策の研修

日産自動車の無資格検査、神戸製鋼の検査データ改ざん、少し前は三菱自動車の燃費データ改ざん、東芝の不正会計、上げたらキリがない、ここのところの日本企業の不祥事。
日本企業に一体何が起こっているのか(2017/10/17 BBC NEWS JAPAN) 
テレビのドキュメンタリーやバラエティ番組では、日本の技術力や細かい気遣い、そしてその信頼性が評価され海外、特にアジアでビジネス展開する、という特集が目につきますが、その一方で、これら不祥事の報道。

ここのところ、ネットの書き込みでは、不正は許されるものではないが、そもそも…という論調が目立つようになってきた。
  • 基準がオーバースペックだから、「守らなくても実害はない」という考えになるのでは
  • 数時間の研修を受けるだけの「資格」にどれほどの意味があるのか。資格団体の利益を確保するためなのでは。
こういったご意見、ある意味納得してしまいます。

どこの業界でも、こういった「志はわかるが、その方法は現実的か?」と思うようなことがたくさんあるわけで…、今日は安全対策の研修会の話です。

医療機関が算定できる保険点数の一つに「医療安全対策加算」というものがあります。
これを算定できる条件として、
医療安全確保のための職員研修を計画的に実施するとともに、医療安全管理者が必要に 応じて各部門における医療安全管理の担当者への支援を実施し、その結果を記録している こと。
というものがあります。つまり、職員向けの研修会を実施しなさい、ということです。

そんなわけで、毎年やってくる保健所の立入り検査で、「ちゃんとやってますか?」ということで、研修会の参加率を問われるわけです。

研修会の参加者名簿を見せて、「昨年よりは少し(参加率が)増えましたけど、もう少し努力してください」みたいな感じで言われます。

毎年言われるものだから、院内の安全対策委員会が躍起になるわけです。ライブで参加できない夜勤者やパート職員向けに、研修会をビデオ撮影して、何度も放映したりして。

で、「そもそも」と思うわけです。
  • 研修会の内容は医療機関に任されているので、その「質」を担保するものがない。
  • 研修を受ける対象も「医師」から「事務員」までいるのに、同じ内容で良いのか。
  • 当院のような地方の中小病院では多くの非常勤医師に頼らざるをえないのですが、そこをフォローするのか。
他にも上げたらキリがありません。

保健所のみなさんもこれで良いと思っていないでしょうが、「役所」としてできる落としどころが前述の「参加名簿を閲覧する」なのでしょう。

他院さんではどうかわかりませんが、当院では完全に「やっつけ仕事」になっています。

内容も目新しさがなく、全職種対応だから基本的な話ばかりで、現場で使える内容ではありません。

なんたって「全職員」なわけですから、そこに投入している人件費も多額です。
保健所のチェックがあろうがなかろうが、意義のある研修会を企画したいものです。

コメント

このブログの人気の投稿

GoogleのAutoDraw、ピクトグラム作成に使えそう

旧字体や外字は使用できません

患者さんの視線とサインの高さ